『こんなものを買った』National RX-90『corocasse』/Victor QP-3

『こんなものを買った』National RX-90『corocasse』/Victor QP-3

世の中ラジカセプームと言われて久しいですが、どうもピンと来ません。70年代のラジカセの性能や音には確かに舌を巻くのですが、僕たちの時代のラジカセってこれじゃないんですよね。


美しい、カワイイ それだけで良いじゃないですか

なんと豊かな時代でしょう

つまるところ、たくさんあったのですよ、機種が。今手元に1986年10月のナショナルのラジカセのカタログがありますが、ラジカセだけでざっと30機種。そしてラジカセを作っていたメーカーがナショナル、ソニー、アイワ、東芝、日立、三洋、シャープなど、ざっと10社と考えても、一時期に200~300モデルくらいのラジカセがあったわけです。
それならいろいろなラジカセが誕生するのは道理なわけで、中には『置かれること』をメインテーマにしたラジカセもあったのです。たとえばこれ。ナショナルRX-90、通称『コロカセ』です。
最近某携帯電話会社のCMにもチラリと登場し、気になった方もいらっしゃるのでは?
『コロカセ』の名前のとおり、サイコロ型のラジカセということなのでしょう。1辺約12cmの立方体のボディに、モノラルラジカセの機能をギュッと押し込んだスタイルです。

操作性や音は二の次です。ラジオのチューニングも音量調整もめちゃくちゃやりにくいです。なにしろ面の一部が円形に切り抜かれていて、その円を回すのですが、ツマミはなく、指の腹を押し付けて回します。

やはり実用性よりも、自分の部屋に置きたいかどうかが購入する際のトリガーとなります。
さてこの個体、メルカリで動作未確認4000円。動作未確認≒不動品なので、高いか安いかは、人それぞれということで。ちなみにこの個体、電池を入れてプレイボタンを押すと、なんと動きました! 喜び勇んでカセットを入れたのですが、テープは回れど音は出ず……。ラジオも無音。つまりアンプがダメかあ。ということでこの『コロカセ』、オブジェとなりました。
ところでカタログによるとRX-90は3色あったようです。

おお、これも原宿系。それも門真市あたりから見た原宿系なので、そうとうデフォルメされてます。でもきゃりーちゃんあたりならかわいく使いこなしてくれそうです。薄ピンクとか。

大人な感じでデザインコンシャス

もうひとつデザイン優先ラジカセ(正確にはCDラジオでカセはありません)をご紹介します。ビクターQP-3。
アイワや東芝あたりだと円形にしちゃうところを、なんとも言い難い塊感で表現しつつ、正面にデンとスピーカーを据えました。1992年のモデルです。
音ですか? うーん。ラジオ的ナローで中域だけという感じですが、それはそれでなかなかいい感じです。聴き疲れしないで、ずっと聴いていられる感じ。でももうちょっとCDらしさを出してもよかったかな、とは思います。ディスクマンを70年代のソニーのラジカセにつないだら、もっとワイドレンジな音になったんじゃないか、と。いやいや野暮ですね。
そしてこちらも使いにくいんです、ラジオが。

これは一度選曲すると動かすのが嫌になります。ただワイドFMなので、AMの補完放送もばっちり。最近はもっぱらTBS。たまむすびで笑い転げてます。
音量はこっち。

音量とチューニング、どっちがどっちだかわからなくなるのが玉に瑕。しかも文字が成形なのでちょっと暗いと見えにくいんですよね。あっ、触れば分かるということか。
あと、ゴツいハンドルは持ちやすいけどたたんだ時の収まりがいまいち。
QP-3、置いてあるだけで文句なくカッコいいんですよ、確かに。グッドデザイン賞受賞は伊達じゃないです。ただ惜しいんですよね。本当に良いインダストリアルデザインは、カッコだけじゃなくて使いやすいものなのです。
とはいえ、『コロカセ』もQP-3も、こんな遊び心のあるモデルは今の日本メーカーには無理でしょうね。

ゴールデン横丁の仲間たち | 澤村 信(さわむら まこと)

https://goldenyokocho.jp/articles/675

かつてのオーディオブームを体験した世代にはたまらないムック本『ステレオ時代』(ネコ・パブリッシング)の編集長。ゴル横会長たっての願いを快く受け入れ、オーディオ愛あふれるコラムをゴル横に書き下ろしていただくことになりました!

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