78年以降はNAモデルも「930」となる

・モデル名 :911カレラ(2代目・930型)
・メーカー名:ポルシェ(西独)
・年式 :1985
・撮影場所 :第8回 石和温泉郷クラシックカーフェスティバル2018
・撮影者 :ミノ
究極の高性能実用車、とも言われる911カレラ

クルマ好きならば一度は憧れたことがある人も多いだろう、スポーツカーの雄・ポルシェ911。
4代目993型までの空冷フラット6エンジンを積んだ、いわゆる「空冷ポルシェ」は一番新しいモノでも20年以上前のモデルになるが、いまだに人気が高く中古車は高値どまりしている。
なかでも2代目となる「930型」は、昔ながらのカエル顔のイメージが強く、ポルシェといえばコレ!という人も少なくない。
他の車種であれば大古車もいいところで、よほどのクルマでなければ流通などしないところだが、ことポルシェに限っては40年以上前のモデルでも7割以上が現役というから驚きだ。
機械面が非常に丈夫で壊れないというのもあるけど、まるで金庫のように堅牢なボディがいつまでたってもヘタらないからともいわれる。
あのカキン!というドアの閉まる硬質な音を聴けば、それもまた納得させられてしまう。

2代目911は「930型」とされるが、930型とは本来2代目のターボモデル(ポルシェ・ターボ)を指すもの、と言われることがある。
2代目はNAモデルをひっくるめて「ビッグバンパー」なんて呼び方をされることもあるのだが、実はNAモデルは1977まで「901型」で、1978年以降は「930型」となるのだ。なので、年式によってはNAモデルを930型と呼んで差支えない(2代目は1974年~1989年の製造)。
ちなみにビッグバンパーというのは、当時のアメリカ連邦自動車安全基準により、「時速5マイルまでの衝突で、車両も人も傷つけない衝撃吸収型のバンパー」を装着せねばならないという規制に準じた装備をいう。
衝撃吸収部分がジャバラ状になっている後付け感の強いバンパーが多く、たとえばダットサンZ(S30型)など国内向けに比べかなり大きなバンパーが追加されているのを見たこともあるだろう。

911カレラはターボに比べて前後のフェンダーの張り出しが小さく、よりスマートなラインになっている。
リアのウイングも小ぶりな「カレラウイング」が装着され、「ターボウイング」とは形状が異なる。ターボはウイングの付け根部分にインタークーラーが入るスペースが取られるため、台座が大きくなっているのが違いだ。
日本では歴代911の人気はとても高いが、その理由のひとつに「高い実用性」というのがある。
イタリアのエキゾチックカーなどのような、1点モノに近い工芸品のような製造工程のクルマと違い、ポルシェは良くも悪くも「非常に精度の高い工業製品」である。
ゆえに、高い品質をきちんと担保し、かつ掛けたコストに見合う完成度を誇る。
しかも、+2とはいえ座れなくもないリアシートと意外と入るフロントトランクを備えている。
さほど気難しくもないので、その気になればコンビニやファミレスに乗っていくぐらいのチョイノリもできてしまうのだ(もちろん、日ごろの努力は要るだろうが)。
こんなスポーツカー、他にはちょっとない。
