『こんなものを買った』 Technics SL-MA1用ヘッドシェル

『こんなものを買った』 Technics SL-MA1用ヘッドシェル

以前掲載したテクニクスのフルオートレコードプレーヤー、SL-MA1。試聴室のメインのプレーヤーですが、これじつはT4P規格のカートリッジ用でした。新品時には一般のカートリッジも装着できるシェルが付属していたのですが…。


ついに発見。SL-MA1用ヘッドシェル

SL-MA1用ヘッドシェル

SL-MA1に普通のカートリッジを付けたい!

1979年、これまでの常識を覆すようなレコードプレーヤーがテクニクスから登場しました。それがSL-10です。

テクニクス SL-10

デザインは完全な箱型。ターンテーブルはダイレクトドライブで、トーンアームはリニアトラッキングを採用し、蓋部分に設けられたレール上を直線的に動きます。このSL-10に採用されたのがT4P規格のカートリッジ。プラグインとも呼ばれ、自重や標準針圧が規格で決められているため、T4Pのカートリッジに交換する限りアームの調整は不要なのです。というかSL-10にアーム調整の機構はごく限られた範囲でしか用意されていないのです。
さてT4Pは非常に便利な規格でした。なにしろ面倒なセッティングなしでカートリッジ交換できるのですから。その後普及したミニコンのプレーヤーはその多くがT4Pを採用していったのもうなずけます。
ところがテクニクスは普通のレコードプレーヤーにもT4Pを採用していきました。だからSL-MA1はあんな立派ななりをしていてもT4Pが標準でした。ただしSL-MA1はマニアに使われることも想定していたのか、一般のカートリッジを取り付けられるヘッドシェルも付属していました。私が入手したSL-MA1には欠品してましたが。
とはいえ編集部のプレーヤーですからT4Pのカートリッジしか使わない、というのもなんなので、一般のカートリッジ用ヘッドシェルもほしいなあ、とは常々思っていました。そしてようやくヤフオク!で発見したのです。(上のメインカットがその実物です)
落札価格はなんと7800円! 本体を1万円で入手したのに…。でも背に腹は代えられません。届いてびっくり、写真では重厚なダイキャストかなんかに見えますが、なんと樹脂製です。さすが松下。裏側はこんな感じ。

SL-MA1用ヘッドシェル

さて、ではなんのカートリッジを取り付けるか。これです!ソニーの最安MCカートリッジXL-MC1。なんと当時9800円。ソニー伝家の宝刀、空芯8の字コイルを採用したカートリッジで、昨年末にお亡くなりになったカートリッジの大家、森芳久氏の作品のひとつです。

ソニー XL-MC1

なによりそのとんがったデザイン。古今東西こんなデザインのカートリッジがあったでしょうか。史上もっとも美しいカートリッジだと個人的には思ってます。

いざ取り付け。

まずヘッドシェルをバラします。するとヘッドシェルの裏側にプレートが。

ヘッドシェル

おそらくウエイトでしょう。ヘッドシェル本体はさきほど書いたとおり樹脂でした。つまり軽いのです。そこでウエイトを挟んで帳尻を合わせたというところでしょう。ちなみにこのウエイトは今でもパーツとして手に入るようです。

あとは普通にXL-MC1をネジ止めし、リード線をつなぎます。アームがストレートなので、取り付け部にはアングルがついています。なのでリード線はこのように横に飛び出してしまいます。ちょっとカッコ悪いですが、マニアックです。
いよいよSL-MA1に取り付けます。ちょっとドキドキです。
じつは以前、自宅のSL-1200MK2にこのXL-MC1を取り付けたのですが、自重が軽すぎて、重いヘッドシェルでしか適正針圧をかけることができなかったのです。SL-MA1はシェルが選べないので、もし調整範囲に収まらない場合は、先に書いたウエイトを追加で入れる必要があります。ま、最悪1円玉ウエイトでもいいですけど。
さあ針圧計に乗せてみます。
ちなみにXL-MC1は自重がわずか3グラム。適正針圧は1.5グラムです。

針圧測定

じゃーん。なんとかなりました。さっそくレコードを。

レコード演奏

うーん。いつもながら不思議な音です。上も下も出てワイドレンジで、細かい音もしっかり出ているのですが、見た目からか自重や針圧のせいか重厚感は皆無。そのくせボーカルの艶はあって、本当に独特。時代の音なのかな。クラシックには不向きですがAORとかポップスにはぴったりだと思います。
ところで、この「SL-MA1にXL-MC1プロジェクト」の裏でもうひとつのプロジェクトが進行しているのですが、それはまた次回。
今日はこのXL-MC1の音にひたりつつ、試聴室の夜は更けていくのでした。

レコード演奏2

ゴールデン横丁の仲間たち | 澤村 信(さわむら まこと)

https://goldenyokocho.jp/articles/675

かつてのオーディオブームを体験した世代にはたまらないムック本『ステレオ時代』(ネコ・パブリッシング)の編集長。ゴル横会長たっての願いを快く受け入れ、オーディオ愛あふれるコラムをゴル横に書き下ろしていただくことになりました!

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