『こんなものを買った』DENON DA-305

『こんなものを買った』DENON DA-305

DV-505を使ったり、いろいろなトーンアームを調べたり取材しているうちに、レコード再生の難しさに行き当たりました。


たどり着いたのはシンプルなトーンアーム

まもなくステレオ時代15が発売されます。今回はレコードプレーヤー特集です。多方面からとりあげてますが、じつは特集の中に入れず、巻末で取り上げたプレーヤーがあります。寺垣式プレーヤーです。
ご存知の方も多いでしょう。もしご存知ない方はググられてみると面白いかもしれません。
寺垣式プレーヤーはフリーのエンジニア(大企業の技術顧問を歴任)、寺垣武氏が作った一連のプレーヤーです。全部で15モデルありますが、市販されたのは3モデルだけ。
ただし寺垣式とひとくちに言っても、1~7世代とそれ以降では大きく思想が違います。寺垣氏はレコードに刻まれた情報を余すところなく引き出すプレーヤーを目標に開発をはじめました。
基本はレコードの偏心を取るターンテーブルとリニアトラッキングアームです。とくに第一世代のリニアトラッキングはすごい。なんとシェルを水に浮かばせてトレースしてます。第2世代ではパンタグラフ式のアーム。第3世代で、ようやく普通のリニアトラッキングになります。
第7世代で一応の完成を見ますが、多分満足されなかったのでしょう。寺垣氏は再びコンセプトを変え、試作を始めるのです。
そうプレーヤーはここまでやっても完璧な再生はできないのです。なぜなら不完全なメディアだから。
それでも古今東西のエンジニアはできるだけ100%に近づけるため、努力を惜しまなかったのです……。
という取材を続けてきたところ、私の心境に変化が出てきました。
もうどうでもいい。
もうトラッキングエラーも気にしない。インサイドフォースも気にしない。
やっとピュアストレートアームの存在を認められるようになりました。あれってそもそも「100%は無理だから」と割り切ってのアームですよね。わかります。
というわけで、前置きが長かったですがDP-3000の相方選びです。
手に入るもっともシンプルなアームにすることにしました。
何人かのトーンアーム設計者の方に意見を伺ったのですが、インサイドフォースキャンセラーの効果については疑問を持たれている方が多かったです。ただ付けてないと売れないから、という理由で付けざるを得ない、ということのようです。
実際、市販されていたのトーンアームで、インサイドフォースキャンセラーがないモデルはほとんどありません。しかし、見つけましたよ。デンオンのDA-305です。

ヤフオク!で1万5000円。アームレストも付いてます。
なぜDA-305にしたか。さきほどから言っているシンプルだから、というのが最大の理由ですが、デンオンなので加工せずに取り付けられるのでは、と思ったのも大きな理由です。
トーンアームのベースは規格がないので、各社各モデルまちまちです。つまりボードに穴を開けないと取り付けられないモデルも、その穴の径は決まってないのです。
でも2センチくらいある穴を手持ちのドリルでまっすぐ開けられるものでしょうか。
昔のマニアはいったいどうやってたの?
というのを回避するためデンオンにしたのです。

では取り付けてみましょう。
アームボードを外して、おそるおそるアームベースを差し込んでみます。

ビンゴ!
ぴったり入りました。
裏側はこんな感じ。

取り付けるためのパーツはパッキン、内刃ワッシャー、ナットだけ。

取り付けたら、5ピンのフォノケーブルを差し込みます。

アームボードをキャビネットに戻して完成です。
簡単だ!
試しにレコードをかけてみましょう。
うんバッチリ。アームを戻そうとして……やっちまった。アームレストを取り付けるのを忘れてました。
仕方がないので、アームを外してボードにアームレスト用の穴を開けます。
ドリルをまっすぐ固定するための治具を使いましたが、固定しているのがダイソーのクランプなので心もとないですね…。

アームレストのベース部分は直径8mmぐらいでした(これもダイソーのノギスで測ったので心もとないです)。実際には結構キツくて、ねじ込むような感じになったのですが、正しかったのかしら。
まあ、こんなDIY素人でもできちゃうような工作ってことで。
完成です!

いやー美しい。この潔いシンプルさがいいですね。

今回、レコード特集をやるにあたり、大昔の雑誌なども随分と読みました。オーバーハングの意味(定義ではなく、なぜ調整が必要なのか)とか、トラッキングエラーをどこで最小にするか、とかインサイドフォースのこととか、本当に目からウロコです。
プレーヤーをシステムで買うのが当たり前になって、そういうことに無頓着になって、だんだんおざなりになっていた気がします。
昔はFM誌とかレコパルとか読んで、必死に勉強したのになあ。
というわけで、今回ひとまず完成したこのシステムでレコードを一から勉強し直そうと考えてる今日このごろです。
ちなみに、上の写真で置いてあるソノシートは魔女っ子メグちゃんです。シャランラ。(初心というより童心に帰りました)

ゴールデン横丁の仲間たち | 澤村 信(さわむら まこと)

https://goldenyokocho.jp/articles/675

かつてのオーディオブームを体験した世代にはたまらないムック本『ステレオ時代』(ネコ・パブリッシング)の編集長。ゴル横会長たっての願いを快く受け入れ、オーディオ愛あふれるコラムをゴル横に書き下ろしていただくことになりました!

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