東芝 オールトランジスタ テレビ IC PUBLIC カタログ

東芝 オールトランジスタ テレビ IC PUBLIC カタログ

家電蒐集家松崎順一さんが考古学的アプローチで昭和時代の様々なカタログを読み解くコーナー。今回は70年代初期の頃を感じさせる東芝テレビのラインナップ・カタログを取り上げます。


70年のブラウン管テレビは今でも欲しくなるモダンデザインの宝庫だった。

1971年といえば高度成長期の後半で景気も良く、前の年に日本初の大阪万国博覧会が行われたばかりで、人々は生活を豊かにしてくれる新たな製品を貪欲に求めていた頃になる。なかでも家電は新製品がお店に並べば瞬く間に売れた時代だった。家電製品の中でも特に三種の神器と呼ばれたテレビ、冷蔵庫、洗濯機は一般家庭にも普及し、家電は次のステップを迎え始めた頃だった。筆者の家でも親父が購入した家具調のテレビが居間に鎮座し、その横には馬鹿でかい木製のステレオが置かれていた。
そんな中、若者をターゲットにして造形的に斬新なデザインの家電を、当時最先端の素材だったプラスチックを使って各社が製品作りに取り組み始めたのだ。その一つが今回紹介する東芝のIC PUBLICと銘打ったポータブルタイプのテレビだった。それではカタログを見ていこう。

この時代ならではのタバコの煙がゆらぐ、現代のカタログでは表現が難しいだが全体の構成をモノトーンでまとめたオシャレな感覚は若者向けをイメージさせる。この頃のテレビは殆どが白黒テレビなので白黒画面に白黒の筐体は今でも十分オシャレだと思う。また、このカタログのICとは集積回路の意味で、PUBLICは一般向けだが、併せて一般消費者向けの最新テレビといったところだろうか。

中を開くと当時の若者なら憧れたであろう、オシャレな部屋でくつろぐシーンがIC パブリックのイメージをアツプさせている。ここで登場しているテレビは今回のカタログの中でもデザインが一番かっこいい「ニューパブリック・ステート10」だ。さらに筆者としてはインテリアの小物関係も興味をそそる。

こちらはIC パブリックのスタンダードタイプになる。テレビのデザインはやや古さを感じさせるが画面サイズは10インチから14インチと十分な大きさだ。ちなみに本体の裏から出ているロッドアンテナはVHF用、丸い輪のアンテナはUHFの受信用だ。そしてこの時代のUHFは放送局がとても少なかったと思っている。

次のページはNEW パブリックのラインナップだ。こちらの方がより新型と思われるが、
ウッドタイプの10と20は価格が表記されていないところを見るとちょっと古いのかもしれない。この中では2ページにも登場していたステート10が斬新なデザインで、イタリアのヴィリオン・ヴェガのテレビを彷彿させる。筆者としてはカタログ上部のイメージフォトも70年代のインテリアとファッションが気になってしまう。

このページに登場する東芝マルチテレビ「4分の1だけ失礼テレビ」はこの時代としては画期的と書いてある通り、ユニークな機能を持ったテレビで、テレビカメラと連動して訪問客を画面の隅に映し出すのだ。映像タイプのインターフォンがまだ無い時代、機能としては面白かったが果たしてどの位売れたのかがきになる製品だ。その横にはテレビアンテナまで載っている。

ラストはのページはテレビアンテナから各部屋へ電波を分配する機器の紹介だ。今回紹介したIC パブリックは殆どが内蔵アンテナが付属していた。大都市ではこれでも十分だったが電波の弱い地方では屋根の上にアンテナを建てないと映りは良くなかった。映像を綺麗に受信するには必然的にこういった共聴システムも浸透していったと思っている。


出典: 株式会社東芝 オールトランジスタテレビ カタログ (1971年)

ゴールデン横丁の仲間たち | 松崎 順一(まつざき じゅんいち)

https://goldenyokocho.jp/articles/676

家電蒐集家・デザインアンダーグラウンド工場長。1960年生まれ。インハウスデザイナーを経て2003年よりデザインアンダーグラウンドを設立し活動を開始。近代家電製品の蒐集・整備・カスタマイズ等を手掛ける。近年は特にデジタル世代へのメイド・イン・ジャパン家電の持つ魅力をカルチャーとして伝える活動をイベント、執筆等、広範囲に展開中。

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