『こんなものを買った』SONY TA-F222ESA

『こんなものを買った』SONY TA-F222ESA

最初はMCトランスかMC対応のフォノイコを買おうと思ったのです。でもつれづれなるままにヤフオク!を物色していたら、MC対応のアンプのほうが安いことがままあることに気づいてしまったのです。


ステレオ誌『話題の新製品を聴く』特選モデル

オーディオ機器ってゼロから聴き比べて選ぶのって実質不可能ですよね? 最終的にAにするかBにするかを試聴で決めるとしても、ある程度目星をつけてお店に行くわけです。そのときの目星の付け方ですけど、今のようにインターネットが発展してればネット情報で、というのもアリですけど、90年代前半までは、インターネットなんてあってなきがごとし。
ですのでせいぜいが知人の口コミか雑誌ということになります。で、私がもっとも頼りにしていたのがステレオ誌の『話題の新製品を聴く』でした。
かつてこの企画では各モデルを評論家3名が得点付けし、獲得点数等で無印、『準特選』、『特選』とランク付けするという、まあまあシビアなものでした。残念ながら今ではこの評価システムは廃止されてしまいましたが、これとベストバイ企画を参考に「このへんかな」と目星をつけて、あとは秋葉原に赴いて、音と触った感じ、実際の値段で決める、というのが常でした。
さて、高校生の頃、貯めたお金と親のスネで上記の方法でソニーのTA-F333ESGを買い社会人になってアキュフェーズE-305を買うまで、使い続けた私。いまでもソニーのアンプには思い入れがあります。そんな私が目をつけたのが出品されていたTA-F222ESA。状態は「CD端子からの入力で、ヘッドフォン端子、スピーカーA/B端子にて音の入出力を確認しました」とのこと。写真で見る限りけっこうキレイそうなのですが、5000円でも落札されず4500円に値下げされてました。
1991年に発売されたTA-F222ESAは、デザインはほとんど変わらず翌1992年にTA-F222ESJにチェンジするのですが、この222ESJがMOS-FETで人気っぽいんです。とはいえ222ESAも『特選』モデル。それが4500円なら買いですね!

確かに音は出ました

無事競合もなく落札したTA-F222ESA。試聴室に持ち込むとさっそくセッティング。
デザインはご覧の通りものすごくシンプルです。REC OUTセレクタ、INPUTセレクタ、ボリュームのつまみのほか、電源、ソースダイレクト、ミュートのボタンのみ。トーンコントロール、スピーカーセレクタなどは下のフタの中に隠れます。

あとリモコンがないのも、限られたコストで音を良くしようとしたんだなあ、と好印象。ヤフオク!で買う場合は『リモコン欠品』ということも多いので、「なら最初から付いてないほうが潔い」という考え方も成立します。
ちなみに我々世代が大好きなGシャーシのおかげで、14kgもあります。これが新品時4万9800円って、お買い得ですよね。まあ、それを4500円で手に入れてしまったわけで。
とりあえずCDを聴いてみます。うおー、バシバシ来る! キレが抜群によくて、それでいて細かい音もしっかり。
個人的にデノンのPMA-390なんかも大好きなんですが、あそこまで音が塊で出てくる感じではなく、ちゃんと細かい音も出しつつ、広がりもありつつ、という感じ。ちょっと硬い感じもしますが、好みの音ではあります。
コイツはいい買い物をした、とご満悦でした。しばらくは…。
TA-F222ESAを本格的にセンターに据えて数週間。いつものようにCDを楽しんでいたある日のこと。突然、本当に前触れもなくボリュームが一気に最大になりました。いや最大かどうかはわかりませんが、とにかく爆音です。急いでボリュームを絞りましたが、いっこうに音量は変わりません。とりあえずCDを止め、アンプの電源を落としてみます。再度スイッチを入れ、恐る恐るCDを鳴らしてみると、ちゃんと鳴ります。ボリュームもコントロールできます。ひとまず、原因は不明ですが誤作動は収まりました。
ところがこの日を堺にボリュームが突然効かなくなる症状が頻繁に起こるようになってしまったのです。
せっかく良い音だったのに…。
残念ながらTA-F222ESAはお蔵入りとなってしまいました。

ネットに修理情報発見

「修理に出そうかな、それとも別のアンプを買おうかな」

じつはTA-F222ESAを入手し、とても気に入ってしまった私は、予備機を知人に貸し出したり、譲ったりしてしまい、手元には邪魔にならないコンパクトなアンプが数台残っていただけだったのです。そもそもMCを聴くために入手したのに、現在MCを聴ける環境にない、というのもなんだかなあ、という感じです。

「今度はTA-F222ESJを買おうかな。でもまた同じ症状が出たら嫌だし…」

B級オーディオ好きな皆様ならご経験があると思いますが、機種特有の持病ってありますよね。それも10年、20年と使っていると、対策のしようがなくなってしまうことも。対策されたパーツに交換すれば治るのに、対策パーツが欠品しているとか、ありがちな話しです。

そんな日々を過ごしてましたが、ふと気になるウェブページを発見してしまいました。

TA-F222ESJについて調べていて偶然見つけたのですが、『迷宮藤田城(http://www.coara.or.jp/~fujita/)』というページです。この中の『貧乏オーディオ』というコーナーからさらに『Sony TA-F222ESJ』→『故障品を知人から貰った』と進むと『知人から、「ボリュームが壊れたし置く場所も無い」ということで譲り受けた、TA-F222ESJのボリューム修理』というページがあったのです。このページの冒頭に「ボリューム最小の位置でも大音量で鳴る」とあるではないですか。このウェブページの例はTA-F222ESJですが、同ページには「TA-F222ESAの同様の症状の修理をしたことがあり…」とあるではないですか。やっぱり持病だったんだ。

読み進めていくと、ハンダ付けだけで修理ができそう。これはダメ元でやってみる価値あるかも!? ということでさっそくチャレンジ!!

開けたから分かること

カバーは天板6箇所、再度左右2箇所ずつ、軽10本のネジで止められてます。並べてみましたが、すべて同じネジのようです。カバーはフロントパネルと接している部分を支点として後ろ側を持ち上げるようにすると開きます。この個体はネジ周りのホコリの積もり方から、初めて開けられた感じで、カバーも固着気味でしたがゆっくり力を加えていくとだんだん開いてきました。

シンプルです。が最近のアンプのシンプルさと違って、スカスカ感はありません。巨大なトランス、大型の電解コンデンサ、大型のヒートシンク。センターに並ぶコンデンサは、エルナとニチコンのソニー仕様が各2個ずつ。微弱な信号が入るフォノ入力はリアパネルの左下、写真は前から見ているので右奥にあります。トランスから一番離れている部分ですね。
ちょっと感心したのは、重い割に持ちやすかったこと。重量物のトランスとヒートシンクが左右にバランス良く配置されていて、極端にどちらが重いということはありません。
狙って設計されているかは不明ですが、このあたり設計された方のセンスを感じます。ソニーらしく整然とした内部ですね。

さて、問題の箇所は写真右側にあるボリューム部分です。フロントにある大きなツマミから、ぶっといシャフトがリアに向かって伸びてます。

シャフトの後端はボリュームユニットの本体(白いコネクタの下の黒っぽいボックス)に繋がってます。
ボリュームユニットは基板に8箇所のハンダ付けで固定されています。

前出の『迷宮藤田城(http://www.coara.or.jp/~fujita/)』の情報によると、このハンダ付けにクラックが入り接触(通電)が不安定になるためだそう。ちなみにこのページではクラック部分の拡大写真(接写)が掲載されてますので、ご興味のある方はぜひ。

『迷宮藤田城』によれば、このボリュームを基板にハンダ付けしたあと筐体に組み込んだため、このハンダ付け部分に負荷がかかりクラックが入ってしまうのでは? ということのようです。

さて、目の前にある個体。もしクラックが入っている部分が特定できればその部分だけで良いのでしょうが、肉眼でも撮影された画像でもまったくわかりません。つまり本当にこれが原因かは不明なのですが、症状が同じということでこのまま修理(?)を続けることにしました。

見た目はどうでもいい。もりもりで

ベテランの技術者の方、プロの方はハンダ付けの美しさにもこだわるそうですが、素人の私はそうはいきません。

基板を取り外さずにハンダごてが届くのを確認し、各部分をモリモリにもっていきます。
久しぶりにハンダごてを握り、おぼつかない手付きではありますが、なんとかハンダを盛っていきます。
見た目の美しさはともかく、ボリューム本体を熱で壊してしまっては元も子もありません。もちろん慎重に、かつスピーディーに。
老眼鏡でもうまく出来ているのかいまひとつ自信ありませんが、とりあえず8箇所、ハンダを盛り直しました。
で出来たのがこれ。

大丈夫かなあ。とりあえず仮にスピーカー等つないでみます。
よかったあ、とりあえず音は出ました。あとは症状が出なければ…。
このまま完治してほしいなあ。

     ◆  ◆  ◆

あれから1週間ほど鳴らしてます(試聴室なので、毎日ではないですが)が、いまのところ症状は出てません。良い音で鳴っておりますよ。

ゴールデン横丁の仲間たち | 澤村 信(さわむら まこと)

https://goldenyokocho.jp/articles/675

かつてのオーディオブームを体験した世代にはたまらないムック本『ステレオ時代』(ネコ・パブリッシング)の編集長。ゴル横会長たっての願いを快く受け入れ、オーディオ愛あふれるコラムをゴル横に書き下ろしていただくことになりました!

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