【旧車】パジェロ│三菱 世界一過酷なラリーにかけた三菱の熱い思い

【旧車】パジェロ│三菱 世界一過酷なラリーにかけた三菱の熱い思い

「RV」という新しいジャンルを切り拓き、新しいカーライフのスタイルを確立した名車は、最強のラリーマシンでもあった。


「RV」という新しいジャンルが誕生

いまやすっかり「SUV」という呼び方が定着しているが、かつて悪路を得意とするクルマは「オフロード車」や「ヨンク」なんて呼び方をされていた。もちろん四輪駆動だから「ヨンク」なのだが、いずれにしても過酷な環境でタフに走る男くさいクルマで、スタイリッシュやオシャレといったイメージとは程遠いものだった。山中や河原で泥やホコリ、あるいは冬山で雪にまみれて走るクルマのはずだった。
そんなイメージを一掃し、スポーティで車高の低いちょっとワルそうなクルマから人気車種の座をかっさらって見せたのが、1982年(昭和57年)に登場した「三菱・初代パジェロ」だった。

快適なゲレンデ・エクスプレス

初代パジェロは当初、3ドアのショートボディサイズでメタルトップとキャンバストップのラインナップで登場した。キャンバストップが用意されたのは、やはり伝統の「三菱・ジープ」の流れだろう。2.3リットルのディーゼル/ディーゼルターボ、2リットルのガソリンエンジンが用意された。
翌1983年(昭和58年)には3列目シートを装備する5ドアのロングボディが追加され、ミドルルーフやハイルーフ、サンルーフ付きなどのバリエーションが増えていった。

悪路の走破性が高く室内も広くて快適なパジェロはウインターレジャーにも持ってこいで、折からのスキーブームも追い風となり大人気となった。
というよりも、「RV」という新しいジャンルを切り拓き、新しいカーライフのスタイルを確立したと言っていいだろう。なにせ、それまで女子に人気のクルマといえばスタイリッシュな「クーペ」がド定番だったが、いきなり「彼氏に乗ってほしいクルマ」のトップに「ヨンク」が躍り出てしまったのだから。

バラエティ番組でも大人気に

かつての人気ゲームバラエティ番組において、番組の最後に大きなルーレットに向けてダーツの矢を投げる商品獲得ゲームがあった。観客の『パージェーロ!パージェーロ!』の掛け声を覚えている方も多いだろう。毎週、最新のパジェロ1台を景品に提供するのだから当時の三菱も太っ腹だが、パジェロを貰って実際に乗り回していた芸能人も多数いたようだ。高額の景品はモノで貰わず現金に換えてもらうケースも(当時は)ままあったそうだが、そうせずに喜んでクルマを貰ってしまうのだから人気も高かったということなのだろう。そして、そうやって最新のパジェロを愛車にする芸能人の様子がまたパジェロ人気を高める、という好循環を招いていたようだ。今ではちょっと信じられない、三菱のプロモーション戦略には驚いてしまう。

やはりパジェロといえば、「パリダカ」

こんなことを思い返すと、パジェロは見た目がゴツい割に軟派なクルマだったのではないかと誤解されてしまうかもしれない。いや、本当はむしろ逆なのだ。パジェロの歴史は、振り返れば「ダカール・ラリー」における三菱栄光の歴史にあるからだ。

1978年(昭和53年)に始まった、世界一過酷なラリーとも称される「ダカール・ラリー」は、正月にフランス・パリをスタートし、スペインを経由して地中海を渡りアフリカ・セネガルの首都であるダカールを目指すというものだった。このため、「パリ・ダカールラリー」と呼ばれ、日本では「パリダカ」の愛称で親しまれていた。当時はテレビやニュースでも頻繁に取り上げられ、人々の耳目を集めていた。人はおろか動物もおらず、植物さえほとんど見えないサハラ砂漠を横断し、道なき道をゆくこの過酷なラリーで日本車が活躍する様子に、多くの人が胸をアツくさせられたことだろう。しかも、さほど市販車と変わらないように見えるマシンが、だ。

「パリダカ」で走破する距離は軽く1万キロを超え、しかも2週間に及ぶ長期間で競技が行われる。人にもクルマにも尋常ではない耐久力が求められるし、当時は政情が不安定な地域でもあったため事故や遭難などの危険も伴った。まさに生死を賭けて行われる、アドベンチャーラリーだったのだ。
そんな過酷なラリーに三菱が初参戦したのは、初代パジェロがデビューした翌年の1983年(昭和58年)。この年、果敢にも三菱・パジェロは市販車無改造タイプで「市販車無改造T1クラス」に出場し、完走どころか総合11位入賞・マラソンクラス優勝という大金星を挙げた。そして1985年(昭和60年)には「プロトT3クラス」に出場し、みごと総合初優勝。同時にパジェロの人気は大爆発し、三菱=パジェロ=パリダカというイメージが確固たるものとなった。

その後も三菱はラリーへの挑戦を続け、1997年(平成9年)には悲願の日本人ドライバー・篠塚健次郎氏による優勝を成し遂げた。しかもこの年、三菱は1位~4位を独占するという大快挙で、パジェロの人気は頂点に達したのだった。
昨年、4代目パジェロの「ファイナルエディション」が限定700台でアナウンスされ、37年に及ぶ歴史に幕を閉じた。もっとも、世界一過酷なラリーで活躍したパジェロのことだから、まだ当分は世界中のタフな路面を駆け抜けていくことだろう。

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