ナショナルパナソニックラジオ タイミィデジタル  カタログ

ナショナルパナソニックラジオ タイミィデジタル  カタログ

家電蒐集家松崎順一さんが考古学的アプローチで昭和時代の様々なカタログを読み解くコーナー。今回は大阪万博が翌年に迫った1969年のナショナル・クロックラジオのカタログを取り上げます。


アナログなデジタルに未来を感じたタイミィデジタルは当時の最先端ツールだった。

家電のカタログは私たちの生活に密着する時代を映す鏡の存在だと思っています。今回紹介するカタログは今まで紹介してきた中でもかなり古い部類に入るかもしれない。その年代は1969年で、2019年の今からすると実に50年前のカタログになる。筆者が9才の時のカタログで、当時は子供だった為、家電のカタログを見た記憶は流石にないが、翌年の大阪で開催された大阪万国博覧会は実際に体験し、子供ながらその圧倒的なイベントに驚いたのを覚えている。そんな時代のカタログは見るだけで当時をフィードバックさせてくれる感じがする。この頃は印刷物の製作も、コンピューターもなく製図板とドラフターだけで完成させていたと思うと、一つのカタログを作る思いは今よりも熱かったと思っている。今回はそんな輝かしい未来を感じさせるカタログを紹介します。

まず表紙を見てみよう。筆で描いたようなリアルなタッチを背景に空港のシーンが時間という概念を上手く表現している。多分この当時の空港にはパタパタ式の掲示板があり、飛行機の出発・到着が続くなか途切れなく動いていたと思われる。タイミィデジタルはそんな雰囲気を彷彿される製品だったのだ。

そして中を開くとまず登場する製品がラジオだ。この頃は情報をいち早く得る道具としてビジネスマン必携のツールだった。そして男たちの趣味の世界でも大いに活用されていた。この頃出たのが「ワールドボーイ」シリーズで70年代初頭までシリーズが続いていく。そしてこのころのラジオは短波付きが多い。筆者が特に気になった製品はFMラジオを内蔵されたミュージカルICというヘッドフォンだ。

そして隣のページには自宅の部屋で使用するホームラジオもウッド調で時代を感じさせてくれる。その下には1バンドポータブルラジオがあり、今見てもユニークな製品が多いのに驚く。
特にパナペット70は「宇宙を感じさせる新しいラジオ」と表記通り、衛星のようなデザインが今も人気が高い逸品だ。さらにトランシーバーもラジオと一緒に扱われているのが分かる。
このページでも筆者が一番気になったのがどこから見ても円盤型のホームスピーカーだ。やはりこの年はアポロ宇宙船が人類で初の月面着陸を成し遂げたのが影響していると思っている。

次のページからはデジタル時計、タイミィデジタルの登場だ。大きくは3つのライフスタイルに向けて表紙にもあった最新3機種の登場だ。イメージイラストをバックにこのページの2機種がスタイリッシュで、今でも通用しそうなデザインだ。そして既存の4機種も可愛らしい。

このページにはタイミィデジタル3の詳細が表記されている。当時考えられる機能を満載している。そしてエグゼクティブ用はこの時代、やはり木目調になるようだ。そしてどの機種の紹介も、コピーが半世紀前という時代を感じさせてくれる。

最後のページは一見表紙のような構成で、ワールドボーイラジオが大きく紹介されている。宇宙技術が生んだICを使ったことが当時のオーディオのセールスポイントだ。裏面の隅々までデザインに凝ったカタログは当時の経済の勢いも感じさせてくれるのである。


出典: 松下電器株式会社「タイミィデジタル」カタログ (1969年)

ゴールデン横丁の仲間たち | 松崎 順一(まつざき じゅんいち)

https://goldenyokocho.jp/articles/676

家電蒐集家・デザインアンダーグラウンド工場長。1960年生まれ。インハウスデザイナーを経て2003年よりデザインアンダーグラウンドを設立し活動を開始。近代家電製品の蒐集・整備・カスタマイズ等を手掛ける。近年は特にデジタル世代へのメイド・イン・ジャパン家電の持つ魅力をカルチャーとして伝える活動をイベント、執筆等、広範囲に展開中。

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