System70/Nakamichi - ナカミチが統合的に作り上げたシステムオーディオ(後編)

System70/Nakamichi - ナカミチが統合的に作り上げたシステムオーディオ(後編)

1976年に600シリーズのコントロールアンプ、FMチューナー、パワーアンプ、カセットデッキをシステムラックに組み込んだSYSTEM-ONEというシステムがありました。10年後の1986年、その間に蓄積された技術をベースに、ナカミチが考えるハイエンド・オーディオとは何かを具現化したシステムオーディオであるSystem70の紹介です。今回は前回に引き続き、後編をお届けします。


前編はSystem70のコンセプトとパワーアンプPA-70について取り上げました。後編は、プリアンプCA-70から紹介します。

プリアンプ / CA-70

ハイエンド・オーディオをもっと人間に近く、パフォーマンスとコンビニエンスを両立

コントロールアンプの役割は、入力された音楽信号に何も付け加えず、何も取り去らず、パワーアンプに送り込むこと。しかし、そのプロセスには、単なる技術上のアプローチでは100%解明できないクリティカルな要素が複雑に絡み合っています。

ナカミチはコントロールアンプCA-70の設計にあたって、生の音楽の響きや繊細で微妙な音のニュアンスまで克明に再現することを強く志向し、これを具現化するため、音のクオリティを落とすことなくアンプ回路をぎりぎりまでシンプル化することに挑戦したのです。

多量のNFBを排し、裸特性の向上とピュアな信号伝送に徹した回路構成

多量のNFBに頼らず、シンプルな回路構成でピュアな信号伝送に徹する。そのため、各セクションは入力段にローノイズFETを採用し、終段はシンプルで大きな電流供給能力をもつカレントミラーブートストラップ付エミッターフォリワーで構成、さらにDCサーボ以外は高精度なディスクリートパーツを使用し、全段DCアンプとするなど、高いリニアリティとシンプルさの両立を目指しました。

チャンネル間、ステージ間の相互干渉を抑えた独創の電源構成

アンプ回路につきまとうL/Rチャンネル間の干渉や各ステージ間の相互干渉。ナカミチは回路のシンプル化とともにこの問題を重視し、「マルチレギュレーテッド・パワーサプライ」および「アイソレーテッド・グランド方式」というナカミチの独創技術を投入しました。相互干渉の防止を徹底し、ステレオイメージの明確化、3次元的な音場の拡がり、鮮やかな奥行き感など、ステージの雰囲気をリアルに描き出す空間の再現能力を向上させました。

クオリティ劣化を抑えた音場補正システム、AFT

音楽性再生は結果的にスピーカーシステムやリスニングルームの特性に支配され、伝送系のパフォーマンスが100%発揮できない場合があります。コントールアンプはこうした現実的な問題にも積極的に対応できるものでありたいとナカミチは考えました。この視点から、CA-70はクオリティの劣化を抑えた新開発の音場補正システムAFT(Acoustical Fine Tuning)を搭載しました。AFTはLow(25Hz)、Mid(250Hz)、High(30KHz)の3ポイントで、それぞれ±5dBの範囲を0.5dBステップで調整可能とし、フラットレスポンスに厳密に近づけていくことを目指しました。
私はMidの250Hzを除いて、Lowは25Hz、Highは30KHzという周波数にこれまで使用してきたアンプと大きな違いを感じました。それまで、プリメインアンプはLowが200か400、Highが3Kか6K、プリアンプはLowが100、Highは10Kが多かったと思います。この周波数ですと、Lowは小型のブックシェルフではほとんど変わらず、Highはスーパーツィーターの帯域でないと効果は少ないのではと思います。音楽ソースを変化させる目的ではなく、スピーカーシステムやルームアコースティックの補正の為を目的としているという点にナカミチのコダワリを感じます。

相互干渉を徹底排除するコンストラクション

コントロールアンプでは、回路設計と同じ比重でコンストラクション上の配慮や、パーツの選定が音のクオリティを決定づけます。CA-70ではプログラムソースの切り替えに入力端子と最短距離に設置されたクロスバーツイン方式のリレーを採用しました。信号の流れをシンプルかつストレートなものとしています。加えて、L/Rツイン・モノ構造とし、チャンネル・セパレーション110dBという極めて優れた特性を確保しました。

近未来オーディオの予感を現実のものとするトータルシステムコントロール

CA-70はあくまでも高いパフォーマンスを維持しながら、近未来オーディオの予感を先取りする人間中心の設計を実現しました。その核となるのが、CA-70付属のワイヤレスリモコンによる画期的なトータルシステムコントロール機能です。これによってCA-70はSystem70を統括するコントロールセンターとして機能。CA-70本体の操作はもちろん、接続されたコンポーネント(CDプレーヤー、2台のカセットデッキ、チューナー)の基本操作がリスニングポジションから可能なのです。

音質を落とさずにコンビニエンスを実現する入念なロジック/アンプ系の分離

「コンビニエンスを求めると、パフォーマンスはどうしても犠牲になりがち」。この通説をくつがえすために、CA-70はロジック系とアンプ系の徹底した分離対策を施しています。まず、マイクロプロセッサーのクロックノイズが音楽信号を汚さないよう、リレー部とロジック回路の間に10系統のフォトカプラーを挿入。ロジック系とリレーを電気的に完全に遮断しました。また、CA-70には他のコンポーネントのピンコードとリモートコントロールケーブルが接続されますが、このときCA-70と各機能間のグランドラインが電気的につながり、重大な相互干渉をひきおこしてしまいます。これを断ち切るため、システムリモートコントロール端子とマイクロプロセッサーの間にも30系統ものフォトカプラーを投入して万全を期しています。さらに、ロジック部や電源部をアルミシールドルーム内に完全密封するなど、アルミパネルを多用したシールドを徹底。こうした対策によりCA-70はコンビニエンスの実現がパフォーマンスに一切影響を及ぼさないようになされました。

特性と聴感で吟味を重ねた高品位パーツを積極的に投入

・メインボリューム/バランスボリューム
ボリュームのグレードも音質への影響が無視できません。CA-70では、抵抗体に高精度のディテントタイプを採用。ボリュームユニット内でのチャンネル間相互干渉を排除するなど、音質へのきめ細かな配慮を行っています。さらにワイヤレスリモートコントロールによるボリューム調整を可能にするため、モータードライブ方式を採用。ナカミチ独自の方式を開発し、一般的なモータードライブ方式の欠点を解消しています。

まず、モーターとボリューム抵抗の間に十分な距離をとり、ツマミのシャフトと抵抗側のシャフトを分離。シャフト同士を特殊なフレキシブルジョイントで接続し、モーターノイズや振動の影響からシャットアウトするとともに、スピーカーの音圧など有害な外部振動をも吸収します。さらに、マニュアル操作時の感触も十分に検討。バックラッシュをなくし、良好なフリクションと質感をもたせるなど、使い込むほどに味の出るフィーリングにもコダワっています。

また、バランスボリュームは各チャンネル10本の金属皮膜抵抗によるディスクリート構成とし、この抵抗ネットワークを21クリック、0.5dBステップのロータリースイッチで切り替える方式になっています。

・アンプセクション/電源部
使用パーツはできるだけ偏ったクセをもたない聴感的に素直なものを吟味し、物理特性の上でもクオリティの高いパーツを厳選使用しています。増幅素子ではMCヘッドアンプに超Hi-gmFETを、イコライザアンプ/ラインアンプには特性の揃ったFETを採用。受動素子では金属皮膜抵抗をはじめ、黄銅金メッキキャップ・カーボンモールド抵抗や精密な良質フィルム複合巻きコンデンサなどを多量が投入されています。電源トランスは、アンプ系、ロジック系専用に設け、それぞれにリーケージフラックスの少ないトロイダルトランスが採用されています。

内外のカートリッジに幅広く対応

リアパネルのカートリッジセレクターにより、MM/MCの選択、MMポジション時の負荷容量、MCポジション時のゲインが選択可能になっています。さらにMCポジション時の負荷抵抗は工場出荷時には100Ω固定となっていますが、付属の高精度カーボン抵抗を挿入することで、50Ω/30Ω/20Ω/10Ω/3Ωへの調整も可能となっています。

チューナー / ST-70

<Schotz NRシステム>は受信性能と音質を高い次元で両立

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