クロモジの黒文字!?楊枝の話です。

クロモジの黒文字!?楊枝の話です。

あるときは食べ物を食べる道具として、またあるときは歯に挟まったのを取るのに重宝する楊枝。甘味処や和菓子に用いるときはその名を変える。庶民文化研究の大家 町田忍さんにそのあたりの話を聞いた。今回も庶民文化研究所収蔵のコレクションとともに。


和菓子になると楊枝も品よく名前を変える

「黒文字」の由来は「クロモジ」という木。クロモジでつくられた楊枝だから「黒文字」。

これらは庶民文化研究所収蔵の楊枝(またはその包み紙)の一部。
まずは町田さんに甘味処や和菓子で用いられる楊枝をピックアップしてもらった。

甘味処や和菓子で使う楊枝を「黒文字」と呼ぶそうだ。
「黒文字」の由来は「クロモジ」という木。クロモジでつくられた楊枝だから「黒文字」。

この「黒文字」、実は爪楊枝という呼び名よりも古くから存在しているそうな。「クロモジ」は殺菌効果や独特の香りがあって楊枝に用いるに適していたのかもしれない。

繊細な和菓子に相応しい品のある黒文字

こちらも同じく和菓子用の楊枝。
とても身近な楊枝ではあるが、この形状で和菓子を食べるようになると高級感を醸し出されるから不思議だ。
繊細な和菓子に相応しい品のある黒文字である。

実はとっても歴史のある爪楊枝

ごくごく当たり前のように身近にあって、誰もが使ったことのある爪楊枝。
実はそんな身近な爪楊枝にはとてもとても長い歴史がある。

なにせ、歴史上に初めて爪楊枝っぽいものが登場するのはネアンデルタール人の時代なのである。
爪楊枝の原型は最も原始的な歯ブラシとして誕生した。
お釈迦様も身だしなみのひとつとして爪楊枝を推奨しており、僧侶の必携品だったこともあるらしい。
ちなみにきちんとした産業として楊枝産業が日本で発展したのは明治時代以降と言われている。それから飲食店が増え、食事の伴として、すっかり身近な道具となっていったのだ。

町田さんによると昭和40年代くらいからそれまで裸で置かれていた爪楊枝が一本ずつ袋に入れられるようになったそう。

この変化は町田さんの予想によると衛生面の配慮ではないかとのこと。
最初は高級店ばかりだったが、個包装が大衆店にも広がり、いまでは居酒屋チェーンにも使用されている。

包み紙どころか桐箱入りの爪楊枝も

いかにも豪華な楊枝は、日本橋さるやのもの。

このいかにも豪華な楊枝は、日本橋さるやのもの。
宝永年間に創業し、300年以上の歴史を持つ、日本唯一の楊枝専門店らしい。
金千両と書かれていて、なんとも縁起のよさそうなものである。こちらもクロモジの木が使われているそう。
それにしても、楊枝専門店なんてものまであるとは、楊枝の世界は奥深いものである。

手作りの楊枝入れの数々

最後は手作りの楊枝入れの数々。
箸袋なんかも自作する人はいるけれど、やはり楊枝にもそういった文化があるようだ。

千代紙を使ったり、服のようなデザインにしたりととても手が込んでいる。
楊枝の歴史もさることながら、楊枝袋のデザインにも様々な歴史と文化があるようだ。

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