独自のレイアウトはユーティリティを突き詰めた結論

・モデル名 :サンバー(2代目)
・メーカー名:スバル
・年式 :1972
・撮影場所 :サクラオートヒストリーフォーラム2018
・撮影者 :会長
キャブオーバー+RRで荷台を最大限に!

サブロク軽の最大のヒット作、スバル360のドライブトレーンやシャシーを流用し、リアエンジン+四輪独立懸架サスという構成で開発された初代サンバー。
軽トラックではいち早くキャブオーバー型を採用した、小さいながらも抜群の積載性を誇る優等生だ。
キャブオーバーはボンネットがない分、正面からの衝突安全性が不安視されがちだが、当時逆に「前が良く見えるので事故率が低くなる」という研究結果もあったそうだ。
スバルはそれをふまえて、積載性を確保するためキャブオーバー型の採用に踏み切ったともいわれている。
RRレイアウトのシャシーとキャブオーバーの組み合わせにより、荷台は最大限に広げられ思惑通り積載性は良好。
しかもベースがスバル360ということもあり、足回りの性能がよく乗り心地に優れていたのでデリケートな品物を運ぶことも多い個人商店などに好まれたそうだ。
昭和41年に登場した2代目サンバーは「ニューサンバー」の愛称で呼ばれ、初代よりもすっきりし洗練されたフェイス回りとなった。
燃料タンクが大きくなって、満タンで約500キロ走れるようになったのも、ビジネスユーザーに歓迎された。
初代から継承された乗り心地のよさと荷台の広さは、住宅地の配送が多く、さらに荷物が大きい個人事業主にとても好まれたという。例を挙げると、畳屋さんやガラス屋さんなどがそうだ。とくにガラス屋さんには、「ガラスが割れない」と歓迎されたと聞く。
後の世代では、小口輸送の「赤帽」の車もサンバーだね。
乗り心地の良さという点では、積んだ農作物が揺れて痛むのが少ないので、農家にも重宝されたそうだ。それにリアエンジンのため空荷状態でもリアの駆動輪にトラクションが十分かかり、荒れた農道でも縦横に走り回ることができた。
キャブオーバーなので見切りもよく、田んぼのあぜ道や狭い農道だってすいすいと行ける。
そんなこともあって、同じRRレイアウトの名車になぞらえて「農道のポルシェ」なんていうニックネームがついたようだね。

