
紙芝居屋のおじさんが自転車でやってきた!駄菓子を買ったらさぁ始まるよ~!
歴史の波にもまれたエンタテインメント
この写真にあるような紙芝居は「街頭紙芝居」と呼ばれます。
こどもが集まる広場や空き地に紙芝居用の自転車をひいたおじさんがやってきて、拍子木やホラ貝を吹いて子どもたちを集める。そして駄菓子を売って小銭をかせぐのが目的だったんですね。
街頭紙芝居は1930年代に流行。当時の東京市には2,000人もの紙芝居屋さんがいたという説もあります。すごいですね!
商売ですからこどもたちが集まってなんぼです。そのために、結構むちゃくちゃなストーリーや過激な表現で大人からは眉をひそめられるような作品もあったとか。今になるとそういう作品こそ興味をそそられます。どこかに残っていないでしょうかね?

戦後になると、娯楽が乏しいなかで紙芝居がふたたび流行。
ところが紙芝居もGHQによる検閲の対象とされたのだそうです。GHQのお墨付きがないと上演できなかったのですね~。
焼け跡のこどもたちを楽しませた街頭紙芝居も、テレビの普及にともないフェードアウトしていきます。
一方、出版紙芝居というカテゴリーも出現。こちらは内容をしっかりと造り込んだ文芸作品とも呼べるもの。世界に誇る日本の文化としてひろがりをみせています。
日本独自の文化財である紙芝居は、新しい時代を迎えようとしています。今、大切なのは、優れた紙芝居作品が優れた演じ手によって演じられ、 日本はもとより世界中に共感の輪が広がっていくことです。紙芝居を愛する人、興味のある人、演じたい人など、さまざまな人が国境を越えて出会い、交流する場が「紙芝居文化の会」です。


取材協力:「昭和レトロ商品博物館」様