銀幕のスターになった蒸気機関車

蒸気機関車の中で最も知名度が高いと言って過言ではない人気者、D51。
いわゆるデコイチ。
鉄道ファンのみならず、一般にも広く知れわたる存在だろう。
デコイチほど有名でなくても、蒸気機関車にはそれぞれの魅力や物語がある。
今回の「昭和レトロ画帖」は、D60。通称デロクマル。
D60、通称デロクマルは、D50形を改良して生まれた機関車で、1951年~1956年の間で計78両生産された。
町田さんがイラストにしたためたのはD6058。つまりデロクマルの58番目の車両だ。
1970年に大分運転所で撮影した写真を元にイラストを書き起こしたらしい。
後部の石炭と水を溜めておくテンダーという部分に給水機で水を補給しているところだそう。
現存する車両はわずか4台。デコイチに比べ、かなり少ない。
町田さんがイラストにしたこの58番目のデロクマルは実は銀幕のスターでもある!
仲代達矢も出演していた「裸の太陽」という映画で、このデロクマルが東北本線郡山区を走る姿が使われている。
急勾配を登るために走りながらレールに砂をまくというレアなシーンまでもが映されているのだ。
D6058は残念ながら残されていないが、映画で、そして「昭和レトロ画帖」で思い浮かべていただきたい。

ありとあらゆる庶民文化に精通し、膨大なコレクションとエピソードをお持ちの「庶民文化研究所」所長、町田忍さん。 昭和レトロそのもののような町田さんの研究所にお邪魔し、膨大なコレクションから懐かしいアイテムをピックアップ。懐かしいエピソードや知られざる裏話、さらに華麗なる交友録までお届けします。