V型エンジンを搭載し、新時代のZとしてデビューした3代目フェアレディZ

・モデル名 :フェアレディ300ZX(Z31型)
・メーカー名:日産
・年式 :1987
・撮影場所 :越後丘陵公園クラシックカー展2017
・撮影者 :会長
ハイパフォーマンスGTカーとして人気を集めた新時代のZカー

初代S30、2代目S130のロングノーズ・ショートデッキというZの伝統的スタイルを引き継ぎつつ、より新しくスタイリッシュなデザインと空力性能を追求して登場した3代目フェアレディZ、Z31型。
国内でもアメリカでも圧倒的な支持を得たZカーは、スタイリッシュで高性能だけど安価でしかも日常使いできるスポーツカーだった。
3代目Zはさらにその上を行く、欧州メーカー各社のハイパフォーマンスカーやアメリカの大排気量スポーツカーを向こうに回して戦う、ハイパフォーマンスGTカーとして企図された。
従来のZカーのファンをさらに満足させ、かつその名に恥じない性能を得て世界で戦っていきたい、そんな思いが日産にはあったことだろうか。
折からの円高で、輸出が主のスポーツカーはある一定以上の高い価格帯にしたかったこともあるだろう。
必然的に、3代目Zは最新の高性能スポーツカーとしてデビューすることになったのだ。
従来のZのファンは、伝統のL型エンジンに魅力を感じていた人も多い。
安価で丈夫なそのユニットはチューニングノウハウも豊富だし、分厚いシリンダーブロックは大幅なボアアップなど大掛かりなチューンにも応えてくれる余裕を持っていたし、さまざまな互換パーツも安価でいくらでも手に入った。
しかもL型は搭載車が多いから、解体車や中古パーツは山のようにある。
そんなところが魅力のひとつだったのは間違いないだろう。
3代目に搭載されたエンジンは、Zでは初となるV型。
3.0リットルの排気量を誇るハイパワー版のVG30ETはさすがに新開発のエンジンで、コンパクトで軽量にまとめるため余分なシリンダーブロックの厚さなどはほとんどなく、ほんの数ミリのボアアップしかできない(そんなことは当然、念頭に置かれて設計されているハズもない)など、当初はチューニング派は落胆したようだ。
実は当時、北米では直6エンジンは前時代的な安いエンジンという認識が強く、主要市場の要望に応える上でもV6の導入は必須だったようだ。
だが日産はそんなマーケティング的な理由での導入に飽き足らず、ギャレット製のターボを奢ったり当時最先端の電子制御を導入するなどして、当時国内最強のパフォーマンスを引き出した。
当然、公称されることはなかったが、空力に優れることもありリミッターカットで250km/h近い最高速を誇る性能であったようだ。
1986年には、北米の日産デザイン拠点によるエクステリアのリファインが行われ、マイナーチェンジ。前期型のイメージを踏襲しつつも近代的なエアロデザインをまとった後期型となる。
リアまわり、特にテールランプなどはだいぶアメリカ好みのデザインに変更になったのだが、これがまた北米で当たり、Zカー人気がさらに盤石なものとなったのだ。

