創業は大正。三角屋根のモダンな銭湯

宮造りの銭湯が多い東京とは異なり、一歩首都から抜け出せば洋風建築な銭湯は存外たくさんあるものだ。今回紹介する愛知県豊橋市にあった銭湯、みその湯さんもその一つ。
以前紹介した櫻湯ともまた異なり、三角屋根がどこか山小屋を感じさせる建物だ。
創業はかなり古く、町田さんによれば大正初期まで遡るという。古めかしい旧字体の看板は右から左に読むかつての横書きであり、その歴史の一端を垣間見ることができる。
全体的に白っぽい建物の中に、「サウナ」と「牛乳石鹸」の赤い文字が妙に映えている。
これはついついサウナに行きたくなるというものである。
残念ながら現在は営業していないということだが、中に入れば戦争中に焼夷弾で空いた穴の跡があるという。戦争を生き抜いてきたたくましい銭湯が、時代の流れの中に消えてしまうのはなんともさみしいものである。
せめて町田さんの絵の中で、いつまでも残ってほしいものだ。
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