【旧車】インプレッサ│スバル WRCを駆け抜けた、青いイナズマ

【旧車】インプレッサ│スバル WRCを駆け抜けた、青いイナズマ

自分たちの身近なクルマが参戦し、アツい闘いを繰り広げるWRC(世界ラリー選手権)。コリン・マクレーやペター・ソルベルグといった名ラリーストが駆り、世界中のファンを虜にした日本車のWRカーが、スバル・インプレッサだ。「スバリスト」と呼ばれる多くの熱狂的なファンに支持されるインプレッサの系譜と、その魅力に迫る。


日本が産んだ最強のラリーウェポン、インプレッサ

市販車のスポーツモデルとさほど変わらない箱車が、信じられないスピードで峠道やグラベルロードをカッ飛んでいくのを間近で見られるモータースポーツ…それがラリーだ。自分たちの身近なクルマが参戦し、世界中でアツい戦いが繰り広げられるラリーの最高峰、WRC(世界ラリー選手権)では長い間日本車勢が活躍を続け、多くのファンを魅了した。その代表的な車種のひとつが、スバルの「インプレッサ」だ。

鮮やかなブルーメタリックの車体に蛍光イエローでステッカーワークが施されたマシンを見たことがある人も多いだろう。その活躍ぶりは目覚ましく、まさにWRCを駆け抜ける青いイナズマのようだった。
コリン・マクレーやペター・ソルベルグの駆るインプレッサは、グラベル(未舗装路)でもめっぽう速かったが、やはりターマック(舗装路)の峠道でサイドブレーキターンをキレイに決めながら駆け抜けていく姿に魅了されたファンも多いことだろう。その姿を想起させるような、まさにターマック・スペシャルとでもいうようなチューンを施したクルマをよく見かける。適度に固めた足回りにドでかいリアウイング、茶筒のようなマフラーをドコドコ言わせる走り屋然としたイメージも強いが、そのあたりは某走り屋漫画の影響もあるかもしれない。首都高や大阪環状線より峠が似合う、そんな1台だ。
インプレッサは「スバル1000」から始まり、「レオーネ」や「レガシィ」に連綿と続く水平対向エンジンを積んだスポーツセダンの系譜を受け継ぐクルマなのだから、それもまた当然かもしれない。

「スバリスト」たちを魅了する、独自の世界観と技術力

1966年(昭和41年)にスバル初の小型車として発売された「スバル1000」は、水平対向エンジン・FF駆動を採用。小型なボディながら車内を広くとることができ、さらに等速ボールジョイントやインボードブレーキ採用によるバネ下重量の軽量化などもあって、高い操縦性と耐久性を誇った。これが結果的にスポーティな走行性能の実現につながり、しかも当時はまだ他社でもなかなか実現できていなかった先進的なFFであったことなどから、その高い技術力を信奉する「スバリスト」と呼ばれるファンを生んでいった。
その後ジープタイプではない乗用四輪駆動車の「レオーネ」が誕生、取り回しの良いセダンタイプで悪路走行を得意とする独自の世界観が確立された。さらには90年代前半に「ステーションワゴン」という新しいジャンルを切り拓いた、「スバル・レガシィツーリングワゴン」が発売された。あまりにも大ヒット過ぎて、レガシィより前のスバルの主力車種って何だったっけ?と悩んでしまうぐらい大きな存在感だった。そしてレガシィより少し小ぶりで取り回ししやすく、快活な走りを得意とする「インプレッサ」が誕生した。

「スバル1000」、「レオーネ」とそれぞれ名車ではあるのだが、商業的にはライバルに圧倒されていた感は否めない。そんな状況を打開すべくスバルの総力を挙げて開発された「レガシィ」は大ヒット作となるのだが、ヒット作の常でどんどん大きく豪華になっていってしまい、上級車種へと移行していった。その過程で空いた穴を埋めるべく登場したのが、「インプレッサ」だったのだ。
「レガシィ」の大ヒットで一息ついたスバルにとって、新しい世界戦略車を生み出すチャンスでもあった。
日本国内だけでなく、主にヨーロッパを中心としたCセグメントの市場を狙ったスバルの新しい世界戦略車だからこそ、世界各地を転戦し注目度も高いWRCに参戦する意味があったのだ。

こだわりの水平対向+4WDがもたらす、インプレッサの魅力

1992年(平成元年)に登場したGC型/GF型系・初代インプレッサはいわゆるCセグのセダンと5ドアハッチバックなのだが、後者のほうは一般的なハッチバックより少し長めの荷室を持ち、リアゲートの開口部を大きくしたいわばショートワゴンだ。レガシィほど大きくなく、ちょっと低く構え、洒落た雰囲気も漂わせて「スポーツワゴン」を名乗った。セダンやクーペのほうは地味目かと思いきや、「レガシィRS」に代わりWRC(世界ラリー選手権)参戦のベース車となり、最高性能を与えられたモデルには「WRX」の名が冠された。WRCにおける快進撃ぶりは多くの人が知るところだ。

とはいっても、「インプレッサ」をWRカーのイメージのみで語るのはちょっともったいない気もする。WRXではない、ごくごく普通の「インプレッサ」もたくさん存在する。
初代と2代目の「インプレッサ」は、扱いやすいコンパクトなサイズのボディに重心が低い水平対向エンジンを積み、電子制御されたフルタイム4WD組み合わされることによる「素性の良さ」が大きな魅力だ。ちょっと交差点を曲がるだけでも感じられる、さっと減速してすっとステアリングを切りキュッと曲がる…とでもいうような、一連の動作がスムースで心地良いのだ。フットワークが良いとでもいうか。これはやはり、スバルがこだわり続ける水平対向+4WDだからこそ実現できる乗り味なのではないか。世の「スバリスト」と呼ばれる熱烈なスバルファンたちは、きっとこのあたりにも強い魅力を感じているのだろう。

こういう素性の良さというのは、やはり悪路になるほどその真価を発揮する。だからこそ、スバルはWRCをプロモーションの場に選んだのだろうし、コリン・マクレーやペター・ソルベルグも活躍できたのだろう。またいつか、鮮やかなブルーメタリックのスバル車がWRCで疾走する姿を見たいものだ。

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