ブルーバード「510」 | 日産 斬新なスタイリングと先鋭的なメカニズム搭載、国産スポーツセダンの名車

ブルーバード「510」 | 日産 斬新なスタイリングと先鋭的なメカニズム搭載、国産スポーツセダンの名車


■ブルーバードとトヨタ・コロナのライバル争いは今も伝説
・モデル名 :ブルーバード
・世代/形式:3代目(510型)
・メーカー名:日産
・販売時期 :1967~1972年

最新のOHCエンジンとスタイリッシュな外観を得た510型

日産の初代ダットサン・ブルーバードが誕生したのは1959年7月のことだ。ダットサン・セダン「210型」の後継としてデビューしたブルーバードP310系は、ファミリーセダンとしての基本性能の高さ、運動性能も高く、ヒット作となった。ここから、ライバルのトヨタ・コロナとのいわゆる「BC戦争」が始まる。

続く、1963年9月にデビューした2代目ダットサン・ブルーバード410系は、伊ピニンファリーナに依頼したとされるデザインに賛否があり、1964年にRT40型にスイッチしたトヨペット(トヨタ)コロナにトップセラーカーの座を奪われる。そのため、日産開発陣は次期ブルーバードの開発に並々ならぬ力を注ぎ、ベストセラーカー称号の奪還を目指した。

技術の日産の面目躍如といえる3代目「ブルーバード・510(ゴーイチマル)型」がアンベールしたのは、芸能界でザ・スパイダーズやザ・タイガーズなどのグループサウンズが突如として大ブームとなって日本中を席巻した1967年。その年の8月9日、敢えて仏滅の日に衝撃的なプレス発表を行なった。

発表会で日産は「ビス1本まで新しく開発した」と豪語し、メカニズムだけでなく、先代で不振だったスタイリングにおいても最新のモードに刷新した。なかでも、エクステリアはウェッジシェイプのダイナミックなデザインとされ、超音速旅客機SSTをイメージしたという直線的な「スーパーソニックライン」と呼称するキャラクターラインを纏ったスタイリッシュな外観を手に入れ、国産車で初めてフロントドアから三角窓を取り去った。まさに東名・名神高速など高速道路が次々と開通した、その時代にふさわしいスポーティな造形だった。

新開発のエンジンはそれまでのOHV(オーバーヘッドバルブ)形式から高回転までスムーズに回る最新のOHC(オーバーヘッドカムシャフト)形式のL型エンジンに大きく進化した。デビュー時はベーシックなモデルには1.3リッターにシングルキャブを組み合わせたL13型直列4気筒エンジンを搭載した。
1296ccのL13型エンジンは、1965年に登場した2代目・日産セドリックに積まれた日産初のOHCエンジンである2リッター直列6気筒のL20型から2気筒分カットしたような構造だった。ボア×ストローク83.0×59.9mmの超ショートストロークタイプのエンジンで、その最高出力は先代比プラス10psの72ps/6000rpm、最大トルクは10.5kg.m/3600rpmを発揮した。当時のライバル、RT40型トヨペット・コロナの1.5リッターエンジン(70ps)を上回るパワーを得ることに成功した。

ラリーで活躍し、スポーツセダンとしての名声を獲得

フラッグシップセダンのSSS(スーパースポーツセダン)には、大きな排気量1.6リッター(1595cc)直列4気筒OHCにSUツインキャブレターを組み合わせたL16型エンジンが搭載された。このL16型エンジンはデビュー時に最高出力100ps/6000rpm、最大トルク13.5kg.m/4000rpmを発生していた。この高性能エンジンを搭載した510系のSSSの車両重量は915kg。現在の軽自動車並みに軽量だった。

サスペンションは当初の設計では410系を踏襲した前ダブルウイッシュボーン式、後リジッドアクスル式とする予定だった。が、開発途中で独BMWが先鞭を付け、以降の高性能小型ファミリーセダンで主流となる四輪独立懸架式に変更された。

フロントはマクファーソンストラット&コイルの独立、リアはセミトレーリングアーム式独立となり、以後の日産FR(後輪駆動)車の定番サスペンション“セミトレ”となった。このセミトレ式サスペンションは、優れた操縦安定性と上質な乗り心地を両立し、高速走行だけではなく当時の日本でまだまだ主流だった未舗装路(ダートやグラベル)も意識したチューンで、堅牢さも兼ね備えている足回りだった。
事実、510型SSSの速さとタフネスさは、石原裕次郎主演で石原プロが製作した映画「栄光の5500キロ」にもなった510型SSSによる1970年の「サファリラリー」優勝で実証されている。なお、510型SSSの詳細については別項で報告するつもりだ。

当時、実用的なファミリーセダンで、四輪独立懸架という高度な足回りを採用した例は国際的にも極めて稀で、メルセデス・ベンツやBMWぐらいしか存在していなかった。

組み合わせるトランスミッションは3速マニュアル(MT)コラムシフトがベーシックモデルに搭載。SSS系は4速MTフロアシフトが採用され、1968年からはベーシックモデルにも4速MTフロアシフトが採用される。

マイチェンで排気量拡大、クーペの追加で商品力アップ

1969年に510型はマイナーチェンジを受ける。フロントグリル、ダッシュボード、ヘッドレスト付きセパレートシートになるなどのデザイン変更と、安全性の強化を主目的とした改良型だ。同時に、SSS系搭載の1600ccエンジンをディチューンしたシングルキャブエンジン搭載した「ダイナミックシリーズ」が追加され、スポーティな2ドアクーペがラインアップに加わった。
さらに翌年、1.3リッターエンジンを85ps/6000rpmの1428ccのL14型エンジンに換装。SSSシリーズはセダン、クーペ共に1770ccの115ps/6000rpmのL18型エンジンに換わる。結果、ブルーバード510系は“スポーツセダン”としての地位を確立した。

日産自動車で丁寧にレストレーションを受けた写真の510型は、1969年型「1600デラックス」で、前述した「ダイナミックシリーズ」である。全長×全幅×全高は4120×1560×1410mm、ホイールベース2420mm。車重930kgだった。SSS系から移植した1.6リッター4気筒L16型エンジンはシングルキャブ仕様ながら高回転までスムーズに回り、最高出力92ps/6000rpm、最大トルクは13.2kg.m/3600rpmを発揮していた。
トランスミッションはSSS系と同じ4速フロアシフトのマニュアルで、シフトゲートはやや曖昧だが“熱したナイフでバターを切る”と表現された感触の独特なシフトフィールを持ったポルシェシンクロが組み込まれていた。

510型ブルーバードは先進的なスペックと斬新なスタイリングで、ベーシックな後輪リーフリジットながら充実した装備や高級車の雰囲気を持ってベストセラーに君臨したRT40型トヨペット・コロナと「BC戦争」を競った名車としての称号を得る。

トップ画像にも掲載したこちらは、1969年にマイナーチェンジを受けた510型。
日産自動車で丁寧にレストアされたモデル。SSS系搭載のL16型1600ccエンジンをシングルキャブエンジン仕様にディチューンして搭載した「ダイナミックシリーズ」セダンだ。4速MTの独特のシフトフィールが印象的だった。

Nissan Bluebird 510 SSS

ブルーバード510系を“スポーツセダン”としての地位を確立したSSSセダン。マイチェン後は1770ccの115ps/6000rpmのL18型エンジンに換わる(写真のモデル)。サファリラリー優勝車と同じサファリブラウンのボディカラーは当時の憧れだった。

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