ヨーロッパ | ロータス 「サーキットの狼」風吹裕矢の愛車

ヨーロッパ | ロータス 「サーキットの狼」風吹裕矢の愛車


■本来はスーパーカーというより、ライトウェイトなハンドリングマシン
・モデル名 :ヨーロッパ
・世代/形式:初代
・メーカー名:ロータス(英)
・時期   :1966-1975年
・撮影   :会長、ミノ

「ロータス・ヨーロッパ」はロータス初のミッドシップレイアウトを採用したロードスポーツである。

「サーキットの狼」で一躍有名に

日本では池沢早人師(さとし)氏による著作で、集英社の少年ジャンプ連載「サーキットの狼」の主人公・風吹裕矢の愛車として登場。そのハンドリング性能を活かして、ライバル・ドライバーたちの大排気量スポーツ、いわゆるスーパーカーを蹴散らしたことで有名となった。
その作品からヨーロッパは、スーパーカーの一台だと世間では認識されているようだが、じつは設計のコンセプトは大きく異なっていたようだ。なお、「サーキットの狼」は、1975年から1979年に連載され、当時のスーパーカーブームの火付け役とされる。

フジミ模型「1/24 サーキットの狼シリーズNo.13 ロータスヨーロッパスペシャル 風吹裕矢」パッケージ (C)池沢さとし

ところで、ロータスは会社設立から1950年代の半ばまでレーシングカー/ロードスポーツの別を問わずフロントエンジン・リアドライブ(FR)レイアウトを堅持してきた。ところが、50年代後半になってフォーミュラ1(F1)の世界で、英国クーパーがF1マシンにミッドシップレイアウトを初採用。高いポテンシャルを発揮しはじめた。

ロータスでミッドシップレイアウトを初採用したロードカー

それを目の当たりにしたロータスを主宰するコーリン・チャップマンは、この斬新なメカニズムを採り入れる。最初にミッドシップレイアウトを採ったのは同社F1マシンの「タイプ18」で、このモデルがロータスにF1グランプリ初優勝をもたらす。

ロータス18 ※Wikipediaより

この結果に大満足したチャップマンは、ミッドシップレイアウトをロードカーにも採用することを決めた。このような経緯から生まれたのが、1966年12月に軽量オープンスポーツのロータス・セブンの後継モデルとしてデビューした、“タイプナンバー46”の「ロータス・ヨーロッパ」である。

前述したようにセブンの後継車として設計されたヨーロッパゆえに、各部の設計は軽量かつコストダウンを優先した。加えて、欧州大陸全体での販売を第一目標としたためオープンモデルではなくクーペボディとなり、「ヨーロッパ」と命名された理由もそこにあるとされる。

シリーズ1と呼ばれる最初期型からシャシーは、エランに似た逆Y字型バックボーンフレームで、Y字型に開いた空間は、低い位置にエンジンを置くための大切なスペースで、低い重心高を得るためのロータス独自のレイアウトだ。

ロータス・エラン

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがI型アームとラジアスアームで下側を位置決めしたうえでドライブシャフトがアッパアームとして機能するヨーロッパ専用の独特のメカニズムとなった。ステアリングはラック・アンド・ピニオン式で、ブレーキは前ディスク、後ドラムとなった。4.5J×13インチのホイールに組み合わせたタイヤは155-13だった。

前出のプラモデルでは、Y字型バックボーンフレームが再現されており構造がよく理解できる

欧州全域で販売することでメンテナンス性も重視したユニット

軽量ミッドシップスポーツのパワーユニットとして選ばれたエンジンは、ルノー16に搭載されていた1470cc直列4気筒OHVだ。これを選択した理由は、ルノー16が縦置きエンジンのFF車で、大きな改造を要せずにミッドシップレイアウトに対応できたことが大きい。同時に前述したヨーロッパ大陸全体で販売した後のメンテナンス性も考慮したという。
そのエンジンはルノーの手によるチューンアップが施されて圧縮比が10.25:1に高められ、最高出力82ps/6000rpm、最大トルク10.6kg.m/4000rpmを発生。組み合わせるトランスミッションは4段マニュアルでフロアシフト式だった。

以下、写真は「ヨーロッパ・スペシャル」です

このパワーユニットを搭載したシャシー&フレームに載るボディは、エランと同じFRP製で、全長×全幅×全高3994×1638×1079mmと全高を極端に低く抑えているのが特徴だ。ノーズはさらに低く、キャビンから後方にルーフと同じ高さのフィンが左右に伸び、真横から眺めると2ドアワゴンあるいはシューティングブレークにも見える独特なスタイルとなった。この左右のフィンのおかげで後方視界は恐ろしく悪かったが、極めて良好な空力特性を示し、当時としては破格のCd値0.29を得ていた。

サイドウインドウは開かず、シートはスライド機構のない固定式。室内にカーペットの類いは無く、シンプルというよりもスパルタンな印象だった。そのおかげで車両重量は612kgと軽く、これがロータス・ヨーロッパの真骨頂といえるライトウエイト・ミッドシップスポーツとして軽快なハンドリング性能をもたらす。「サーキットの狼」主人公の風吹裕矢が、そのハンドリング性能を活かして、ライバルドライバーたちの高級なフェラーリやランボルギーニ、ポルシェなどを軽快なハンドリング性能で抜き去るシーンにつながるわけだ。
優れた空力特性と軽い車重のおかげで、ヨーロッパ・シリーズ1は最高時速200km/h、0-400m加速16.6秒を手に入れていたのだ。

当時、ミッドシップレイアウトのモデルはレーシングカーか、あるいは富裕層に向けた高級車で、ロータスはヨーロッパの開発目標に「庶民にも手が届くスポーツカー」を掲げ、コストダウンを最優先して開発した。デビューした翌1967年に500台が生産され、その内2台が日本に輸出された。輸入車に対する関税が高かった時代だった当時の日本での価格は195.0万円だった。67年デビューの国産スポーツ、マツダ・コスモスポーツが148.0万円だった時代である。

格段に装備が充実したシリーズ2デビュー、そしてDOHC搭載

1969年、ヨーロッパは進化したシリーズ2(S2)へスイッチする。“タイプナンバー54”とされたこのモデルは、ダッシュボードが一新され、内装には内張が施され、床にはカーペットが敷かれ、固定ガラスだったサイドウインドウはパワーウインドウとなり、スライドシートを採用。装備が格段に進化し、民主化したクルマとなったのだ。このS2は、70年から英国で発売され、アメリカへも輸出が開始となる。
1971年、遂にエランと同じDOHCエンジンを積むロータス・ヨーロッパ・ツインカム(TC)が登場する。アウトプットはエランと同一で、1558ccのキャパシティに2基のウェーバー40DCOEキャブレターが燃料を供給し、最高出力105ps/5500rpmを発揮した。

さらに1972年、エラン・スプリントが搭載していたDOHCビッグバルブ・エンジンが載せられる。排気量は同じだが、10.31:1の高圧縮比とデトルト製キャブレター2連装で126ps/6500rpmを絞り出していた。「サーキットの狼」の主人公、風吹裕矢の愛車は、「サーキットの狼ミュージアム」に展示されている、このモデルと思われる。

ヨーロッパ・スペシャルと名付けられたこのモデルは、トランスミッションが5速(オプション)となり、アルミホイールが標準装備され、タイヤサイズはフロント175/70HR13、リアが185/70HR13の前後異なるサイズとなった。

ボディカラーは、当時ロータスF1のスポンサーだった、英国のタバコメーカー、ジョン・プレイヤー・スペシャルに因んだブラックにゴールドのピンストライプでトリミングしたモデルが登場した。
結果として、このスペシャルが最後のロータス・ヨーロッパとなり、1975年に生産を終える。シリーズ1以降、ロータス・ヨーロッパ累計生産台数は9230台だった。

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