AMラジオよ永遠なれ!

AMラジオよ永遠なれ!

今回はいつもの「こんなものを買った」から趣向を変えて、消えゆくAM放送に敬意を表してAMラジオのキットづくりに挑戦します。


2023年AM停波って本気(マジ)!?

前々からそんな噂はありました。radikoやFM補完放送はその布石だって。 私はAM放送が大好きです。とくにTBS。子供のころからTBSラジオの歌謡曲番組や深夜放送を楽しみ、今でもお気に入りの番組はだいたいTBSラジオ。そんな私ですが、実際のところほとんどがradikoのタイムフリーでコンテンツを楽しみつつ、リアルタイムで聴くときもFM補完放送で聴いてます。 じゃあAM停波しても影響ないじゃん、と思いますが、AM放送を完全になくして良いものか、といえばなくすべきではないと思うんですよね、放送方式として。 AM放送のメリット、デメリットという意味ではITmediaさんが今年の9月4日に配信された「AMラジオが終わるとき」(https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1909/04/news023.html)にうまくまとめられてますので、ご参考いただきたいのですが、結論は私の思いとは真逆で、「AMの役目は終わった」という論調なんですよね。 確かにAMラジオは、音質が悪いし送信所も大掛かりなうえ、立地も地中の水分が多い広い場所が望ましいなど企業の負担は多いのです。 しかし前出のITmediaさんでも書かれていますが、簡単に受信機が作れるというメリットがあります。 周波数変調方式が採用されているFM放送は受信機側に復調回路が必要となり、回路は複雑になります。 それに対しAMは振幅変調方式が用いられていて、同調回路と検波回路さえ作れれば簡単に受信機が作れるのです……なんてさらりと書いてしましましたが、この辺のことは以前ステレオ時代でFMチューナー特集をやった際に改めて勉強し知ったことで、生まれてから約半世紀、まったく意識せずにいたのですが…。そもそも高校に入って早々に理系を諦め、物理も数学も「赤点を取らない程度」しか勉強してこなかった私は、ラジオの原理も考えたことがなかったのです。 もし同じような境遇の方がいらっしゃったら、ちょっとだけAMを見直すきっかけになるのではないでしょうか。 さて周波数変調方式のFMと違い、AM放送で使用する周波数は1つです。これでどうやって音波を伝えるのかというとただ信号の強弱だけで伝えています。

この画像はゲルマニウムラジオの説明書にあった図です。波の振幅で信号を送っている原理がよくわかりますね。(a)が放送の周波数。たとえばTBSラジオなら954kHzということになります。(b)が伝えたい音声信号。これを(a)の電波に振幅の大きさという形で乗せると(c)になります。
受信機(ラジオ)で周波数を同調させて得られるのはこの(c)、その上半分を切り取れば(検波)元の音声信号になる、というわけです。
つまり同調させて受信した信号を検波しそのまま増幅すればAMラジオの完成です。あるいは微弱な電圧の変動を音に変換できるクリスタルイヤホンを使えば、増幅回路がなくても聴くことができてしまうわけです(鉱石ラジオやゲルマニウムラジオ)。増幅しないので電源すら不要です。
ちなみに検波に鉱石を使えば「鉱石ラジオ」、ゲルマニウムダイオードを使えば「ゲルマニウムラジオ」ですが、一般的に手に入りやすいのは「ゲルマニウムラジオ」でしょう。
というわけで、今でもキットとして売られているもっともプリミティブなラジオを、AM放送の運命に思いをはせつつ組み立ててみることにしました。

たったこれだけでAM受信機は作れる!

小学生のころ、近所の駄菓子屋で100円のラジオを買ったことがあります。本体は2センチ×2センチの底辺を持ち、高さ10センチくらいのプラスチックの直方体。ここからイヤホンと先にワニ口がついた50センチくらいの銅線が出ています。上面には短いロッドアンテナがついてて、これを伸び縮みさせて同調させます。
そう今思えばこれこそゲルマニウムラジオだったのです。売りは「空気中にある電気を集めるので電池が不要」というものでした。子供心にときめきました。永遠に使えるラジオです。
当時は埼玉県川口市の外れの方に住んでまして、自宅は8階建てマンションの8階でした。しかも40年前の川口市は高い建物も少なく、まあ自宅がアンテナのてっぺんみたいな状態です。だからベランダの柵にワニ口を付けたりするとけっこう良く受信できたんですよね。戸田送信所から近いというのも良かったのでしょう。
そんな経験もあって、鉱石ラジオにはそこそこロマンを抱きつつ、秋葉原の秋月電子にキットを買いに行きました。

税込み840円(9月に買いました)です。説明書やパーツリストは中国語と英語。中国語のタイトルは「石器時代収音機」(笑)。

パーツはこれだけです。
抵抗2つ、ダイオード1つ、コンデンサが3つ、バリコンが1つ。あとはバーアンテナとかジャックとかワイヤーとか。

取説の完成図の写真が裏焼きで左右反転していたためちょっと戸惑いましたが、むしろ基板だけ見てれば数十分で完成です。

さあさっそく聴いてみましょう。クリスタルイヤホンを耳に入れてワイヤーを伸ばします。
……無音。ノイズすらありません。
メタルラックにワイヤーの先端を付けても無音。最後の手段、電灯線です。

片方に突っ込むだけなら大丈夫と分かっていてもちょっと恐い。バリコンをぐりぐり回します。と、おお音がする。人の話し声だ! あっ、ニュースだ。さらにぐりぐり回していくと音楽らしき音も。立地的に不利な試聴室ですが、木造家屋の電灯線はアンテナ代わりになりますね。
それにしてもたった数個のパーツで、かろうじてとはいえ電波を受信できるのですから、AMラジオすごい。
ただもう少しちゃんとしたラジオが作りたいなあ、ということで、数日後こんどはマルツへ行きました。
秋月より高めですが、よりちゃんとしたキットがたくさんあります。
今度はストレートラジオに挑戦です。

ストレートラジオも何種類かありましたが、選んだのはこれ。多分、教材として使われるラジオですね。
ゲルマラジオと比べるとパーツは贅沢に使われてますが、アンプはICを使ってます。

パーツは増えましたが、抵抗やコンデンサは台紙に番号が振られて取り付けられていて親切。組み立てもちゃっちゃと進みます。ジャンパーもちゃんと用意されてて楽ちんです。

最後はケースに収めて完成!
売り物のラジオみたいです(笑)

関連する投稿


『こんなものを買った』Nakamichi CR-30

『こんなものを買った』Nakamichi CR-30

じつはいまゴル横でもおなじみナカミチ道のtoby館長全面協力のもと「Nakamichi Complete Book」というムックを制作しております。毎日毎日ナカミチのことばかり考えているとナカミチのデッキが欲しくて欲しくてたまらなくなりました。


【昭和のラジカセ!! 実機や資料から魅力を探る】SONY スタジオシリーズ CF-1990

【昭和のラジカセ!! 実機や資料から魅力を探る】SONY スタジオシリーズ CF-1990

ビデオ工房トパーズを主宰するオーディオ研究家の中村雅哉さんがマニアックに深堀する「昭和のラジカセ!! 実機や資料から魅力を探る」シリーズ。今回は20cmウーハー搭載で音質を極めた「SONY スタジオシリーズ CF-1990」をお届けします。


TAE-5450 コントロールアンプ | ソニー  - ユニークなデザインの多機能コントロールアンプ

TAE-5450 コントロールアンプ | ソニー - ユニークなデザインの多機能コントロールアンプ

フロントパネルの一部をラインで囲むデザインは1970年代中ごろのソニーのアンプに共通するデザインです。上級機のTAE-8450の流れをくむ多機能なコントロールアンプです。


TPR-150 | アイワ - 努力賞をさしあげたいデザイン

TPR-150 | アイワ - 努力賞をさしあげたいデザイン

アイワのモノラルラジカセです。1970年代中ごろの製品と思われます。チューナーのスケールがFMだけ独立になっていたりスピーカーグリルもへこませてあったりと、デザインに工夫をこらした様子がうかがえます。


Mimesis SR POWER パワーアンプ | ゴールデムンド  - ハイスピードなサウンドのパワーアンプ

Mimesis SR POWER パワーアンプ | ゴールデムンド - ハイスピードなサウンドのパワーアンプ

スイスの高級オーディオメーカー、GOLDMUND(ゴールドムンド)のパワーアンプ。同社のラインアップではエントリークラスにあたる製品で、プリアンプのMimesis SR PREとペアになります。


最新の投稿


「二つ折りコタツ」…折りたたんで収納スペースが半分になる

「二つ折りコタツ」…折りたたんで収納スペースが半分になる

昭和レトロ家電蒐集家の増田健一さんが貴重なコレクションを紹介するコーナーです。今回取り上げるのは「二つ折りコタツ」。コタツでみかん、懐かしい光景です。


【クイズ・旧車千本ノック】239本目

【クイズ・旧車千本ノック】239本目

実車のディテールに迫る。三択クイズにチャレンジ!


ビー・ジーズ/Bee Gees - How Deep Is Your Love(愛はきらめきの中に) - 1977年

ビー・ジーズ/Bee Gees - How Deep Is Your Love(愛はきらめきの中に) - 1977年

ビージーズはバリー、ロビン、モーリスのギブ3兄弟を中心に結成し、全員がボーカルを担当したグループ。1963年のデビューから21世紀に入るまでの長期間活動し、数多くのヒット曲を残しました。


『こんなものを買った』Nakamichi CR-30

『こんなものを買った』Nakamichi CR-30

じつはいまゴル横でもおなじみナカミチ道のtoby館長全面協力のもと「Nakamichi Complete Book」というムックを制作しております。毎日毎日ナカミチのことばかり考えているとナカミチのデッキが欲しくて欲しくてたまらなくなりました。