子供の頃のぜいたく品・パイナップル
今でこそ青果で売られる姿もよく見られるようになったが、かつてパイナップルはそのほとんどが缶詰で流通しているものだった。また、海外で生産されているものがほとんどで輸入していることもあり、バナナと並んでパイナップルは非常に高価なフルーツだった。とにかく特別なタイミングでしか食べられなかったものである。
生のパイナップルもうまいものだが、当然ながら若干酸味が強い。
それに比べて、あのシロップ漬けのパイナップルの強烈な甘さといったら、そりゃあもういかにも特別なデザートという感じだった。
まあ、どちらかといえばシロップを食べてる感覚のほうが近い気がしなくもないわけだが…
そんな特別なデザートを町田さんが保存しないわけがない、というわけで、今回はパイン缶のパッケージについて、ご紹介しよう。
パイン缶のパッケージは缶ではなく紙だった

今のパイン缶パッケージは、缶に直接プリントされたデザインがほとんど。
だが、かつてのパイン缶は缶に紙のパッケージが貼り付けられている形状だった。これはやはり缶へのプリント技術の差なのだろうか。

パイン缶のパッケージには輪切りのパイナップルのイラストがほとんど。
ちなみに、前述したが、パイン缶は高級品だったため、手軽に味わいたいという思いから生まれたのが、かの有名なパインアメなのだとか。
当然、パインアメの形も輪切りのパイナップル。
やはりあの形は庶民の高級品への憧れの象徴のようなものになっていたらしい。

また、バナナで有名なDoleからもパイン缶が販売されている。Doleはなにもバナナを専売にしているわけではない。
果物の卸売をしているわけだからバナナもパイナップルもあっていい。
当時はバナナも高級品。
高級果物の二大巨塔とも言えるバナナとパイナップル。
Doleはバナナとパイナップルというぜいたく果物をそれぞれ取り扱っていたことになる。
恐るべし、Dole。

ありとあらゆる庶民文化に精通し、膨大なコレクションとエピソードをお持ちの「庶民文化研究所」所長、町田忍さん。 昭和レトロそのもののような町田さんの研究所にお邪魔し、膨大なコレクションから懐かしいアイテムをピックアップ。懐かしいエピソードや知られざる裏話、さらに華麗なる交友録までお届けします。