DOHCエンジンはトヨタが世界に誇る技術の結晶

・モデル名 :スプリンター1600GTリフトバック(4代目・TE71型)
・メーカー名:トヨタ
・年式 :1980
・撮影場所 :2017トヨタ博物館クラシックカーフェスティバル in 神宮外苑
・撮影者 :ミノ
クーペの屋根を伸ばして利便性を向上させたリフトバック

昭和54年(1979年)に4代目スプリンターが登場。「トヨタ・ツインカム」を排ガス規制に対応させつつ磨き上げた、世界に誇るDOHCのハイメカニズムの結晶ともいうべき2T-GEUエンジンを搭載。
1588ccの排気量にして115馬力の出力を誇り、ハイウェイクルーザーとしてその高い性能を遺憾なく発揮した。
4代目スプリンターはセダン、ハードトップ、3ドアクーペ、3ドアリフトバックの4種類のボディタイプを持つ。リフトバックは大きく傾斜したリアゲートと広い荷室が特徴のユーティリティ・クーペだ。
一般的なクーペと異なりリアシートの居住性と荷室容量、さらに荷室へのアクセスの良さを確保した「スタイリッシュさと利便性の両方を確保した」新しいコンセプトのスポーティカーだ。
セリカ・リフトバックなどもそうだが、広い荷室にレジャー道具を積み込み、アクティブに余暇を楽しむ豊かなライフスタイルを感じさせる。ひっちゃきになってカーブを駆け抜けていくより、気分良くハイウェイ・クルーズを楽しむのが似合う。そのために高性能と高速巡行性を備えているというコンセプトの、大人のためのクルマだ。

もっとも、当時そういったコンセプトが広く浸透していたかというと、やはり少し疑問なところもある。
1.6リットルのツインカム・2T-GEUを積むクーペモデルは、レビンやトレノをはじめ大人気だった。
だがその人気車の「屋根を伸ばした」リフトバックはイマイチ認知度が高くなく、いかに便利で様々なシーンで活躍するコンセプトとはいえそれほど多くの人には受け入れられなかったようだ。
やはり当時はまだこういったコンセプトは時期尚早だったのだろうか。
トヨタは他にもセリカやコロナなどいくつかの車種にもリフトバックモデルを設定したが、セリカを除いてどれもそれほどパッとしなかったようだ。
もっとも、北米や欧州ではこういったクルマは根強い人気があるので、いつかは日本でも理解されることだろうとトヨタは考えていたのだろう。その後もいくつかの車種に、地味ながら設定し続けていた。
現代になってショートワゴンやシューティングブレークのようなユーティリティとスポーティさを兼ね備えたクルマも人気になっているのを見るにつけ、ようやく時代が追い付いてきたという感がある。
