20世紀最大のレスラー鉄人ルー・テーズのバックドロップ

20世紀最大のレスラー鉄人ルー・テーズのバックドロップ

スポーツフォトグラファー原悦生さんが蔵出しの写真と切れ味鋭いコラムでレスラーたちの汗と涙と熱狂の記憶を呼び覚まします。今回は「20世紀最大のレスラー鉄人ルー・テーズのバックドロップ」をお届けします。


1978年夏、メキシコシティ郊外のパラシオ・デ・ロス・デポルテス。ここでルー・テーズとエル・カネックのUWA世界ヘビー級選手権が行われたが、私はこの日、テーズが放ったバックドロップが忘れられない。

テーズと言えば、1939年に23歳でエベレット・マーシャルを倒してNWA世界ヘビー級王者になってから、何度も王座返り咲き1966年に50歳でジン・キニスキ―に敗れるまで、27年間という長期に渡って、ルー・テーズ=NWA世界ヘビー級王者として認識されていた。936連勝という大記録も強さの代名詞のように独り歩きした。日本では力道山、ジャイアント馬場、アントニオ猪木らと戦ってきた誰も否定できない20世紀最大のレスラーだ。

必殺のバックドロップは、力道山の時代には岩石落としと呼ばれて、強く印象付けられた。1957年に後楽園球場で行われたNWA世界戦で力道山もこのバックドロップを浴びた。

テーズのバックドロップの強烈さをさらに物語る試合が、1968年1月3日に日大講堂で行われた。国際プロレスが老舗の日本プロレスに対抗すべく、19時からTBSテレビで生放送という新しいスタートを切ったとき、テーズのTWWA世界ヘビー級王座に挑んだのが、ラグビーから転向したグレート草津だった。3本勝負の1本目でテーズのバックドロップを食らった草津は脳震盪で立ち上がれず、2本目以降を戦うことができなかった。それほど、テーズのバックドロップは強烈過ぎた。

あまりのあっけない草津のKO負けと対照的に、隅田川を挟んだ蔵前国技館で行われた日本プロレスのジャイアント馬場とクラッシャー・リソワスキーの壮絶なインターナショナル選手権は圧巻だった。国際プロレスは日本プロレスとの「隅田川決戦」に完敗した。

年齢を重ねて、NWA世界王者でなくなってからもルー・テーズという名前はビッグネームゆえに世界各地で重宝された。新興団体や勝負に出るプロモーションにとってテーズのネームバリューは絶大だった。だが、本物の実力者はゲストのような試合でもその強さを存分に見せつけることを忘れなかった。

前年にメキシコUWAのフランシス・フローレス代表からUWAの初代世界ヘビー級王者に指名されたテーズは、1978年8月27日、売り出し中のカネックを相手にその防衛戦を行った。

テーズはとても62歳とは思えないきれいなブリッジでバックドロップを放った。

ゴールデン横丁の仲間たち | 原 悦生(はら えつお)

https://goldenyokocho.jp/articles/672

16歳からプロレスを撮り始める。スポニチの写真記者を経て、1986年からフリーランス。アントニオ猪木とイラク、キューバ、北朝鮮など世界中を旅した。サッカーではUEFAチャンピオンズリーグの常連で、ワールドカップは8回取材している。プロレスの著書には「猪木の夢」「INOKI」「Battle of 21st」などがある。国際スポーツ記者協会(AIPS)会員。 FootballWorldで食べまくり!

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