CDPlayer2/Nakamichi – ナカミチで初めてミュージックバンク・システムを搭載したCDプレーヤー

CDPlayer2/Nakamichi – ナカミチで初めてミュージックバンク・システムを搭載したCDプレーヤー

以前、ナカミチ初のCDプレーヤーである「OMS-70」を紹介しましたが、今回はマガジンを使わずに7枚のディスクを格納、マルチディスク再生することができるCDプレーヤー、CDPlayer2の紹介です。


現在、世間ではハイレゾが注目されていますが、CDもまだ主要な音楽ソースといって良いと思います。オーディオ全盛時に複数枚のディスクを格納して再生出来たのは、カーオーディオとパソコンのCDドライブではありましたが、ナカミチ以外にホームオーディオの製品はほぼ無かったように思います。これはマガジン式のチェンジャーが持つネガなイメージがホームオーディオに好ましくないという理由で見送られたのだと考えています。

では、本題に入っていきましょう。

ミュージックバンク・システム

外観を見て判る通り、プレーンなデザインを別にすれば、一般的なCDプレーヤーと特に違いはありません。しかし、内部を見るとユニークで高度な先進技術が集結されており、特に注目すべきは搭載されている「ミュージックバンク・システム」です。音質や操作性を犠牲にすることなく、複数枚ディスク再生(マルチプレイ)を可能にした独創の新機構なのです。

1枚のCDを聴くときの操作は、普通のCDプレーヤーと全く同じです。但し、この「ミュージックバンク・システム」は内部的には独自の世界が展開します。「トレイにCDを置く、格納する」を繰り返し、内蔵のストッカーに6枚までのCDを収納します。トレイ上のディスクと併せて「1+6」の合計7枚の連続演奏や50曲メモリー、7枚フルランダム再生を楽しむことが可能です。数枚組の長時間ものや全集を聴いたり、お気に入りのCDだけを続けて流したり、さらに数枚のディスクから好きな曲だけを編集してオリジナルテープを作る場合など、このマルチプレイ機能はとても便利です。加えて、動作は驚くほどスピーディーなのです。ディスクチェンジの空白が気にならない程度に納まっているため、数枚にまたがる楽曲の感動も途切れることがありません。また従来のマガジンを使った方式に見られるメカノイズや、ぎこちない動きとも無縁です。シングルディスク・プレーヤーのシンプルさと、マルチプレイ機能の便利さをスマートに搭載、実現した「ミュージックバンク・システム」はまさに進化したCDプレーヤーでした。

ディスク・スタビライザー

微細なピットを拾うCDプレーヤーには、わずかな面振れや、オフセンターなど現実のディスクでは避けられない寸法誤差をカバーするため、フォーカスサーボが用いられています。信号ピックアップの際、トラッキングエラーを招かないためには、このフォーカスサーボに大きく依然する必要があります。しかし、この大量のサーボ電流が流れると、オーディオ信号への影響が無視できません。CDPlayer2に搭載されたマグネットチャッキングによる「大口径ディスク・スタビライザー」は、この問題を根本から解決するものです。外部振動の影響を抑えるとともに、CDそのものの共振もダンプします。その材質や形状については、もっとも効果を発揮させるよう徹底した検討を重ねたのです。結果として、フォーカスサーボに依存することが少ない高精度なCDトランスポートを実現しました。音楽の細かいディテールまで鮮やかに見通せる、透明度の高い再生音に大きく寄与しています。

エンハンスト・リニアリティ(EL)20ビットD/Aコンバーター

今でこそ、32ビットのD/Aコンバーターがあたり前に使用されていますが、当時は18ビットのD/Aコンバーターが主流でしたから、各社とも18ビット以上の性能を持たせることに創意工夫をするという時代背景がありました。

ナカミチは、デジタルオーディオ・レコーディングシステムNakamichi1000の発表にともない、正確に調整された20ビットD/Aコンバーターシステムは明らかに音質的に優位点をもつことを主張しました。もし、デジタルフィルターからD/Aコンバーターに送られる20ビット・データがすべて使用され、コンバーターが真に20ビット精度をもっているとしたら、再量子化ノイズは無視できるまでに減少し、解像度が著しく向上。低レベル時のリニアリティが確保されることで、再生音のクオリティは大幅に改善されるはずです。

Nakamichi1000pデジタルオーディオ・プロセッサーのD/Aコンバーター部では、微分非直線エラーやゼロクロス歪を取り除くため、洗練されたROMによるキャリブレーション・システムが使用されました。しかしこの方法は、まさしく「コストを度外視した」アプローチでした。CDPlayer2では、これに代わる画期的な新方式のD/Aコンバーターを開発したのです。これは1000pのフル・キャリブレート20ビット・コンバーターの良さをほぼ受け継ぎながら、コストと回路の複雑化を極力抑えたきわめて巧妙な方法でした。

新方式のエンハンスト・リニアリティ(EL)20ビットD/Aコンバーターでは、チャンネルごとに2基の高性能グリッジフリー18ビット素子が採用されています。デジタルフィルターから送られてくる20ビットデータを再構成して2つの16ビット・データグループを生成します。DAC1には、レベルが-24dB以上のデジタルデータ、もう一方のDAC2それより低いレベルを処理します。DAC2に入力されるデータは、あらかじめデジタル演算により24dB(16倍)だけ増幅され、DAC2の出力はDAC1のそれと加算される前に、24dBだけ減衰するという処理がされます。
20ビットを単純に16ビットと4ビットに切り分け、2つのDACに割り当てることとは精度の点で大きく異なります。言いかえると、美味しいところをだけを使うということなのです。

デジタル/アナログ回路

CDPlayer2に搭載されたデジタルオーディオ回路は、きわめてハイレベルなパフォーマンスを誇ります。まず、8倍オーバーサンプリング・デジタルフィルタを採用。これにより、ダイナミックレンジを拡大するとともに、なだらかな特性のアナログフィルターの使用を可能にしました。このデジタルフィルターは、高解像度の20ビット・データをD/Aコンバーターに出力します。そしてD/Aコンバーター自体は、グリッジを発生しない18ビットのチップを使用し、音質劣化を招くサンプル・ホールド回路を廃しました。
アナログフィルターは、リニアフェイズ3次ベッセルフィルターを採用。信号経路のコンデンサーや抵抗を最小限にし、オーディオ帯域における正確な位相特性を得るととともに、音のカラーレーションをきわめて少なくしています。

ディエンファシスが必要なソースでも、CDPlayer2では音質劣化の懸念はありません。すべての信号処理をデジタルデータで行うことで、アナログのディエンファシス回路にみられる切り替え回路などの歪要因から逃れることができます。

そのほかの特徴

従来の製品にも採用され高い評価を得ている、デジタル/アナログ専用のトランス巻線を用いたマルチレギュレーテッド・パワーサプライ、およびアース回路を通じて混入するノイズを防ぐ独自のアイソレート・グランド方式を採用しています。
リモコン可能なほとんどのナカミチのカセットデッキとのシンクロ録音機能を装備。この機能は、合計録音時間を指定するという高度な編集プログラムも可能で、メモリープログラム機能やデリートプレイ機能も併用できます。カセットデッキ側の必要な操作を含めて一連のダビング操作を自動的に行い、曲間スペースを入れたスマートな録音テープを作ることができました。

ナカミチシステム

インテグレーテッド・アンプやレシーバー、カセットデッキなど、ナカミチホームオーディオ・ラインナップをセットアップすることで、デザイン的にも統一されたシステムを組むことができるのは当然として、システム全体を総合的にリモート制御することが可能でした。

兄弟機のCDPlayer3とCDPlayer4

CDPlayer3は、CDPlayer2のD/AコンバーターをEL20ビットから18ビット、シンクロ録音、出力レベル可変、デジタル出力などを省いたモデル。
また、CDPlayer4は、シングルディスク・プレーヤー、シンクロ録音、ランダム再生などの便利機能を省きながらも基本性能は押さえたモデルが併売されていました。

スペック

形式           デジタルオーディオシステム(コンパクトディスク方式)
読み取り方式       非接触光学式(半導体レーザー使用)
エラー訂正方式      CIRC方式
チャンネル数       2チャンネルステレオ
D/A変換方式      20ビットデュアルD/Aコンバーター
デジタルフィルター    8倍オーバーサンプリング・デジタルフィルター
標本化周波数       44.1KHz
量子化          16ビット直線
ディスク回転速度     約200-500rpm
ワウ・フラッター     測定限界以下
周波数特性         5-20,000Hz±0.5dB
S/N比         105dB以上(IHF A-WTD)
ダイナミックレンジ    100dB以上
全高調波歪率(1KHz)    0.0035%
全高調波歪率+雑音(1KHz) 0.004%
チャンネルセパレーション 100dB以上
電源           AC100V 50/60Hz
消費電力         最大23W
大きさ          430(幅)x100(高さ)x375(奥行き)mm
重さ           約8.0Kg

出典: ナカミチ株式会社 CDPlayer2/CDPlayer3/CDPlayer4 カタログ (1991年)

最後に

冒頭で、ネガなイメージで他社ではホームオーディオに採用されなかったと記載しましたが、ナカミチにとってはタブーではなかったのでしょう。複数枚のディスクを独創的なアイディアによりシングルディスク・プレーヤー並みのサイズに収め、利便性と高音質の両方を兼ね備えたミュージックバンク・システム。実際に使ってみて判ったことは、自分を含めてネガな先入観で食わず嫌いとなったオーディオファイルが多かったのではないかと思いました。

ゴールデン横丁の仲間たち | toby(トビー)館長

https://goldenyokocho.jp/articles/1877

ナカミチの魅力にすっかり憑りつかれ、カセットデッキのコレクションはコンプリート間近に迫っている。ほかにもアンプやレコードプレーヤー、CDプレーヤーにDATそしてFMチューナーに至るまでフル・ナカミチのオーディオセットを所有。至福のリスニングルームに籠れば時間の経つのをつい忘れてしまうという。

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