英国・ルーツ社製のセダンを完全ノックダウンでいすゞが製造

・モデル名 :ヒルマン・ミンクス(2代目・PH100型)
・メーカー名:いすゞ
・年式 :1964
・撮影場所 :第8回 石和温泉郷クラシックカーフェスティバル2018
・撮影者 :ミノ
いすゞが乗用車市場に参入した先駆けのクルマ

ヒルマン・ミンクスは現在は乗用車製造から撤退してしまったいすゞが、イギリスのルーツ社が製造していたセダンを完全ノックダウンで組み立て・販売していた中型セダンだ。
「完全ノックダウン」というのは、全ての部品を本国から輸入し、組み立てと販売を現地で行う方式をいう。部品は購入しなければいけないが、組み立てのノウハウを学ぶことができるため、戦後しばらくの間さかんに行われていた。
産業復興のために通産省が率先して推し進めていたようだ。
他メーカーでは日野ルノー(ルノーの4CVを製造)、日産のオースチンA40などが有名だね。
「ヒルマンミンクス」という呼ばれ方をすることが多いけど、正しくは英国ルーツ社のブランド「ヒルマン」の「ミンクス」という車名という建て付けだ。
ミンクスはヒルマンの大衆車なのだけど、日本では高級車として販売されていた。
まあ、当時の日本からしたら英国車なんてみんな高級車みたいなものだし、国産他メーカーの純国産車種と比べたらどうしたって上位クラスになってしまうだろう。

初代・いすゞ ヒルマン・ミンクス(PH10型)はヒルマン・ミンクスMk-Ⅳ、2代目PH100型はMk-Ⅷのノックダウン生産をしたものだ。
いすゞはヒルマン・ミンクスの製造を通じて得たノウハウをもとに、後継モデルとなるベレルや小型量販車のベレットを開発した。
ヒルマン・ミンクスは日本でも人気が高かったため、ベレルやベレット登場後もしばらく製造が続けられていた。
1964年型は最終型に当たるのだけど、この頃になるとイギリス本国製のミンクスより、いすゞ製のほうが製造精度が高いとまで言われるほどになっていた。
いすゞは現在、残念ながら乗用車市場からは撤退してしまっているが、先に挙げたベレットの他にもいくつもの自動車史に残る名車を発表しているのは誰もが知る通り。
きっと自動車製造を学んだ題材となった、このヒルマン・ミンクスがとても良い教材だったからなのだろうと想像してしまう。
