ソニー エルカセットデッキ  総合カタログ

ソニー エルカセットデッキ  総合カタログ

家電蒐集家松崎順一さんが考古学的アプローチで昭和時代の様々なカタログを読み解くコーナー。今回は長島ジャイアンツ人気でプロ野球が熱かった1977年のソニーのエルカセッデッキカタログを取り上げます。


エルカセットはメタルテープの登場によって短命に終わったが、日本が生んだ渾身のテープメディアだった。

オーディオという概念を超えてカセットテープが再燃している中、今ではほとんどの人に忘れ去られてしまったアナログメディアが「エルカセット」だ。1970年代、カセットテープが進化を続け、音楽専用のクロームテープが発売されるが、以前からあるオープンリールには音質的に全く敵わなかった。そんな思いから70年代後半にソニー、松下、ティアックの3社が共同で開発し誕生したのが「エルカセット」だった。まさしく大きさもオープンとカセットの中間で、当時はオーディオマニアの間で期待が高まった製品だった。しかし数年後にオープンに匹敵するメタルカセットテープが登場し、市場は一気にカセットテープに流れ「エルカセット」は瞬く間に消えていった。ただその素晴らしさは今でもオーディオ史の中で燦然と輝いている。今回はそんなエルカセットのデッキカタログをみてみたい。

表紙はソニーのエルカセッテープ(DUAD )とデッキの中では中級機のEL-7が紹介されている。
デッキは当時のカセットデッキとデザインはよく似ており、メディアが大きい分デッキの高さも高くなっており、カセットデッキと比べるとかなりボリウム感がある。「エルカセット」のロゴも改めて見ると新鮮だ。

同じ曲一曲分に使用するテープの量の差が一目瞭然のプレゼンテーションだ。そしてカセットとエルカセットのサイズの比較にもなっており、大きさはかなり違うのが分かる。ちなみにエルカセットはテープ側が基本上になるのが大きな違いかも知れない。

このページは見開きで先ほどの右側になる。カセットテープとエルカセットの音質の違いが、これでもかと力説されている。エルカセットが短命に終わらなければ間違いなくマスターテープとして活躍したに違いない。

そしてこのカタログの中では2機種を紹介する。最高級機とポータブル機だ。その最高機種が
EL-7Bだ。価格も20万オーバーとエルカセットデッキのラインナップの中では最高価格だ。
仕様も贅沢でも、3モーター、3ヘッドと当時最高のメカニズムを備えている。そしてドルビーの調整までできてしまうスーパーマシンだ。

このページにもEL-7Bの高性能さがこれでもかと続いている。当時のマニアたちはカタログに
自分が欲しい機能をチェックし、忘れないように赤線を引いてあるものもよく見かける。中央にあるメカニズムはまるでオープンリールデッキのようだ。また、最高機種にはシルバータイプもあったのが分かる。

たぶんデンスケシリーズの中では一番レアな機種かも知れない、ポータブルのエルカセットデッキだ。インターフェースはデンスケらしいメカニカルな佇まいでゾクゾクするデザインだ。
現物は当時も見たことが無かったが、コンパクトにまとめられている感じがする。少し残念なのはラジカセまで発展しなかった事だ。

そしてスペックはフィールドでの録音のみならず、エアチェックも考えられた仕様で、完成度の高い造りだった事が伺える。デンスケマニアなら今でも一台は欲しい逸品だろう。

最後のページはエルカセットテープのラインナップも含むアクセサリーの紹介だ。テープを見ると60分と90分の2種類のみだった事が分かる。アクセサリーは殆んどがカセットシリーズと共用と見られる。エルカセットは本当に短命だったため、機器の価格が安くなってから買おうと思っていた多くの人たちが入手する前に消えてしまい伝説になってしまったのが惜しいと思っている。


出典: ソニー株式会社「エルカセットデッキ」総合カタログ (1977年)

ゴールデン横丁の仲間たち | 松崎 順一(まつざき じゅんいち)

https://goldenyokocho.jp/articles/676

家電蒐集家・デザインアンダーグラウンド工場長。1960年生まれ。インハウスデザイナーを経て2003年よりデザインアンダーグラウンドを設立し活動を開始。近代家電製品の蒐集・整備・カスタマイズ等を手掛ける。近年は特にデジタル世代へのメイド・イン・ジャパン家電の持つ魅力をカルチャーとして伝える活動をイベント、執筆等、広範囲に展開中。

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