昭和の夏、蚊取り線香の夏

昭和の夏、蚊取り線香の夏

今回は、庶民文化研究所収蔵の蚊取り線香のパッケージを町田忍所長が紹介する。プーンとうるさい蚊を退治する蚊取り線香。あのにおいもなんだかとてもノスタルジック…そんな日本の夏・昭和の夏を代表する蚊取り線香をパッケージで振り返る。


そもそも蚊取り線香とは?なんなんだ?

昭和の夏、夕暮れとくれば、ランニングシャツにステテコ姿のオヤジが、うちわ片手にビールで夕涼み。傍らには蚊遣り豚と蚊取り線香。
昭和の夏を感じさせるひとコマだ。
においというのは、記憶を呼び戻すもの。蚊取り線香のにおいを嗅ぐと昭和の夏を思い出すなんて御仁も多かろう。


ところで、そもそも蚊取り線香とは、いったいどうやってできたのか。

庶民文化研究の第一人者、庶民文化研究所の町田忍所長に解説してもらった。蚊取り線香に使われているのは除虫菊。その除虫菊に含まれるピレスロイドという成分に殺虫効果があるらしい。

金鳥の蚊取り線香

金鳥の蚊取り線香

金鳥によって蚊取り線香が誕生したのは1890年のこと。
当時は棒状で、あの独特の渦巻ではなかった。

蚊取り線香のあの独特の渦巻は、金鳥の創業者の妻が、庭でとぐろを巻く蛇を発見したことにより思いついたのだとか。
蚊取り線香ができる以前というのは大変だったようで、蚊帳を用いるか蚊遣火という煙でいぶす方法が採られていたと金鳥のホームページに書かれていた。蚊遣火で家中が煙かったそうな。

金鳥以外の蚊取り線香も実はいっぱい

町田忍さん所有の蚊取り線香一覧

町田忍さん所有の蚊取り線香一覧

蚊取り線香といえば金鳥というイメージが強いが、こちらのパッケージ写真からわかるように蚊取り線香は金鳥以外にもたくさんある。

珍しいカブトムシマークの蚊取り線香

珍しいカブトムシマークの蚊取り線香

たとえばこの蚊取り線香。
これは町田さんが蚊取り線香を集めるきっかけになったというカモ井なるメーカーの蚊取り線香だ。

1965年に民宿に泊まった際、置いてあったのがカモ井だった。
蚊取り線香なのに、カブトムシ。
パッケージの妙に興味をひかれた町田青年は以降、蚊取り線香の収蔵をはじめることとなる。

ちなみにこのカモ井というメーカー、ハエ取り紙や、最近ではマスキングテープが人気の企業のようだ。

戦前の蚊取り線香

戦前の蚊取り線香

こちらは町田さんも珍しいと太鼓判を押す蚊取り線香。
なにが珍しいのかといえば、年代だ。
なんとこちらの蚊取り線香は戦前のものらしい。
日本駆虫品製造という会社のものだと読み取れる。名前もパッケージもなんとも時代を感じさせる。

海外で展開されている蚊取り線香

海外で展開されている蚊取り線香

そして、このなにやらトロピカルなパッケージの蚊取り線香は東南アジアのものらしい。
日本のメーカーがずいぶん進出しているとのこと。フマキラーなどの見知った文字がある。

最近の蚊取りは、無香料だったり、効き目長持ちだったり便利になった。
だがたまにはあの香り、あの渦巻を思い出してもらいたい。

ところで、蚊取り線香の相棒といえば「蚊遣り豚」。
蚊取り線香を入れる置物がなぜ豚なのか。

くわしくは、町田忍著『蚊遣り豚の謎』を読んでみることをおすすめする!

蚊遣り豚の謎―近代日本殺虫史考 (ラッコブックス)

ゴールデン横丁の仲間たち | 町田 忍(まちだ しのぶ)

https://goldenyokocho.jp/articles/677

ありとあらゆる庶民文化に精通し、膨大なコレクションとエピソードをお持ちの「庶民文化研究所」所長、町田忍さん。 昭和レトロそのもののような町田さんの研究所にお邪魔し、膨大なコレクションから懐かしいアイテムをピックアップ。懐かしいエピソードや知られざる裏話、さらに華麗なる交友録までお届けします。

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