『こんなものを買った』SONY CDP-391

『こんなものを買った』SONY CDP-391

B級オーディオ好きにとってCDプレーヤーの鉄板といえば何といってもマランツです。でもCD-34を筆頭に、実力機の値上がりは著しくて気軽に聴けるプレーヤーではなくなりつつあります。そこで今回は、ちょっとだけマランツのエッセンスを手軽に味わってしまおう、というのがテーマです。


DACがすべてではないけれど

基本的にCDプレーヤーはドライブとDACがポイントになっていますよね。異論は多々あると思いますが、さすがにCDプレーヤーを「デジタルフィルターで選ぶ」とか「電源で選ぶ」とかマニアックすぎるので、ここでは最重要スペックをドライブとDACとします。

1980年代マランツの傑作といえば、やはりCD-34が思い浮かびますが、CDM-1というドライブとフィリップスTDA1540というDACが黄金のペアとして人気を支えていると言って良いでしょう。

CDMシリーズはスイングアーム式ピックアップが特徴です。スタティックバランス型のトーンアームのように微弱な力でも制御できるので、サーボにかかる電流も少なくて済むからアナログ回路への影響が小さい。ゆえに音が良い、ということなのでしょう。

一方DACのTDA1540はCD1号機CD-63と同じ14ビットDACです。4倍オーバーサンプリングで強力なノイズシェーパーを採用しているため、後処理のフィルターが低次のもので良い、つまり自然な音が作られるのだそうです。このあたりはステレオ時代Vol.5に詳しく紹介しておりますので、ご興味のある方はぜひ。

さてこのCD-34に代表されるスイングアームメカとフィリップス製DACの組み合わせが人気の要因だと仮定します。そこで今回はこのDACに注目してみましょう。

いつもお世話になっている「B級オーディオファン」(http://audiof.zouri.jp/)には各メーカーのCDプレーヤーの年表が掲載されています。この年表、ほぼすべてのモデルについてDACが記載されているのです。この年表を見ると、じつはDACはそれほど種類がないことに気が付きます。とくにバーブラウンと並び各社のCDプレーヤーが採用したDACがソニー製(型番がCXから始まる)とフィリップス製(同じくTDAから始まる)でした。

面白いのは国産CDプレーヤー、とくに普及機にはソニー製のDACが多いのですが、ソニーのCDプレーヤーでもフィリップスやバーブラウンのDACを多く搭載しているのです。

とくに1986年のCDP-333ESDや1987年のCDP-337ESDあたりはフィリップス製DAC、TDA1541を採用した人気モデルです。どういった経緯でこのDACが採用されたか考えると興味深いです。ちなみにTDA1541はフィリップスの第二世代のDACで、16ビットになったモデルです。

このように、マランツ(=フィリップス)以外でフィリップス製DACを搭載したモデルなら、本家マランツより安く手に入って、マランツらしさも味わえるのでは? と思いつきました。

CDはやっぱりソニー?

ヤフオク!のCDプレーヤー(ヤフオク!では「CDデッキ」)のメーカー別の出品数を見るとソニーが非常に多いことに気が付きます。マランツ(=フィリップス)と一緒にCD規格を立ち上げたオリジネーターですから当たり前といえば当たり前ですが。モデル数も群を抜いて多く、ピンからキリまで幅広いラインナップを持っています。その反面、一部の高級機を除くと人気モデルが少なく、全体的に値ごなれしている感があります。というわけで前出の「B級オーディオファン」でソニーに絞って機種を選定してみると、CDP-950、CDP-750、CDP-M95あたりがTDA1541を搭載していて良さそうです。さらに年代を新しくしてみると1990年にCDP-391というモデルがありました。DACはTDA1543…ん、聞いたことがないDACですね。他のメーカーのCDプレーヤーを調べてもTDA1543を使ったプレーヤーはないようです。
ただ、誤記ではない証拠に、ネットで調べてみるとフィリップスTDA1543は確かにあります。というか自作DAC派の方々の間ではなかなか人気のDACのようです。
データシートをネットで探してみると表紙には「TDA1543 Dual 16-bit DAC(economy version)」と書いてあります。4倍オーバーサンプリング も内蔵しているし、TDA1541のエコノミーバージョンという理解でいいのかなあ。
ちなみに1990~1991年くらいは1ビットDACが大流行。マルチビットDACは流行から外れてました。TDA1543が採用されたCDプレーヤーがないのは、こうした要因もあるのかもしれません。
がぜんCDP-391に興味が湧いてきました。さっそくヤフオク!で調べてみると動作品の個体が4500円で出ているではないですか。とくに人気モデルというわけではないので、競合なしで無事落札です。
CDP-391はカタログによるとこんなモデルです。

1万9500円のCDって……。

届きました。
意外と美品。そして軽い。「動作品」とのことですが最近のヤフオク!は実際に動かしてみるまで安心できません。電源を入れ、「OPEN」を押してみます。

出ました! セットするとちゃんと読み込みます。ただ通電するとちょっと異臭が。古い基板の臭いは好きな方なんですが、これはちょっと…。例えるとえびせんの臭い? ちょっと海産物系の香りがほのかにします。個体特有のものなのでしょうか。

ちなみにリアはこんな感じ。本当に最低限です。

さっそく聴いてみましょう。
おお、なかなかご機嫌です。というかけっこう良い……いや、すごく良い。
え、これ本当に1万9500円で売ってたの!?というくらいしっかりした音です。
ソニーというと昔のリバティ(ミニコン)のCDプレーヤーの印象が強くて、ドンシャリ・歪多めのロック向きみたいなイメージがいまだにあります。そんな中、ここまでどストレートな音を体験しちゃうと、考えを改めないとダメですね。
では一応例のDACを確認しておきましょうか。
ネジは左右2個ずつの計4個。ちゃっちゃと外してみましょう。

えっ……(絶句)

カバーは後ろ側のセンターに両面テープが使われていてなかなか開きませんでしたが、所詮30年近く前の両面。力ずくで行けました。
ではご開帳…。

一瞬息が止まりました。
「えっ、空っぽ?」
基板がありません。
カバーの裏もすっきりしたものです。
ふとフロントパネル側をのぞくと基板がありました。

普通、フロントパネル裏はスイッチや表示関係の基板だけですが、ドライブからハーネスが伸びているので、ここにすべての回路が集約されているのでしょう。そう言われてみれば、基板を銅メッキしたネジで固定していたりするので、なるほど、と言えなくもありません。
ところがフィリップスのDACは見当たりません。実装されているLSIはみなソニー製。まさか、ロットによってソニー製DACとフィリップス製DACがあったのかな、などという考えが頭をよぎります。
基板を良く見直すとドライブや電源から伸びるケーブルが基板の切り欠きから裏に消えています。どう見ても基板はこの1枚だけ。構造を考えるとこの裏側にディスプレイやボタンのスイッチ類が並んでいるはず。仕方ないので基板を取り外すことにしました。
基板はプラスチックのフロントパネルに8箇所、銅メッキのネジで止められています。
ヘッドホンジャックの基板やヘッドホンのボリュームに気をつけて基板を引っ張ると、割と簡単に外れました。

あ、ありました! フィリップスTDA1543。正確にはTDA1543Aですね。
しかしこれだけフィリップスというのも不自然ですね。だから簡単に見えないところに配置した、というわけなのでしょうか。

究極の合理主義

ホッと胸をなでおろしつつ基板をもとに戻し、ふと筐体の後ろ側を見ると電源の基板があります。

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