オーディオのたのしみ オーディオ誌で振り返る【1981年冬】

オーディオのたのしみ オーディオ誌で振り返る【1981年冬】

「オーディオのたのしみ」シリーズでは『別冊FMfan』(共同通信社)のバックナンバーからかつてのオーディオ製品を振り返っていますが、1980年代前半頃から「オーディオ不況」やそれに類する言葉が誌面に散見されるのに気づきました。実はオーディオ産業が成長産業だったのは1970年代終わりごろまでで、それ以降は第二次オイルショックの影響やカジュアルオーディオの隆盛によって高級コンポ主体の専業メーカーには苦難の時代の到来となりました。それはさておき、今回は『別冊FMfan』1981年冬号(32号)を見てみましょう。


本誌で海外製品が表紙を飾るのは珍しいかもしれません

カセット関連の広告が多かった

そもそも雑誌『FMfan』はFM放送を音楽ソースとして広める役割を担ったメディアですから、録音媒体や機器の広告が多くなるのは当然かもしれませんね。ただ、メタルテープやドルビーC、dbXにオートリバースなど、カセット関連の新機軸が話題だった時期にあたるのも理由と思われます。

TDK ニューMA、MA-R

TDK ニューMA、MA-R

ダイキャストフレームを持つ超ド級のテープも磁性体をリファイン

ソニー TC-FX66

ソニー TC-FX66

ドルビーCに加えリニア電子カウンターをアピール

パイオニア CT-980

パイオニア CT-980

この時代のパイオニア製品に特徴的なフロントパネル

マクセル New UD

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ノーマルテープもまだまだ進化を続けます

マグナックス GM-Ⅰ

マグナックス GM-Ⅰ

小西六がプロ用テープで有名なアンペックスと合弁してできたブランド

「'82最新コンポパーツ70機種フルテスト」より

冬号はボーナス商戦を控えた時期の発売だけに、バイヤーズガイド的な位置づけでオールジャンルのフルテストが恒例になっています。ここでは5ジャンルからユニークな特徴をもった1機種ずつをセレクトして、ダイジェストをお届けします。

<カートリッジ> ビクター MC-L10 60,000円

ビクター MC-L10

発電方式 MC型
出力電圧 0.25mV
周波数特性 10~50,000Hz
針圧 1.5±0.15g
セパレーション 27dB
カンチレバー ベリリウムテーパードパイプ
針先形状 シバタ針
重量 8.7g
インピーダンス 30Ω

■評価レポートより(石田善之氏)
ダイレクト・カップル方式と呼ばれるビクターのMCである。1977年にMC-1として誕生したものだが、ダイレクト・カップル、つまり針先と発電系とをなるべく近い位置にしよう、という目的で開発されたものだ。カンチレバーを使えば、その間にどうしても伝送ロスが生じ、位相の乱れが出てくる。針先と発電系が近いことは確かに理想的だが、現実の問題としてMMカートリッジにはマグネットが、MCの場合にはコイルがあり、これらを針先近くにもってくるということは、マスや大きさから不可能であった。そこで、ビクターでは超LSIの製法を応用してプリントコイルを開発したのである。
音は、MC-1で感じた過渡音の良さ、立ち上がり感の良さ、輪郭の鮮やかさなどがそっくりと引き継がれている。MC-1では若干トレース能力のむずかしさをチラリと感じさせられたが、今回はそのあたりも見事に解消している。全体の音ヌケやクリアネスなどもグンと上昇しているし、特に低域の輪郭がくっきりとして、引き締まり方もよく上々である。

<プレイヤー> ラックス PD-310 125,000円

ラックス PD-310

駆動方式 ベルトドライブ
モーター ブラシ&スロットレスDCサーボ
アームレスプレイヤー
バキュームディスクスタビライザー方式
外形寸法 W490 x H175 x D390mm
重量 16kg

■評価レポートより(石田善之氏)
バキューム・スタビライザー方式である。ラックスは、この方式にかけては一歩先んじた実績を持ち、PD-555、300などで既に知られている。この310はより改善を加え、しかも普及価格帯のものとしているのが注目される。
使ってみた。レコードのソリを平らにしてくれるのと同時に、レコード盤が持っているさまざまな共振現象、ナキ現象などが、ターンテーブルと一体化されることで、すべて吸収されてしまい、こおれが音に対して非常に大きくプラスになる。音の安定度はグッと高くなり、音像の定位感、音の輪郭の良さなどが、プレイヤーの持っている条件の良さにうまくサポートされて、いつでも必ず味わうことができる。高級プレイヤーらしく、不足感のない安定度の高さということができる。

<プリメインアンプ> アキュフェーズ E-301 198,000円

アキュフェーズ E-301

実効出力 110W + 110W(8Ω)
全高調波歪率 0.01%
入力感度/インピーダンス MM 2.3mV/47kΩ MC 0.12mV/100Ω
SN比 MM 80dB MC 72dB
周波数特性 PHONO 20~20,000Hz -0.2dB
外形寸法 W445 x H160 x D370mm
重量 17.2kg

■評価レポートより(藤岡誠氏)
同社のインテグレーテッドアンプは、セパレートアンプと同様に高級指向であり、本機もその例外ではないが、しかし二十万円を切っているのがポイント。恐らく、アキュフェーズとしてのローエンドのアンプとして、今後長い商品寿命を持つことになろう。
出力量は110W+110Wで、これはパワーMOS FETのパラレルプッシュプルの出力段からくり出される。このパワー部をはじめ、ラインアンプ、イコライザーアンプは各々DCサーボがかけられており、フォノ(MM)入力から出力まで、カップリングコンデンサーはない。
今回の試聴はライン入力からテープのソースを送り、パワーアンプの素性をチェックしているが、本機はこのパワーアンプ部のクオリティーの高さにすばらしいものがあった。一口でいうと、信頼性の高さといえるが、レンジ感、そして中低域から低域にかけての十分な制動と分解能はたいしたものである。MCポジションでのSN比の高さもすばらしい。低インピーダンスのMCを使用しても、ノイズが一枚のベールとなって聴こえることもない。トータルとしても、同社のインテグレーテッドアンプの中で、音質的にもっともねられており、クセのないクリアなサウンドだ。

<スピーカー> Lo-D HS-40F 48,000円

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