死語解説:ケツカッチン[状態動詞]

ケツ、つまり「後ろ」がカッチンカッチン状態。
転じて後ろの予定が詰まっている状態を指す言葉。もともとは映画やテレビの撮影でカット終わりにカチンコを持っていくことから来ているらしい。
テレビ業界などのいわゆる業界用語として使われていたが、バブル華やかなりしときは一般にも広まった。
時代背景
この言葉が流行したのは、いわゆるバブル期。
昭和末期から平成のはじめにかけて、日本中が好景気という熱に浮かされていた時代のことだ。どの業界も人も大いに恩恵を受けていたものの、この時代を象徴する成長を遂げた業界は何をおいてもテレビ業界だった。
若者は華やかな業界に憧れるというのは世の常ということで、業界用語が日常に転用されていき、テレビ業界が経済的な面だけでなく、文化的な面でも席巻していた時代だったのだ。
そんな業界用語のひとつが「ケツカッチン」。
撮影の現場で使われるカチンコ。アクション終了(つまりケツ)にカチンコをならすことから、ケツにカッチン、つまり後ろが決まっているということになり、転じて後ろに予定が詰まっている、という意味で使われるようになった。
昭和の死語盛り合わせで例文を作るなら「ケツカッチンなのでお先にドロンします」などの使い方が考えられる。
あの時代は遊びにせよ、仕事にせよ、誰もが予定いっぱい財布もいっぱいのうれしい時代だった。いまは予定いっぱいを誇るというよりはワークライフバランス、働き方改革、在宅勤務、リモート帰省の時代だ。でも、ケツカッチンになるくらいの忙しさも昭和世代には心地よく感じてしまうもの。
では、ケツカッチンなのでこのへんで失礼します。