水中で開く愛の花…昭和の納涼アイテム・水中花

水中で開く愛の花…昭和の納涼アイテム・水中花

庶民文化研究所収蔵のコレクションの中から、今回は水中花をピックアップ。江戸時代に日本に伝来し、以来、日本の夏にささやかな涼を提供してくれた水中花だが、今では見かけることもごくわずか。そんな希少な水中花の世界を存分に楽しんでいただきたい。


水中花と町田忍さん

水中花と町田忍さん

水中花…それは夏の風物詩

水の中で花開く水中花。涼やかなイメージ

水の中で花開く水中花。涼やかなイメージ

水中花という言葉を知っているだろうか?オヤジにしてみれば、松坂慶子の「愛の水中花」という名曲があるので言葉はご存じだろうが、実際に買った、あるいは見たことがあるという人はどれだけいるだろうか。
水中花とはその名の通り、水中に咲く花のこと。通草紙という特殊な紙を使って作られた造花を水に入れると、水分を含んだ花が開くという仕掛けだ。
もともとは江戸時代に日本に伝わったと言われ、はじめはお酒の席で杯に入れて楽しんでいたそうで、酒中花や杯中花などとも呼ばれていたそう。
酒の杯に花を咲かすなんて江戸時代の呑兵衛はなかなかに洒落ているもんだ。

戦後になると、紙で作れる手軽さもあって、海外にも輸出されるようになり、戦後復興の一助となったそうな。水底に咲く花が日本を救うなんて、なんともロマンチックだね。
しかし、そんな水中花も今ではほとんどデッドストックアイテムとなってしまっているそうな。
そんな希少な水中花を町田さんは問屋さんで発見して大量購入したんだって。うーん、さすがの嗅覚。

町田忍さん保有の水中花

町田忍さん保有の水中花

パッケージからレトロ。水中花の世界をのぞいてみよう

水中花のパッケージ

水中花のパッケージ

なにやらレトロな筆致で男の子と女の子が水中花を眺めている様子が描かれている。
こちらが町田さんが問屋さんで箱買いしたという水中花の箱。
箱には「WONDER WATER FLOWERS」と書かれ、アメリカの国旗までもが描かれているので、これが海外をターゲットとしたものであることが想像できる。
そういう意味で言えば、こういうタッチのイラストもオリエンタルな雰囲気があり、海外受けしそうだ。
色々調べてみたが、水中花の製造会社としては「みさお製作所」なる会社が有名だったらしい。もしかしたらこれもその会社の製品なのかもしれない。
では、肝心の中身にどんなものがあるかもご紹介していこう。

一般的な水中花

一般的な水中花

こちらはごくごく一般的な水中花。水に入れると一輪の花が花開くものだ。

熱帯魚を模した水中花

熱帯魚を模した水中花

こちらは水中花とい言いつつも、熱帯魚や水草を模した形の商品。
正直ここまで行くと果たして水中“花”と呼んでいいものかわからなくなってしまう…。だが、こうしたバリエーションがあることも水中花の魅力だ。
しかも、もしかしたら花よりももっと涼しげかもしれない。

水中花の巨大化バージョン

水中花の巨大化バージョン

こちらは先程紹介した一般的な水中花を一回り大きくしたようなものだ。
普通の水中花以上に存在感のある花が咲くのだ。
おおよそ普通のものの2倍くらいだろうか。
ちょっと大きめの金魚鉢なんかで花を咲かしてみるとよいのではないだろうか。

いかがだっただろうか。
普通のものでさえ今や珍しい水中花だが、そんな水中花にもこれだけのバリエーションがあるのだ。

もし見かけることがあったなら、あるいは家の中に眠っているものがあるのならば、これからの季節の涼の取り方として取り入れてみてはいかがだろうか。

では、最後に花開いた水中花の写真を紹介し、涼しく話を締めくくろうと思う。

花開く水中花

花開く水中花

うーん、涼しげ。昭和の涼よ、永遠なれ。

ゴールデン横丁の仲間たち | 町田 忍(まちだ しのぶ)

https://goldenyokocho.jp/articles/677

ありとあらゆる庶民文化に精通し、膨大なコレクションとエピソードをお持ちの「庶民文化研究所」所長、町田忍さん。 昭和レトロそのもののような町田さんの研究所にお邪魔し、膨大なコレクションから懐かしいアイテムをピックアップ。懐かしいエピソードや知られざる裏話、さらに華麗なる交友録までお届けします。

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