
死語解説:巻き戻し[名詞・動詞]
映像データや音声データを再生位置から遡らせる機能。
またはその動作を表す。
VHSやカセットなど、いわゆるテープを使った記録媒体にデータを保存していた時代に、リールが逆回転する様からこの名が付いた。
現在の記録媒体はブルーレイやDVDなどディスク形式、さらにはデータという媒体になってしまった昨今、巻いて戻すことは行われないため、死語となった。
時代背景
見逃したシーンをもう一回見たい。よくセリフが聞き取れなかったからもう一回。などなど、録画したものだからこそ出来る「巻き戻し」という便利な機能。今でもDVDなどを見ながら意識せずに「ちょっと巻き戻して」なんて言っているオヤジも多いのではないだろうか。
だが、ちょっと待ってほしい。そのシーンに戻るために、いったいなにを巻いているというのだろうか…。
そう、巻き戻しとはカセットテープやVHSなど、いわゆるオヤジ世代のテープを使った記録媒体だからこその言葉なのだ。今の記録媒体はなにも巻いちゃあいないので、巻き戻しとは言わない。今は早戻しというのだ。その証拠にリモコンのボタンすら早戻しとなっているはずなので、確認してみてほしい。
もはや巻く必要のない記録媒体が普及した現代において、「巻き戻し」という言葉は死語になってしまった。だが、いったいいつ消えて無くなってしまったのか……。
すこーし調べてみると、どうやらどのメーカーも2000年ごろには巻き戻しという表記を無くしているらしい。デジタル媒体となるベータカムの登場から7年余りを要したのは、あまりに言葉が浸透していたからだろうか。
それにしても、もうテープというものが無くなったのは寂しい限りだ……。もう上書きできないように、ビデオテープの爪を折ったり、録画するのにリアルタイムで番組を見ながらCMを飛ばしたり、ビデオを共有するためにダビング作業に精を出した思い出は語ることはできないのだ。
ああ、懐かしきVHSの思い出……。
※本記事は、イラスト・文を再編集して公開しています