ドイツ生まれのポップな炭酸飲料・ファンタ
コカ・コーラを発明し、清涼飲料水のキングとなったコカ・コーラ社。だが、コカ・コーラ社にはもうひとつ、社を代表する炭酸飲料がある。それが、ファンタだ。
ファンタが生まれたのは、コカ・コーラ社のドイツ法人。実はファンタの誕生には第二次世界大戦が大きく関係している。
激化する戦争によって、アメリカ本国からコカ・コーラの原液を輸入できなくなったドイツ法人では、コカ・コーラに替わる炭酸飲料を求めて開発を続けていた。その試行錯誤の結果、誕生したのがファンタなのだとか。
ちなみに、もう一つのコカ・コーラ社の有名な炭酸飲料「スプライト」はドイツで売られていたファンタクリアレモンという味の飲み物が名前を変えて発売されたものらしい。
ファンタの力、おそろしい。
日本で初登場したときにはすでに世界中で人気を博しており、当然日本でも大人気となった。では、その懐かしき空き缶たちをさっそく紹介していこう。
時代を超えたファンタの空き缶の山

これは、庶民文化研究所所長・町田忍さんのファンタ(空き缶)コレクションの一部。
昔懐かしいパッケージのものから最新のものまで、とにかくたくさんのファンタの空き缶がここにはある。当初からなかなかファンキーなパッケージではあるが、時代を経るごとによりポップになっているような気がする。
ちなみに、オレンジとグレープに至ってはこんな感じ。

さすがは王道の味。庶民文化研究所の収蔵量もことさら豊富なようだ。
ちなみに、ファンタで最初に商品化された味はオレンジなのだそう。

なかでも珍しいのは、このころの空き缶たちだろう。
オレンジ、グレープ、アップル、レモン、そしてゴールデングレープ味の空き缶たちだ。
このゴールデングレープという味を聞いて、一部の人はピンと来ているかもしれない。
そう、ファンタには幻の味ゴールデンアップルがある、という都市伝説だ。
その昔、着色料問題によりグレープやオレンジが一時消えていた時期があり、その影響でゴールデングレープという味が発売された。
いわば着色料をつけないグレープ味だ。
しかも着色料問題が解決すると、この味はひっそりと終了している。
そういう背景や、液体の色がグレープというよりはアップル寄りの色をしていたために、この都市伝説が広まったのではないだろうか。
ちなみに、平成14年(2002)年にはコカ・コーラ社が都市伝説を逆手に取って、実際にゴールデンアップル味を発売していたりする。
こういう噂が誕生するのも、人気があったという証拠にほかならない。
やはりコカ・コーラは定番以外も、すごいのである。

ありとあらゆる庶民文化に精通し、膨大なコレクションとエピソードをお持ちの「庶民文化研究所」所長、町田忍さん。 昭和レトロそのもののような町田さんの研究所にお邪魔し、膨大なコレクションから懐かしいアイテムをピックアップ。懐かしいエピソードや知られざる裏話、さらに華麗なる交友録までお届けします。