オシム監督 ‐ 2006年日本代表監督就任

オシム監督 ‐ 2006年日本代表監督就任

ファインダー越しにサッカー界を見つめてきたプロカメラマン今井恭司さんの蔵出し写真と暖かいコラム。今回は「オシム監督 ‐ 2006年日本代表監督就任」をお届けします。


イビチャ・オシム

2006年日本代表監督に就任したオシム監督

オシムさんのスタイル

2003年にオシムさんがジェフ市原(当時。現ジェフ千葉)の監督に就任してからは「とにかく走れ!」って言って選手を走らせるから、みんな脚を攣ったりして、そこであの有名な「オシム語録」が生まれたりしました。

─ 肉離れ? ライオンに襲われた野うさぎが逃げ出すときに肉離れしますか? 準備が足りないのです。私は現役のとき一度もしたことはない。

最初のうちは選手たちも信じていなかったけど、プレシーズンマッチのちばぎんカップ(ジェフ2対1柏レイソル)やJリーグファーストステージを連勝(ジェフ2対1東京ヴェルディ、ジェフ4対0大分トリニータ)でスタートした頃から、みんな「おっ」って思うようになった。

オシムさんの練習が特徴的だったのは、普通それまではどこのクラブもキャンプが終わってシーズンが始まると、二部練習が一部練習になるんだけど、でもジェフはシーズン中もずっと二部練習が続いた。それに週の真ん中の水曜日には必ず練習試合をしていた。

トルコのアンタルヤでスプリングキャンプをした時には、練習試合を1日3試合やったりもした。だから試合に出ない選手はいない。アンタルヤは温暖なので、ヨーロッパ各地からサッカークラブがトレーニングをしにくるんだけど、オシムさんが現地であたりをつけてきて「何時からどこどこで試合だ」って話をつけて帰ってくる。

ヨーロッパに遠征している時は、やはりこの人は著名人だから、向こうからも挨拶にくるし、名前が知れているだけでなくて、トレーニングの仕方を変えていくっていう点でも定評のあった監督でした。

だからジェフが練習しているところを他国のクラブの監督やコーチがじーっと見ていたりもするんです。オシムさんがどんな練習をしているのか興味を持っていたみたいです。

オシムさんの練習では、とにかくみんな走らされたと思っていたけど、でもそれで結果がついてきたのは凄いところです。練習時間とか効率とかいろんなことを考えてそういう練習方法をとったんでしょう。

2005年Jリーグヤマザキナビスコカップでジェフが優勝して、2006年に日本代表の監督になったときも、何人かジェフの選手を日本代表に招集したのは、やはりオシムさんの練習のやり方がわかっている選手がいないとうまくいかないんじゃないか、という考え方があって呼んだんだと思います。だから最後まで日本代表には残らないってわかっていた選手もいたと思う。ただ、そういう中で一番伸びた選手は阿部勇樹選手(浦和レッズ)じゃないでしょうか。

だからいろんな意味で、いい監督が日本にやってきてくれて、新しい風を入れてくれたと思いますし、シーズン中でも二部練習が当たり前になったりとか、他のクラブも新しいトレーニング方法を取り入れたことで、Jリーグ全体のレベルも上がったと思います。

みんなモノの例えで「壁を壊す」とか言うけど、オシムさんも一度垣根を取り払わないとダメだと思っていたように感じます。試行錯誤して取り組むから、うまくいかないときも長く続くけど、一度水がうまく流れるようになるとよくなることを知っていたから、時間は掛かるかもしれないけれど、結果は必ず出した。

もし2007年11月、オシムさんが脳梗塞で倒れなかったらどうなっただろう、とは思いますね。仮に結果が出なかったであろうと、最後まで見てみたかったですね。

ゴールデン横丁の仲間たち | 今井 恭司(いまい きょうじ)

https://goldenyokocho.jp/articles/671

世界中を飛び回り最前線で日本サッカーを見つめてきたイマイさん。蔵出し写真とトークをゴル横だけにお届けします。2017年8月1日、日本サッカー協会により「第14回日本サッカー殿堂」に掲額されることが決定しました(特別選考)。

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