今年もポールがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!ビートルズやウィングスを思わせる新曲を引っ提げて

今年もポールがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!ビートルズやウィングスを思わせる新曲を引っ提げて

10月31日(水)の東京ドーム公演を皮切りに1年ぶりの来日ツアーが始まります。5年ぶりの新作アルバムが全米1位を獲得するなど、76歳という年齢を感じさせない若々しさとフットワークの軽さを見せる”サー”ポールですが…。


YouTube 出典:PAUL McCARTNEY

本日の曲:Paul McCartney - Come On To Me

5年ぶりのニュー・アルバム『エジプト・ステーション』からのシングル。↑のビデオのように踊りだしたくなる、ビートルズやウィングスを彷彿とさせるポップなロック・ナンバーです。

今年もポールがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!

店番  :今年もポール・マッカートニーが日本にやって来ますね。

北中さん:タイトルが「フレッシュン・アップ ジャパン・ツアー2018」、東京と名古屋のドーム公演の他、両国国技館でもプレミアムな公演を行ないます。ポールは相撲ファンですからね。

国技館のチケットは高額ですが、ドームより近くで見られるので、発売してすぐに売り切れたそうです。相変わらずの人気ですね。

店番  :今年何歳でしたっけ?

北中さん:1942年6月18日生まれですから、76歳。日本でいうところの「後期高齢者」ですよ。

店番  :最近に海外のライブ映像がインターネットに出回っていますが、そんな歳に見えませんね。

北中さん:来日するたびに少しずつ年齢を感じさせるようになってきた気はしますが、76歳で毎回約2時間のライヴはすごいです。

「Out There」ツアーでのウルグアイ公演(2014年4月)より Photo: Jimmy Baikovicius

有名曲もレア曲も新作も…来日公演の選曲に期待

店番  :今回のツアーは少し曲目がちがうようですね?

北中さん:海外では、これまでのところ、ビートルズ時代の「ア・ハード・デイズ・ナイト」からはじまって、最新アルバムの曲まで、有名じゃない曲もおりまぜてやっています。

なつかしい曲をみんなで回顧して楽しむだけじゃなく、自分がいま新鮮に取り組める曲を増やした気がします。それだけ現役感が強いということでしょう。日本公演もその流れじゃないでしょうか?

店番  :ヒット曲が多いから選曲するだけでも苦労しそう。

北中さん:ですです。超有名曲も、やったり、やらなかったりしてますからね。「バック・インUSSR」でのビーチ・ボーイズ風コーラスとか、アレンジの楽しみもありますし、レアな曲としてはビートルズ結成前のクォリーメン時代のレパートリーを歌ったりもしています。

曲間のおしゃべりでは、昔の貴重なエピソードもけっこう紹介していますね。ただしアメリカとカナダでもセットリストが変化しているので、日本ではどうなるのか、ドキドキわくわくです。

「Out There」ツアーでのウルグアイ公演(2014年4月)より Photo: Jimmy Baikovicius

まだまだ現役。新作は見事に全米1位を獲得!

店番  :新作アルバムも夏に出ましたが、いかがでしたか?

北中さん:『エジプト・ステーション』ですね。すでに9月にアメリカで1位になっています。

店番  :36年振りの全米1位らしいですね!変わったタイトルですが、どんな意味がこめられているんでしょうか。

北中さん:インタビューでは、ジャケットに使った自作の絵のタイトルをそのまま使ったと言ってます。アルバムの1曲目は「オープニング・ステーション」、終わりのほうに「ステーションⅡ」という曲が入っています。そこには実際の駅で録音した効果音も入っていますが、音楽が作り出す夢の駅から旅立ち、1曲ずつ駅に立ち寄っていくという設定です。

ビートルズやウィングスを想起させる新曲たち

店番  :幻想の旅といえば、ビートルズ時代に『マジカル・ミステリー・ツアー』というアルバムがありましたが、そういう感じなんでしょうか?

The Beatles『Magical Mystery Tour』Photo: Universal Music Singapore

北中さん:当時はサイケデリック・ロック全盛期の音でしたが、今回はサイケな要素はひかえめで、作りすぎないオーソドックスな演奏の曲中心です。先行してヒットした「カム・オン・トゥ・ミー」や「アイ・ドント・ノウ」を聞いてもわかるように、ある意味、ビートルズやウィングス時代を思わせるところがあって、アルバムがアメリカで1位になったのも納得です。

店番  :アルバムのプロモーションでいろいろメディアに登場していますが、YouTubeなどで見たら、大スターなのにやたらフットワークが軽くてお茶目で驚きました。自分がダンスする動画をアップしたり…

北中さん:故郷のリバプールの街を車で走ってカラオケでビートルズの歌をうたったり、アビー・ロードで演奏したり、サーヴィス精神ありすぎますよね(笑)。

いまのロックやR&Bには、コワモテが売りの人がやたら多いでしょ。不機嫌そうなビジュアルのスターが増えたのは、パンクやヒップホップ以降のことかもしれませんが、単に俳優のように演じているだけの人が多いと思うんです。そんなところに、ポールみたいな本物のおじさんが自然体にニコニコして出てくると、目立って、ほっこりすることは確かですね。あ、おじさんじゃなくて、おじいさんか。。。

YouTube 出典:PAUL McCARTNEY

新曲「カム・オン・トゥ・ミー」にあわせて踊るポール。ステージ慣れしてるせいか、ツボを押さえてて予想以上にお上手。「#COTMChallenge」というハッシュタグをつけて「カム・オン・トゥ・ミー」に合わせて踊る動画の投稿も募集してるのだとか。

時代を超越した楽しく、温かみのある音楽をこれからも…

店番  :それでいて、ただの好々爺じゃないきらめきを感じます。

北中さん:新作でも「ピープル・ウォント・ピース」のような真摯なメッセージ・ソングを歌っていますからね。ただし、あくまでも楽しんで聞いていたら、メッセージも一緒に伝わってきた、おいしいリンゴを食べたら、栄養もあった、という仕上がりなのが特徴です。

それは彼が子供のころに、ロック以前のショウ・ビジネスの世界を垣間見て育ったことの影響もあるんじゃないでしょうか。彼のお父さんはアマチュアでしたが、ジャズ時代のダンス・バンドのメンバーでしたから、音楽はロックだけじゃないことを体で知っています。彼はスタンダード・アルバムも作りましたし、クラシック風のオラトリオも作曲しています。

店番  :根っこはロックだけど、ふところの広い人なんですね。

北中さん:今回のツアーで「ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト」を歌っていますが、MCでは、ジェフ・エメリックに捧げるとコメントしています。

彼は中期のビートルズのレコーディング・エンジニアとして、複雑な音作りに欠かせなかった人ですが、訃報が伝わっていました。そういう気配りを忘れない人情味は、音楽からも感じられますね。そんなところもポールの音楽が多くの人から好かれる理由のひとつじゃないでしょうか。

ビートルズ時代。左からジョン、ポール、ジョージ、リンゴ。

ゴールデン横丁の仲間たち | 北中 正和 (きたなか まさかず)

https://goldenyokocho.jp/articles/669

1946年、奈良県生まれ。J-POPからワールド・ミュージックまで幅広く扱う音楽評論家。『世界は音楽でできている』『毎日ワールド・ミュージック』『ギターは日本の歌をどう変えたか―ギターのポピュラー音楽史』『細野晴臣インタ ビュー―THE ENDLESS TALKING』など著書多数。

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