中古オーディオを入手する際の3つのポイント

中古オーディオを入手する際の3つのポイント

ハイレゾ時代に逆らうかのように注目の高まっている中古オーディオコンポ。その魅力は理解しても、いざ入手しようとすると二の足を踏む方も多いのではないでしょうか。この記事では参考までに私自身の経験も踏まえた中古オーディオ入手に当たってのポイントを3つ挙げました。


1.新品ではないと割り切る

中古なので当たり前の話ですが、発売されてから古いものでは数十年を経た電気製品です。パーツの経年劣化や外装の傷みなど、あって当然と割り切るしかありません。稀に「未使用」「デッドストック」など、新製品同等と期待させる出物をオークションなどで見かけることもあります。ただ安心は禁物です。使っていないということは、まず正常に動作するかどうか確認されていません。保管環境にも大きく影響を受けますが、使わなくても部品は劣化するもの。とくにメカ系(カセットデッキやレコードプレーヤーなど)は、回転系の潤滑用グリスが固着を起こしているケースは多々あります。ピンチローラーやベルトなどゴム系パーツは硬化やひび割れ、変形などがあり得ます。外観に特にこだわる方は未使用品は魅力的と言えるでしょうが、機能的なところは入手後にメンテナンスが必要になる可能性を頭に置いておきましょう。

中古オーディオショップでは実機を見ることが出来ますし、お店によっては試聴させてくれるところもあります。動作状態と外観の両方がチェックできるのはショップならではの利点です。私は秋葉原の老舗オーディオショップでアンプを入手しました。サンスイのAU-07 Anniversary Modelという限定品です。価格はそれなり(とはいえ、ネットオークションの相場から大きくは外れていませんでした)でしたが、メンテナンス業者の伝票がついており、総合メンテナンスとメインボリュームが交換されていることが確認できました。外観も十分にキレイでしたので、躊躇なく購入しました。購入から3年以上経ちましたが、トラブルなど一切なく、透明感や繊細さと力感を兼ね備えた素晴らしいサウンドを奏でてくれています。

sansui au-07 anniversary model

サンスイ AU-07 Anniversary Model

2.オークションは出品者次第

中古オーディオの流通量はショップよりもネットオークションやフリマが圧倒的です。ただし玉石混交。ショップより高リスクと考えるべきです。ネットオークションは私もよく利用しますが、これまでの失敗事例と成功事例を一つずつ明かしましょう。

失敗事例:カセットデッキ
「父が先日まで使っていましたが、私はカセットテープを持っていないので確認していません」という説明。元箱付き(販売時に本体が入っていたオリジナルカートンのこと)で写真から判断するに状態は良く見えましたし、何より「先日まで父が使っていた」の言葉を信じて動作品と判断し、ポチってしまいました。ところがです。ひどい代物でした。まずカセットテープが装着できない。あと、ヘッドがオリジナルのものから別のモノに交換されていました。完全なる不動品、不良品でした。説明文には「動作品」と書かれていなかったのでクレームしても得るところなしと泣き寝入りです。「父が使っていた」は巧妙な事実隠しだった疑いがあります。

成功事例:アンプ
同じメーカーのアンプをご自身で整備して何度も出している出品者でした。落札者からの評価も非常に高く、商品説明文や写真の撮り方にも誠実さが感じられました。出品価格から若干せり上がったものの、定価の3分の1以下で落札。高校時代にあこがれたサンスイのフラッグシップ・プリメインアンプ、AU-D907です。この方は劣化部品は積極的に交換するポリシーをお持ちで、トランジスタやコンデンサは大量に交換されていました。「交換すると音が変わる」という説も一理ありますが、この方のように「パーツ劣化によってすでに音が悪い方向に変わっているのだから、むしろ交換することで元の音に近づく」という考え方も理解できます。新品時の音と比較するすべはありませんが、入手した個体は快調に動作しています。

sansui au-D907

サンスイ AU-D907

3.メンテナンスはやったほうが安心

ポイント2の成功事例であげたオークション出品者自身による整備品や、中古オーディオショップで整備済みをうたってある商品は入手してそのまま使って問題ないと思いますが、単なる「動作品」の場合には専門業者によるメンテナンスを受けることをお勧めします。それも入手してあまり使わないうちのほうがベターです。なぜならば、使用中にトラブルが発生する可能性もあるからです。もちろんご自身でメンテナンスする技術をお持ちの方はこの限りではありませんが。メンテナンス業者はネットで検索すると何社も見つかります。どの業者を選ぶかは難しいところですが、業者のホームページに修理事例や利用者の声などが掲載されていれば参考になります。あと、製品カテゴリーによって得意・不得意がある場合もあります。いきなり依頼する前に、メールで打診することをお勧めします。
メンテナンスでの私の失敗事例と成功事例をご紹介しましょう。

失敗事例:FMチューナー
どんなジャンルでもOKといううたい文句の業者で、見積もりも高いものではありませんでした。依頼品はエアバリコンを使った古いFMチューナー。いちおうオークションの説明通り「動作品」ではありましたが、感度やセパレーションに改善の余地ありとみてメンテナンスに出しました。戻ってきた伝票には外部・内部クリーニング、各種調整とありましたが、受信性能に関する部分の調整はされていなかったのか、メンテナンス前後で改善を感じることはできませんでした。チューナーは高周波を扱うため、アンプなど低周波の技術や設備だけでは十分なメンテナンスが出来ないことを思い知らされました。

アキュフェーズ T-100

アキュフェーズ T-100

成功事例:カセットデッキ
入手したデッキは一応動作していましたが、早送り・巻き戻しがややスローでした。ヘッドのアジマス調整や研磨も含めてきちんとした技術をお持ちの業者をネットで見つけたのですが、人気店らしく当面受付は中止とありました。そこで白羽の矢を立てたのがネットオークションに修理作業を出品している方。業者ではなく元エンジニアと思しき個人でしたが、依頼機と同じものの修理実績が多いことが落札履歴より確認できました。評判も上々でしたので思い切ってお願いしました。依頼から戻りまで1か月ほどかかりましたが、十分にランニングテストをしてくださったとのこと。気になっていた動作は解消し、音も一段と良くなって戻ってきました。

ソニー TC-K555ESJ

ソニー TC-K555ESJ

まとめ

何と言っても中古品ですから、リスクはつきもの。メンテナンス費用も発生すると思ったほうが良いでしょう。それでも、中古オーディオと末永く付き合うならば、また、その魅力を堪能したいなら、「安さ」ばかりに目を向けずに「安心」にも価値を見出しましょう。

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