
ぶどう酒なのはわかります。しかし「香竄」とはいったい?
香竄(こうざん)とはなんぞや?
『蜂印香竄葡萄酒(はちじるしこうざんぶどうしゅ)』はズバリ、明治14(1881)年に発売されたぶどう酒です。
このぶどう酒、実は電気ブランで有名な「神谷バー」の創始者、神谷傳兵衛さんが日本人の口に合うように蜂蜜や薬草で味を調整して開発したもの。現在も販売されている歴史のある「甘味果実酒」なのです。
神谷傳兵衛さんは若かりし頃、フランス人が経営する横浜の洋酒醸造所で働いていましたが過労でダウン。医者からも見放されるほど弱ってしまったのですが、くだんのフランス人経営者が傳兵衛さんを不憫に思い、ワインを飲ませたところ徐々に体力を回復、元気になったのだそうです。
そんな体験から、ぶどう酒を日本にひろめたいという思いを抱いた傳兵衛さんが、試行錯誤の末に生み出したのが『蜂印香竄葡萄酒』。
「香竄(こうざん)」とは傳兵衛さんの父兵助さんの俳句の雅号。「親のご恩を忘れないために」と、この言葉のなかに「隠しても隠し切れない、豊かなかぐわしい香り(まるで樽のなかの卓越したワインのように)」という意味があることにちなんでいるそうです。
私はうかつにも「竄」を「鼠(ネズミ)」と勘違い。蔵の中のネズミさえ酔いしれるほどのぶどう酒っていう意味かと思ってしまいました!
取材協力:「三十坪の秘密基地」様