熊手の由来は収穫祭から

枯れ葉集めや、田畑を耕すために使われる熊の手のような農具、熊手。今でも農具として使われているのだが、このイラストのように酉の市の縁起物としての姿として見覚えがある人のほうが多いのではないだろうか。
では、どうして農業用具が縁起物になったのだろうか。
そもそも、酉の市は東京都足立区にある大鷲神社で始まった、秋の収穫祭が発祥だと言われている。
収穫祭という性格上、次第に商売繁盛などを願う祭りへの徐々に変わっていき、その流れの中で、元々はただの農具として売られていた熊手も縁起物へと変化していったとか。
熊手はその見た目が獲物を掴んでいる手のように見えることから、福を掴んで離さないという意味や、枯れ葉をかき集める様子から福をかき集めるという意味がある。
こうした日本人らしい洒落の効いた発想により、熊手は縁起物としての地位を確立していくことになるのだ。
縁起物として認知されるようになると、指物と言われる飾りも徐々に増えていき、そのサイズまでどんどんデカくなった。さながら紅白歌合戦のラスボスのようである。
ちなみに、今回町田画伯が描いたのは東京型と言われるもの。
関西型はどうやら熊手の向きが逆になっているらしい。
東京は福をかき集める、関西は福を受ける、という違いなのだとか。

ありとあらゆる庶民文化に精通し、膨大なコレクションとエピソードをお持ちの「庶民文化研究所」所長、町田忍さん。 昭和レトロそのもののような町田さんの研究所にお邪魔し、膨大なコレクションから懐かしいアイテムをピックアップ。懐かしいエピソードや知られざる裏話、さらに華麗なる交友録までお届けします。