オーディオのたのしみ オーディオ誌で振り返る【1979年冬】

オーディオのたのしみ オーディオ誌で振り返る【1979年冬】

オーディオ誌や製品カタログなど、当時の資料でオーディオブームを振り返るのもなかなか味わい深いものです。メーカー各社がアピールしていた最新テクノロジー、デザインの特徴そしてスペックや価格などを改めて目にすると、中古オーディオへの興味がさらに湧くことでしょう。ことに、自分が手に入れた中古オーディオコンポを再発見することは、愛機への想いをより深いものにすること請け合いです。今回は『別冊FMfan』1979年冬号(24号)(共同通信社)の誌面から当時のオーディオを振り返ってみましょう。


80年代を目前にアナログオーディオ真っ盛り

アナログの世界だったオーディオに革新をもたらしたコンパクトディスク(CD)が世に出たのは1982年のことですから、1979年冬号の誌面はまだアナログオーディオ一色です。1980年代を目前に控え「'80年オーディオ」「'80年代の新しい音」「'80年代を予測する」など時代の変わり目に期待した表現が目立ちます。特集の「最新コンポーネントパーツフルテスト」も偶然なのか80機種をピックアップしています。しかし80機種とは今日の感覚からすると凄い数ですね。オーディオ業界の活況ぶりがよくわかります。

簡単にオーディオブームを振り返ると、1970年代にいわゆるバラコン、単品のオーディオコンポを組み合わせてシステムを組むことがマニアを中心に広まりました。アンプ、プレーヤー、スピーカー、チューナー、オープンリールデッキそしてカセットデッキと、それぞれのカテゴリーで各社技を競い合った熱い時代でした。70年代の大きな変化のひとつは、増幅素子が真空管からトランジスタへ置き換わったことです。登場当初のトランジスタ式アンプは、「音が硬い」「ノイズがきたない」などいわゆる「石の音」と言われ、マニアの耳を満足させるものではありませんでした。しかし、トランジスタそのものや回路技術の進歩は目覚ましく、1970年代も後半になるとトランジスタは真空管にとって代わって増幅素子の主流となりました。

音の入り口から出口までアナログコンポ一色

80年代を担う新型コンポたち

Lo-Dはメタル技術を80年代の象徴に

アンプは疑似クラスA回路が流行

70年代を通して急激に完成度を高めたトランジスタアンプは、その過程でさまざまな技術革新を経てきました。DCアンプ化やサーボ技術の導入、一般的なバイポーラトランジスタよりオーディオ向きとされたFET(電界効果型トランジスタ)の登場、さまざまな電源方式の提案もありました。

1979年の大きな話題は疑似クラスAという回路方式でした。アンプの増幅方式はプッシュプル方式と呼ばれ、交流のプラス側とマイナス側を別々に増幅して合成するやり方が一般的ですが、この方式ではトランジスタの持つ非直線性から、どうしても排除しきれないない歪(「スイッチング歪」や「クロスオーバー歪」)が残ってしまいます。それを回路の工夫によって解決しようとしたのが疑似クラスAという方式でした。純粋なクラスA式アンプと比べて、消費電力や発熱が少ないこともメリットでした。この新技術を画期的なものであるとして各社こぞって採用し、ネーミングも「スーパーA」「ニュークラスA」「リニアA」「ノンカットオフA」「ノンスイッチング」とまさに百花繚乱といえる流行ぶりでした。ただその一方で、本来一定であるはずのバイアス電流を可変させるこの方式に対し懐疑的な見方もあり、距離を置くメーカーもありました。

ビクターは日本で疑似クラスA方式アンプの先陣を切りました

テクニクスはニュークラスAが80年代アンプの条件になると宣言

疑似クラスAは採用せず動的特性と電源重視を訴求するサンスイ

FMチューナーはまだアナログ主流

デジタルシンセサイザー方式のチューナーもぽつぽつ出始めていましたが、まだ性能的にはエアバリコンを使ったアナログ式を超えるものではありませんでした。メーカー各社は来るべきFM多局化時代に備えて受信性能の向上に余念がありません。5~7万円が主流だったFMチューナー市場に、定価15万円という高額な新製品も登場しました。

オンキョー得意のスーパーサーボをチューナーにも導入

コンポーネントパーツフルテストより

本誌の目玉特集であるオーディオ評論家による新製品フルテスト。ジャンルごとのトレンドと気になる製品をピックアップしてダイジェストをお届けします。

カートリッジ

出力が小さいことから扱いにくく、マニア向けとされたMC型カートリッジが普及価格帯にも登場してきました。普及型クラスのアンプにもMC入力を備えた製品が出てきたことも背景です。今回フルテストで取り上げられたのは5モデル。うち4モデルがMC型でした。

フルテスト対象モデル

・ヤマハ MC-7  19,000円
・オーディオテクニカ AT-150E/G  25,000円
・グレース f-10C  26,000円
・オルトフォン MC-20Ⅱ  53,000円
・ダイナベクター DVカラットダイヤモンド  150,000円

ピックアップ【ヤマハ MC-7】

ヤマハ MC-7

型式        MC型
周波数特性     10Hz~20kHz
出力電圧      0.3mV
出力インピーダンス 30Ω
針圧        1.5g±0.3g
自重        5.7g

■テスターコメント抜粋(石田 善之氏)
ヤマハのカートリッジはMC-1が第一作目で、高級機としてシェルの付いたものと、そうでないものがあった。第二作目のMC-7は普及期といえる。しかし、MC-1のローコストモデルというわけではなく、発想からして全く異なる新しい設計による製品である。
結果として、セパレーションの良さはさすがに見事なものである。音の方はややソフトな感触だが、キメが細やかで、バランスが取れている。オーケストラを聴いてみても、低域がズシリとし安定していて分厚く、タップリと聴かせてくれるし、オーケストラならではの広がりの豊かさが存分に出る。
1万9千円でここまで整ったカートリッジが出現してきたということは、やはり画期的なことと言えそうである。もちろん、CPの高さは抜群だ。

プレイヤー

回転系がダイレクトドライブとクオーツ制御の導入により一定水準のクオリティを確保した次のテーマとして、トーンアームの改善に各社の目が注がれました。これまでスタティックな機械式だったアームに、電子制御を取り入れた製品が登場してきました。

フルテスト対象モデル

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