精巧で美しい、海辺の街の定番土産・貝細工

精巧で美しい、海辺の街の定番土産・貝細工

今回は、庶民文化研究所収蔵の貝細工をまとめる。海水浴場に行くとよく見かけた、貝を加工した不思議な置物。貝殻独特の色合いが美しく、昭和を代表するお土産として人気だったあれだ。さあ貝細工の世界を庶民文化研究所の収蔵品から紐解くとしよう。


貝の輝きが美しい貝細工

貝の輝きが美しい貝細工

海辺の街の定番土産・貝細工も今は遠い記憶の中に

美しい貝殻をつなぎ合わせて、さまざまな形を作り出す貝細工。
海辺の街の土産物店をのぞけば、必ず目にしたものだ。
自宅や友人宅、親戚の家などで目にしたことがある人も多いことだろう。それくらい、海辺の街の定番土産として、貝細工の置物は人気だった。

だが、それも昭和の話。
今では海辺に行っても、貝細工を目にするのはまれなことになってしまった。
もはやお宅で貝細工を見かけることも少なくなった。

孔雀を模した貝細工

孔雀を模した貝細工

貝細工の起源などはわかっていないが、庶民文化研究所の町田忍所長が保管していた東京都大田区の資料「懐かしうつくし貝細工」(大田区立郷土博物館)よると、東京にも貝細工があり、江戸時代から記録がある。
なんでも穴守稲荷の参拝土産として庶民に好まれたようだ。

貝細工が土産物としての絶頂を迎えるのは昭和30年代ごろのこと。
主に神奈川の江ノ島あたりで作られ、全国の観光地に出荷されたそうだ。

昭和30年代といえば、修学旅行が正式に学校行事になり、修学旅行専用車などができたころ。
修学旅行も貝細工の隆盛と関係があるのかもしれないと思わざるを得ない。

色とりどりの美しい貝細工

「懐かしうつくし貝細工」(大田区立郷土博物館)に掲載された孔雀の貝細工

「懐かしうつくし貝細工」(大田区立郷土博物館)に掲載された孔雀の貝細工

この貝細工、とにかくさまざまな形や色がある。
例えば、町田さんの資料に載っているのは孔雀の貝細工だ。
小さな貝がらを貼り合わせて、美しく広がる孔雀の羽を表現している。

「懐かしうつくし貝細工」(大田区立郷土博物館)に掲載されたカエルやかっぱの貝細工

「懐かしうつくし貝細工」(大田区立郷土博物館)に掲載されたカエルやかっぱの貝細工

同じく町田さんの資料に載っていたこちらは、カエルやかっぱ。
ほぼ全てが貝だけでできていてかなり精巧。

帆船を模した貝細工

帆船を模した貝細工

動物以外にも、このように船を模した貝細工もある。
小さな貝を合わせて帆に見立てていて、作り方の発想がとても素敵。
貝の形を考え、それをどう接合して思い通りの形を作り出すのか、なかなか頭を使う作業のようだ。

これほど手の混んだ素晴らしい貝細工でも、やはり歴史の流れの中で衰退してしまうというのはなんとも悲しいものだ。

色々調べてみると、そもそも日本人の生活様式が変わっていったことが原因ではないかという意見もあった。
すなわち団体旅行が個人旅行、あるいは少数のグループ旅行になり、家が洋式に変わったことで、そもそも置物を飾る定位置だった床の間や棚が家に無くなってしまったというのだ。
生活様式の変化が土産文化や、貝細工文化をも変えてしまったということなのだろう。

ゴールデン横丁の仲間たち | 町田 忍(まちだ しのぶ)

https://goldenyokocho.jp/articles/677

ありとあらゆる庶民文化に精通し、膨大なコレクションとエピソードをお持ちの「庶民文化研究所」所長、町田忍さん。 昭和レトロそのもののような町田さんの研究所にお邪魔し、膨大なコレクションから懐かしいアイテムをピックアップ。懐かしいエピソードや知られざる裏話、さらに華麗なる交友録までお届けします。

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