カルピスはどうして初恋の味なのか
今でこそ、アサヒグループホールディングスの一員となっているカルピスだが、その歴史のはじまりは大正6(1917)年まで遡る。創業当時はラクト―株式会社という名前だったが、2年後にカルピスが発売され、さらにその4年後、カルピス製造株式会社という名前になり、会社名にもカルピスが入ってくる。
そんな会社を象徴する人気飲料カルピスの名コピーといえば、初恋の味だがこのコピーは創業当初から使われていたもので、創業者の後輩が考えたと言われている。
大正の時代に「初恋の味」とはなんともおしゃれ!モダンな文化が流行った大正ロマンにふさわしいコピーではないだろうか。
現在は会社も変わってしまったが、変わらず愛されているカルピス。でも、町田さんによれば、かつてはそんなに気軽に飲めるものではなかったという。昭和30年代はじめは高級といっていいものであり、それこそ初恋並みに飲むことが特別なものだったそう。普及しはじめたのは、冷蔵庫が広まりはじめた昭和30年代中ころから。
ちなみに、町田さんがはじめて飲んだときは「こんなおいしい飲み物は初めての体験だった」となったそうだ。なるほど、これは初恋の味というのもうなずけるというものである。
カルピスといえば、水玉!
初恋の味はインパクトのある言葉だが、カルピスにはもうひとつ印象深いモチーフがある。それが、水玉模様である。1922年ごろからはすでに用いられていたモチーフであり、いまも変わらないカルピスを象徴するものである。
だが、当然ながらちょこちょことマイナーチェンジはされているわけで…そんなカルピス=水玉の歴史を町田さんの写真で振り返っていこう。

見慣れた水玉ではあるが、普段見ているものとは青と白が逆転している。どちらかといえば白地に青をイメージする人のほうが多いだろうが、こういうパッケージもあったのだ。


こちらは白地に青だがドットの大きさや、ロゴなんかはやはり違っている。そもそもこの水玉模様、もともとは発売日が七夕だったこともあり、ドットで天の川を表現したものがスタートだったそう。最初に水玉を用いたパッケージが登場したときは、一枚目に紹介したもののように、青地に白だったらしい。なるほど、たしかにこちらのほうが夜空に広がる星のようだ。
こうやってカルピスについて調べてみると、初恋やら天の川やらと、きれいなエピソードがたくさんあることがわかる。やはり、カルピスは今までもこれから先も愛される飲み物であり続けるような気がする。

ありとあらゆる庶民文化に精通し、膨大なコレクションとエピソードをお持ちの「庶民文化研究所」所長、町田忍さん。 昭和レトロそのもののような町田さんの研究所にお邪魔し、膨大なコレクションから懐かしいアイテムをピックアップ。懐かしいエピソードや知られざる裏話、さらに華麗なる交友録までお届けします。