
死語解説:ダイヤル回す[動詞]
ダイヤル式の電話機、いわゆる黒電話で電話番号を入力する行為。
該当する数字のところに空いた穴に指を突っ込み、所定の位置まで回すことで番号をかけたことになる。
現代ではダイヤル式の電話はもはやなく、あってもせいぜいプッシュ型の電話になるので、ダイヤルを回すという行為自体が行われなくなったことで死語となった。
時代背景
いわゆる黒電話が初めて日本に登場するのは1933年のこと。当時は電話機を買うのではなく、現NTT、電電公社から電話機をレンタルする形になっており、それゆえ昭和の人間の共通認識として黒電話がイメージされることになった。1985年の電電公社の民営化及び端末設備自由化まで、実に50年以上もの間、日本の電話の代名詞となっていた。
同じく公衆電話も電電公社の両分で、家庭用が黒電話とするなら、赤電話、青電話、黃電話、さらには喫茶店などで見かけたピンクの電話などがあり、こちらも同じくダイヤル式だった。
ダイヤルを回すという行為は、携帯電話やスマートフォンのように、登録さえしておけばひとつの動作で電話がかけられる現代に比べ、おそろしく時間のかかる作業となる。しかし、この時間の長さが好きな人に電話をするときの気持ちの逡巡と結びつきやすいことから、数々の昭和のスターたちの歌の中に登場する。
代表的なところでいえば、フィンガー5、小林明子、チェッカーズなどがある。
I‘m just a womanである。
不便だけれども、逆にそこにこそ人の心が映り込む。そんなことを感じる死語なのであった。
※本記事は、イラスト・文を再編集して公開しています