ケンメリは67万台以上製造されたうち、GT-Rは197台のみ

・モデル名 :スカイライン2000GT-R(4代目・KPGC110型)
・メーカー名:日産
・年式 :1973
・撮影場所 :第8回 石和温泉郷クラシックカーフェスティバル2018
・撮影者 :ミノ
ケンとメリーのスカイラインは、歴代最高のヒット作

人気の高い国産旧車は数あれど、その希少性もあって最も人気の高い車種のうちのひとつと言えるのが「ケンメリ」こと4代目スカイラインに設定された、GT-Rだ。
「ケンとメリーのスカイライン」のキャッチコピーで爆発的なヒット作となった4代目スカイライン。1972年から77年の5年間で67万台以上が製造された。
若い男女がスカイラインに乗り日本中を旅するというシリーズもののCMが放映され、それまでのスカイラインが持っていた、レースで強い、高性能でタフなスポーツ性といった硬派なイメージとは異なるソフトさをアピールするものだった。
その人気はすさまじかった。
アパレル商品を始めとして様々なケンメリグッズが作られ、それらがまた爆発的に売れていた。それはもう、社会現象といってもよいほどのフィーバーぶりだった。
ただ、ソフトなイメージを重視したといっても、そこはやはりスカイラインだ。
1972年9月のケンメリ登場から半年後、そのスポーツイメージを一身に受け、2ドアハードトップをベースにブラックアウトしたグリルやオーバーフェンダーといったハードな装いをまとった「2000GT-R」(KPGC110型)が追加されたのだった。
その凄みと言っていいほどの迫力を湛えたシルエットに、見るものは圧倒された。

先代のC10型「ハコスカ」と同様、2000ccのS20型エンジンを搭載し、ブラックアウトした専用のグリル、リベット留めされた黒いオーバーフェンダー、そびえたつようなリアスポイラーを装備したGT-Rは、たった197台が製造されたに過ぎない。
そのうち2台はレース仕様車で、しかも実際にはレースに出場はしなかった。
だが先に述べたようなケンメリグッズやモデルカー等を通じ多くの人の目に触れ、ケンメリ人気をさらに高めることにつながった。
197台しか製造されなかったのは、当時毎年のように強化される排ガス規制に対応が難しかったからとされているが、GT-Rに装備されていたミクニ製のソレックスキャブレター(S20型用)の在庫が197台分しかなかったからとも言われている。
(ただし、生産台数については近年、200台と少しが製造されていたことを示す資料も出てきているようだ)
結果的にそれがケンメリGT-Rの希少性ともなり、後のR32型までGT-Rがラインナップされなかったことも加わって、ファンにとって堪らない存在となっていったのだ。

現在は旧車趣味の王道の車種のひとつとして、多くのファンに愛されているケンメリGT-R。
登場から45年が経つ現在も、その人気が衰えることはない。
2ドアHTをベースに作られた「GT-R仕様」も多くみられるようだが、もともと希少なクルマを再現するのだって旧車の楽しみ方の大事なひとつだと言っていいだろう。
こうしてイベントなどで見かけると、ファンはやっぱり笑顔になるじゃないか。
それに、集まっている人たちみんなとても楽しそうなのだしね。