オーディオのたのしみ オーディオ誌で振り返る【1983年春】

オーディオのたのしみ オーディオ誌で振り返る【1983年春】

オーディオ市場活性化の期待を一身に背負って登場したコンパクトディスク。華々しいデビューから約半年が経ち、メーカーによっては第二弾の製品を発表したところも出てきました。価格帯はまだ10万円台後半~と、普及のためには10万円を切るモデルの発表が待たれていました。今回は『別冊FMfan』1983年春号(37号)(共同通信社)の「CDプレイヤー18機種音質重視レポート」を見ていきましょう。


目玉は春のCD大特集。長岡鉄男氏のフルテストはプリメインアンプ18機種

垂直ローディングが多数派だった初期のCDプレーヤー

CDプレーヤーにディスクをセットする方法は、今日の感覚ではディスクをトレーに水平に載せる(水平ローディング)のが当たり前のように思えますが、デビュー当時はカセットデッキのようにタテ方向にディスクホルダーに挿入する「垂直ローディング」が多数派でした。新しいメディアであるコンパクトディスクの存在をアピールするには、光り輝くディスクの回転するさまがよく見える垂直ローディングの方が、ユーザーに分かりやすかったという事情もあったのでしょう。

東芝のオーディオ専門ブランドだったオーレックス

絵の出るLD(レーザーディスク)で光技術に先行したパイオニア

ソニーは早くもミニコンポにCDを搭載して攻勢をかける

デジタル技術への強さをアピールするNEC

デザインコンシャスなヤマハは水平ローディングを採用

CDプレイヤー18機種音質重視レポート

『別冊FMfan』のCDプレイヤー特集は第一号機の登場から間もない1982年夏号(35号)が第一弾でした。第四弾となる今号の特集では、初めて音質に踏み込んだレポートとなっています。それまでは操作性や機能中心のレポートで、音質が気になる読者にとってはやや物足りなさがあったようです。やむを得ない背景として、まだプロトタイプやそれに準ずる製品が多く、音質評価は時期尚早と考えられたからのようです。

それがここにきて、ついにリファレンスと呼ぶべきCDプレイヤーが登場しました。それはソニーの業務用CDプレイヤーCDP-5000で、民生用に一部変更したCDP-5000Sは価格180万円もするものでした。本レポートの評価者である藤岡誠氏はこれを自宅用に導入、CDP-5000の音を基準としてレポート対象機器を音で評価することができるようになったわけです。

16メーカー18機種を集めてのテストですが、複数のOEMモデルも含まれていました。

ここでは5機種をピックアップしてダイジェストをお届けします。音質評価は藤岡誠氏によるものです。

なお、音質評価に使われたCDは下記の5枚です。
DISC 1:ドヴォルザーク/弦楽セレナード、管楽セレナード フィリップス 400 020-2
DISC 2:野バラ、眠りの精~ウィーン少年合唱団 フィリップス 400 014-2
DISC 3:マイ・フェバリット・ソングス/マリーン CBSソニー 38DH-27
DISC 4:潮騒/五輪真弓 CBSソニー 35DH-10
DISC 5:インビテーション・トゥ・デジタル・ソングス JVC/フィリップス SLD-2(テスト盤)

オットー DAD-03  178,000円

オットー DAD-03

三洋電機(当時)のオーディオブランド「OTTO」が発売した第一号機です。ダイレクト選曲ができる10キーが装備されています。

■音質評価より抜粋
DISC 1
マリナー指揮アカデミーの演奏だが、これは高域の上昇もあまりなく自然でなめらかなストリングスに聴こえた。低域方向はもう少し厚みが欲しいと思うがバランスの上からいうとほどよいものである。ツヤもあるしそれが過度になっていないところが本機の音質上でのメリットといえよう。

DISC 3
ベースはクセはないが押し出し、迫力はもう一息ほしい。シンバルもちょっとおとなしい。ややソフト気味の鳴り方であった。本来はスカッとしてハイスピードなデジタル録音だが、それがアナログの良質な録音のように聴こえる。クセがないので救われるが…。マリーンのボーカルは透明感は普通。バランスはいい。低域方向とか高域方向にボーカルが引っ張られることもなくスッキリとまとまる。

Lo-D DAD-1000  189,000円

Lo-D DAD-1000

こちらも垂直ローディング。デンオンのDCD-2000との共同開発で外観はそっくりです。ディスクホルダーが中央にくるレイアウトです。

■音質評価より抜粋
DISC 2
コーラスは明るく、フルートも軽快に鳴ってくる。中低域の厚みは初期モデルよりも出てきたように思うが、ローエンド方向は変化ない。しかし、中低域の厚みを加えたことは成功しており、床を踏み鳴らした時の表現力がついてきている。コーラスの子音の重なりも同様で初期モデルと比べるとやや落ち着いてきているようだ。電源部周辺に改良が行われたのかもしれない。

DISC 4
ドラムス、ベースの押し出し、馬力感がある。コンパクトサイズとしては良い方だと思う。中高域が明るく、五輪真弓がちょっと違う雰囲気で聴こえる。これも高域方向にバランスがあるからだろう。ほんのわずかだ、わずかに高域を下げたいのである。

マランツ CD-63  189,000円

マランツ CD-63

ソニーとならぶCDのオリジネーター、マランツの製品です。ディスクは水平にセットするタイプですが、トレーは使用せずにスピンドルに直置きしマグネット式クランプで上から抑え込みます。スイングアーム式の光学ピックアップも特徴。

■音質評価より抜粋
DISC 1
再生レンジは広い方ではない。しかし、キャラクターを持たずバランスの良さはまことに立派なのである。超ハイファイ志向の人には食い足りないかもしれぬが、バランス重視の人には実に適した商品だ。ストリングスは中高域あたりが明るい傾向を示す。

DISC 3
五輪のボーカルは自然だ。子音の強調感もない。ベース、バスドラムの押し出しは軽い傾向になるがバランスを出してくるのは大きな技術力。クセの少なさを求めるマニアには適していよう。

DISC 5
スケール、馬力感ではもう少しだ。音場も広くはない。アナログ風の音の出方になるがバランスは相変わらずいい。

NEC CD-803  215,000円

NEC CD-803

半導体やデジタル技術に定評のあるNECが投入した力作。重量12kgはテスト機中3番目の重さ。

■音質評価より抜粋
DISC 3
鮮やかなサウンドと分解能である。ドラムス、ベース、ピアノ、そしてマリーンのボーカルが非常にクリアだ。オリジナル録音のシャープさが損なわれることなく再現される。CDプレイヤーも本機ぐらいのクオリティーであれば音のベテランたちにも十分の満足を与えられよう。

DISC 4
冒頭から本機のクオリティーの高さがわかる。バスドラムにしても単なる「ドン」ではなく伸びと分解能があるのだ。そしていわゆる抜けの良さ。スカーッと抜けたサウンドなのである。ハイスピード感が楽しめる。五輪真弓の子音はほんのわずか強調感を感じる。それにしても本機のクオリティーは非常に高い。

ソニー CDP-701ES  260,000円

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