『こんなものを買った』Aurex AD-2mkII

『こんなものを買った』Aurex AD-2mkII

アドレス専用レコードを聴くために、アドレスユニットを買ってしまった私。せっかくなので本来の使い方、カセットデッキにも使ってみましょう!


良い音はより良く、そうでない音もそれなりに

ちょっと前回と説明が重複してしまうかもしれませんが、ご容赦ください。

さてアドレス専用レコードを聴くために入手したAD-2mkII。ばっちり聴けたので、もう役目は果たしたのですが、もう少し活用してみよう、という気になったのにはきっかけがありました。

あまりにアドレスの効果が素晴らしかったので、いろいろとネットで情報を漁っていたら、いましたアドレス・マニア! 『Kantama.com(http://www.kantama.com/)』というページなのですが、アドレスの情報がたっぷり。解説やマニアが集う掲示板もものすごいのですが、ありがたかったのがマニュアルを公開されているところ。AD-2mkIIのもばっちりありました。というわけでAD-2mkIIの使い方が、しっかり正確に分かってしまったので、これは使ってみるしかないだろう、と思ったわけです。

AD-2mkIIのバディとなったのはLo-D D-17。以前2ヘッドカセットデッキ特集で、Lo-DコレクターのEさんよりお借りし、ご厚意でそのまま使わせていただいているデッキです。

「なぜD-17?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、あえてベーシックなカセットとデッキの方が効果がわかりやすいかな、と。

ちなみにD-17の音は、というと安定感のあるラジカセ、という感じ。ことさらレンジは広くないのですが、安定感はなかなか捨てがたいものがあります。操作系が最小限で、何も考えずに手軽に使えるというのもありがたいです。

アドレスの仕組

アドレスの仕組というか概念については前回、ざっくりと説明しましたが、録再機(つまりカセットデッキ)と繋いで使うとなると、もう少し詳しい説明が必要かもしれません。

アドレスの目的はテープ固有のヒスノイズを含めたノイズの低減と、これもカセットテープの弱点と言われたダイナミックレンジの拡大です。

アドレスはオープンリールやレコードにも有効ですが、取説を読んでも、やはりカセット前提で作られているのは間違いないです。

カセットテーブのダイナミックレンジはノーマルでは普通60dB以下です。ちなみにレコードが一般的なシステムでも70dB以上と考えるとレコードの録音にも役不足です。

そこでまず考えられたのがノイズを低減することによるSN比の拡大です。ヒスノイズはテープ固有のものですから録音信号と関係なく発生します。そこで録音時に高域信号を強調し(ヒスノイズのレベルは変りません)、再生時にヒスノイズが属する高域を弱く再生すれば音楽信号は元に戻り、ヒスノイズは低減される、というわけです。ドルビーBなど代表的なノイズリダクションはこうした方式です。

こうした単なるノイズリダクションとは別に、録音時は音楽信号をテープに録音できるダイナミックレンジの帯域に縮め、再生時に伸長するという考え方で、見かけ上のダイナミックレンジを拡大するというシステムも開発されました。この方法で有名なのは、国産カセットデッキにも一時期多く採用されたdbxです。

この方法でもヒスノイズが多く含まれる帯域は再生時にはあまり使われないためノイズ低減効果がありますが、アドレスは高域を強調するノイズリダクションとダイナミックレンジの拡大を組み合わせた方式で、取説によればダイナミックレンジは100dB以上(1kHz、東芝製デッキでの一例)とされています。ノイズレベルも10kHzで30分の1に低減されるそうです。

なおアドレスとはadres(Automatic Dynamic Range Expantion System )つまり自動ダイナミックレンジ拡張システムという意味です。

このあたりの解説、文系のワタシが噛み砕いたものですので、もしもっと詳しく、ということであれば前出の『Kantama.com(http://www.kantama.com/)』をごらんください。カタログなどと違って各メーカーのシステムとの比較などもあり、オススメです。

期待のアドレス、その効果は?

さて、では実際に使ってみましょう。接続はこんな感じです。

[カセットデッキ]
    ↑↓
[アドレスユニット]
    ↑↓
[  アンプ   ]←[プレーヤーなど]
    ↓
[ スピーカー  ]

で実際にデッキとアンプの間に噛ませるとこんな感じ。

なんか一気に複雑になります…。余談ですがデッキとアドレスを繋いでいる細いピンケーブルはエレコム製のピンケーブルで、安くてコンパクトでなかなか使い勝手が良いです。
ではマニュアルに沿って準備をしていきます。

(1)キャリブレーション用信号を録音

アドレススイッチ(モード切替)を[RECORD]にして[OSC]ボタンを押し、CAL TONE(キャリブレーション用信号)をアドレスユニットから出力します。これをデッキで録音するのですが、この時にデッキのレベルメーターで-3dBになるよう、デッキ側のレベルボリュームで調整します。

ここで問題発生。今回テストに使ったD-17は廉価モデルなのでメーターが6セグメントしかないのです!つまり-3dBに合わせることができません。そこで-5dBと0の間くらいかなと目分量で合わせます。大丈夫かなあ。

(2)アドレスユニットのキャリブレーション

続いてこの録音したCAL TONEが正確に再生できるよう、アドレスユニットを調整します。
アドレススイッチ(モード切替)を[PLAY]にして、さきほど録音したCAL TONEを再生します。この音を基準信号として正確に再生できるようアドレスユニットを調整するのです。
ただAD-2mkIIの場合レベルメーターはなく、向き合った2つの三角[▶◀]のインジケーターがあるのみ。両方が点灯したときが-3dBを表しますので、両方が点灯するよう左右chの[CAL VOLUME]を調整します。
これでデッキやテープのレベルの差がキャンセルされました。
3ヘッドデッキなら、この辺の調整はデッキ側でしても同じかと思われます。

さあこれで録音準備ができました。

(3)いよいよ録音してみましょう

今回テストに使ったのはTKとともちゃんがラブラブだったころの「I'm proud」をソニーのSuper EFに録音してみます。Super EFというテープ、実は良くわかりません。多分90年代後半の海外向け廉価テープと思われるのですが、実力はおそらくHF以下です。「I'm proud」は歌の良し悪しはともかく、絶頂期のTKが金に物を言わせた当時最高峰の機材で超ワイドレンジに録音されたもの。D-17とSuper EFのコンビにはかなりの難題だと思います。
なお、このアドレスユニットと組み合わせて録音するとき、カセットデッキが録音するのは『音楽』ではなくアドレスの『信号』になります。
アドレススイッチ(モード切替)を[RECORD]にして、アンプをCDに切り替え再生します。
『音楽』はアドレスユニットに入ってくるので、レベル調整はアドレスユニットの録音ボリュームで行います。つまり三角のインジケーターでレベルを合わせるのです。これはなかなか難しい。
取説によれば「時々-3dBを超えるように」とのことですが、これは右側の三角だけが表示される状態[▷◀]です。これアドレスを使い込む人は、多少お高いですがレベルメーター付きのモデルを買った方が良いですね。

レベルが決まったら、録音してみましょう。

(4)再生します

アドレススイッチ(モード切替)を[PLAY]にして、アンプをテープに切り替え、デッキでさきほど録音したテープを再生します。
驚くほどワイドレンジ、というわけではないのですが、高域はほどほどに伸びてかつ密度の濃い感じ。低域もどちらかというと締まった感じですね。ノイズは皆無といって良いレベルです。ちなみに同じテープでアドレスを使わず(アドレススイッチ(モード切替)を[OUT]にすると、アドレス回路はスルーされます)録音するともっと素直な音にはなりますが、高域の歪とノイズがひどく、とくにボリュームを上げるとけっこう辛いものがありました。
なるほど、これがアドレスの効果なんですね。
じつはテープを変えたり、デッキを変えたり変えたりして効果を比べてみたのですが、当たり前ですが元のテープやデッキの音が良い方が、アドレスを使ったあとの音も良くなります。
ただしアドレスの効果そのものは、廉価なテープやシステムを使った方が大きいような気がします。

カセットテープで良い音を録音しようとした技術者の方々のご努力には本当に頭が下がります。
こんどはアンルス(A.N.R.S.)も使ってみようかな。

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