『こんなものを買った〈番外編〉』Dynavector DV-505(後編)

『こんなものを買った〈番外編〉』Dynavector DV-505(後編)

いよいよDV-505で聴いてましょう。ただし、前回も申し上げましたが、このDV-505、借り物です。ダイナベクターさんのご厚意でお借りしたものですので、あしからず。


難攻不落に見えるDV-505

いざ、セッティング……の前にDV-505の説明を少し。
上の図にあるように、DV-505は他のトーンアームとは一線を画す複雑さ。ですが、基本は一般的なアームがメインとサブに分かれたものと思えば間違いないです。
つまり普通のトーンアームは水平方向(レコード上の読み取る溝が進んだり、センター穴の偏心によるふらつきを吸収)と垂直方向(レコードの反り)両方動くようになっています。ところがDV-505は水平方向はメインアーム、垂直方向はサブアームが受け持ちます。
また通常はオイルやメカを使うダンパーは程よい磁力のマグネットを使っています。このためぱっと見はパーツ類が非常に多く、複雑になっているのです。
でも美しいと思いませんか。形状は機能に従うというバウハウスの思想そのものではないですか。それもそのはず、このトーンアームを開発したのは都立大学工学部の故・富成襄教授。つまり徹頭徹尾理詰めで作られたわけです。
調整部分は非常に多く、ラテラルバランス、メインアームのスタティックバランス、サブアームのバランスウエイトとダイナミックバランス、高さ調整、インサイドフォースキャンセラーと、フルスペック。で臆して、前回取付までやったのに、調整は日を改めて、となったわけです。

じつは懐が深いDV-505

ところが、よくよく考えてみると、本当に重要なのって、サブアームの調整だけでは、と思いついたわけです。あくまでプレーヤーが水平にセッティングされている前提ですけど。
なぜならメインアームは水平方向にしか動きません。ですので本来ならメインウエイトなんて必要ないですよね? ラテラルバランスも不要なはず。
ただ実際に動かしてみると若干垂直方向にも動くんですよね。多分サブアームで吸収しきれない反りのための保険なのかな。
というわけでメインアームは、破綻のない程度にセッティングすれば良し、と勝手に決めつけます。

まず高さ調整。手前の小さいダイヤルが高さを固定するストッパーです。これを緩めると右にあるスライドつまみで高さを変えられます。さすがの工作精度で、フリクションもなく、リニアに高さが変わっていきます。

ま、だいたいこんな感じ?
メインウエイトの位置はシェルとカートリッジとサブウエイトの合計で大まかな位置(アームに目盛りがついてます)にすればOK。
次にラテラルバランス。

プレーヤーが水平であることは確認済みなので、中間に。これでアームが左右に流れないことを確認して良しとします。

インサイドフォースキャンセラーは針圧2gの場合手前から5個目の溝ですが、弱くかける派なので、ひと目盛り手前、1.5gにします。
あとは針圧だけです。
サブウエイトでサブアームの水平を取ったあと、針圧つまみを回して印加します。

あくまで目盛りは目安なので、針圧計でチェック。

おお! 驚くべき精度。
40年も前のトーンアームがこれって、すごくないですか!?
これでひととおりセッティングは終わったはず。では試聴してみましょう。

間違えてはいないはずですが

トーンアームを取り付けて初めてレコードに針を落とすときは緊張しますね!
基本好きなレコードしか試聴室には置いてないのですが、万が一のことがあったときにもショックが少ないレコードは、っと。キョンキョンごめんなさい!

おお、無事演奏開始。
意外(?)に素直なスッキリした音です。手持ちで一番安いカートリッジですけど、澄んだキレイな音がします。
見た目の印象から、もっとパキパキした音が出るかと思いましたが、動作原理的にはまったく奇をてらってないので、素直な音が出るのも道理です。
気がつけば夜の10時。もう少しだけ聴いたら帰りましょう。

それにしてもDP-3000の近未来的なデザインとDV-505、意外と似合ってると思いませんか?

ゴールデン横丁の仲間たち | 澤村 信(さわむら まこと)

https://goldenyokocho.jp/articles/675

かつてのオーディオブームを体験した世代にはたまらないムック本『ステレオ時代』(ネコ・パブリッシング)の編集長。ゴル横会長たっての願いを快く受け入れ、オーディオ愛あふれるコラムをゴル横に書き下ろしていただくことになりました!

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