【旧車】レーシング・スポーツを標榜し、新時代をつくったスカイライン

【旧車】レーシング・スポーツを標榜し、新時代をつくったスカイライン

いつの時代も魅力的なモデルを世に送り出し、多くのファンを魅了し続けてきた日産・スカイライン。歴代モデルの多くに愛称が付けられ、それが型式名とともに広く浸透していることからもその愛されぶりが伺い知れる。クルマ好きならば、ハコスカ、ケンメリ、ジャパンと聞いてどの世代のことだか思い浮かぶ人がほとんどだろう。そんな車種は、寡聞にして他に知らない。


スカイライン新時代を感じさせるDOHCエンジン

古くから敬愛を持って「スカG」と呼ばれ親しまれた、直列6気筒エンジンを積むGTシリーズが主力のグレードだったスカイライン。1981年(昭和56年)に5代目C210型「ジャパン」からモデルチェンジして登場した6代目R30型には、新しいスポーツグレードが設定された。その名は「RS」。レーシング・スポーツを名乗るこのモデルには、新開発の直列4気筒エンジンであるFJ20E型が載せられた。S20型以来の4バルブDOHCを採用し、古くからのスカイラインファンを喜ばせたのだ。
R30型の発売当初は、C210型と同じくL20型直列6気筒エンジンを搭載するGTシリーズと直列4気筒のZ18型/Z20型を積むTIシリーズの2系統からスタートしたが、発売から2か月後の1981年10月には先に述べた直列4気筒4バルブDOHCのFJ20W型を搭載したDR30型「2000RS」が登場した。
これは伝説のGT-Rの再来?と期待されたが、敢えて新しく「RS」を名乗り「GT-R」としなかったのはFJ20E型エンジンが直6ではなく直4だからとも言われている。しかし、元は実用車向けエンジンをチューンナップしたL型系の唸りとともに湧き上がるようなパワーやトルク感とは異なり、新設計DOHCエンジンの軽くフケ上がり加速に優れ軽快感のあるフィーリングは、スカイライン新時代を感じさせるものだった。
もっとも、新エンジンの採用の背景には、1965年(昭和40年)から生産されていたL型が1975年(昭和50年)からの自動車排出ガス規制の強化に対応するため、酸化触媒とEGR等より構成される排ガス対策「NAPS(日産公害防止システム)」が装着されたことで、扱いやすさや出力が低下することになりユーザーから不評だったこともあるだろう。だからこそ、新世代のR30型ではスポーツグレードに敢えて往年の「GT-R」のエンブレムを掲げず、「RS」としたのだ。登場時の「4バルブ無くしてDOHCは語れない」というキャッチコピーには、日産の様々な想いが込められていたはずだ。先代となる5代目C210型・ジャパンの後期頃には、先に排気ガス対策に目途を付けたトヨタが高性能なDOHCエンジンをセリカ等に搭載、「名ばかりのGT達は道をあける」だの「ツインカムを語らずに真のGTは語れない」だのといったキャッチコピーでさんざっぱら日産を煽っていたのを覚えている方もいるだろう。A60系セリカは8バルブのDOHC(ツインカム)だったため、R30型で16バルブを搭載し、文字通り「ブチ抜いてやった」気分だったはずだ。

イメージキャラクターはポール・ニューマン

最近では6代目が「R30型スカイライン」と呼ばれることも多くなってきたが(恐らく、次の「7th」があまり定着せず「R31型」と呼ばれる方が多く、さらにその後はR32・R33・R34が続くからと想像される)、当時の愛称は『ニューマン・スカイライン』。そして今でもよく使われるが後期型だけを指して『鉄仮面』と呼ぶのが一般的だった。もちろんこれは俳優とレーサーという2つの顔を持つスター俳優のポール・ニューマンが広告キャラクターに採用されていたことに由来する。
ポール・ニューマンといえば、爽やか路線のイケメン俳優。アメリカの俳優養成学校アクターズ・スタジオでは、「エデンの東」のジェームズ・ディーンや「波止場」のマーロン・ブランドと同期だったという。ニューマン自身はディーンの急逝により突然ポストが空いた「傷だらけの栄光」に出演したのを機にスターへの道を駆け上がった。1969年にロバート・レッドフォードと共演したアメリカンニューシネマの「明日に向かって撃て!」が大ヒットし世界のトップスターとなったのだった。その後、映画制作会社を設立。初めて製作を担当した映画「レーサー」をキッカケにカーレースに熱中するようになり、フェアレディZでレースに参加していたという。「ジャパン」の持つ和風な雰囲気や男臭さといったイメージから一転するには最高のキャスティングだったと言えるだろう。
後期型「鉄仮面」にマイナーチェンジした1983年(昭和58年)には、ノーズ右側にサインデカールが貼られたHR30JFT型「2000ターボGT-E・S ポール・ニューマン・バージョン」も発売された。レーサーである氏の好みが反映されたかのような、豪華かつスポーティなハイグレードモデルだった。

ボディサイドのステッカーはハイパワーの証し

R30型が販売されていた1980年代前半は、各メーカーともモアパワー、モアスピードを競い合っていた時代で、R30型はまさにその渦中にいた。NAモデルでスタートしたRSだったが、1983年(昭和58年)2月には『史上最強のスカイライン』のキャッチコピーのもと「2000RSターボ」(DR30JFT型)が発売。8月にはマイナーチェンジでグリルレスの「鉄仮面」スタイルとなり、翌1984年(昭和59年)にはインタークーラーが搭載された「ターボC(2000ターボインタークーラーRS、およびRS-X)」がR30型の集大成として登場した。高性能バージョンが登場するたびに、ボディサイド下のスペックを示す大型のステッカーが「4VALVE DOHC RS」から「4VALVE DOHC RS-TURBO」、さらに「4VALVE DOHC RS-TURBO」にヌキ文字で「INTERCOOLER」と追加されてどんどん大きくなっていくのを見て、胸をアツくしたファンも多かったことだろう。
5代目C210型「ジャパン」までのモデルから大きく進化し、豊富なラインナップや卓越した走りで新たなスカイライン人気を確立したR30型スカイライン。今振り返ってもどれに乗りたいか迷ってしまうような、歴代の中でも希代の名車だと言えるだろう。

【クルマニアックイズ】148本目

https://goldenyokocho.jp/articles/3123

リムジンもびっくりなR30型スカイラインの便利機能とは?

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