手押しポンプの歴史はけっこう最近

レバーを引くと水がバシャ―!
ポンプ式の井戸で水くみを経験したことがある人がどれくらいいるかはわからないが、単純ながら、あの体験はなかなか面白いものだ。
水道の発達以降はとんと目にする機会は減ったものの、昭和初期くらいまでは、案外いろんなところに井戸があり、生活用水をそこで得ていた。
そんな井戸用の手押しポンプだが、日本での起源は江戸時代に火消しが使っていた竜吐水という簡易版消防車のようなものだと言われている。
その原理を応用し、明治以降、井戸用の手押しポンプとして発展していったそうな。
今回町田画伯が描いたのは、ちょっと珍しい形の手押しポンプだ。
本体には「砲弾」という言葉が刻まれていて、その言葉どおり、頂点の部分は砲弾のような形をしている。
どうやら戦前に設置されたポンプで既に使われていなかったとのことだが、今から35年前に築地で見つけたものだそうだ。
戦勝を記念してこうした戦争関連のものを模したものが昔はけっこうあったらしいから、これもそういった類のものなのかもしれない。

ありとあらゆる庶民文化に精通し、膨大なコレクションとエピソードをお持ちの「庶民文化研究所」所長、町田忍さん。 昭和レトロそのもののような町田さんの研究所にお邪魔し、膨大なコレクションから懐かしいアイテムをピックアップ。懐かしいエピソードや知られざる裏話、さらに華麗なる交友録までお届けします。