パナコピー コピルマン  カタログ

パナコピー コピルマン カタログ

家電蒐集家松崎順一さんが考古学的アプローチで昭和時代の様々なカタログを読み解くコーナー。今回はパナソニックの個人向けコピー専用マシン「コピルマン」のカタログを取り上げます。


コピーで誰もがアーティストになれたアート製造マシン

1988年というと時代的にはバブルの真っ只中でワンレン・ボディコンが流行りだした頃で、筆者も当時会社員だったが時代が弾けていた感覚はあった。でもその中にいるとそれが普通に思えていた。たぶん皆んながそんな感覚だったのだろう。

そしてこの頃の家電にもバブルの影響はあり、家電のデザインが徐々に派手になっていった。その理由の一つが海外デザイナーの起用で、家電メーカー各社が海外の著名なデザイナーを起用して独特なデザイン家電が生まれた。

そんな中、インハウスデザインも盛んで、ユニークな家電が輩出された頃でもある。筆者としては海外デザイナーも良いが、日本人の感性を打ち出した家電に大変興味がある。

今回はパナソニックから出たパーソナルコピー機「コピルマン」のカタログから、当時を振り返ってみたいと思う。

コピルマン カタログ1

まず気になるのが「コピルマン」という製品名だ。当時はこの手のネーミングがカッコよかった。ウォークマンから始まった、なんとかマンというネーミングは80年代流行った言葉だ。そして表紙は当時モデルで女優だった鷲尾いさ子さんを起用し「コピルマン」で広がるコピーの世界を表現している。ちょっと印刷の4色分解みたいだ。

コピルマン カタログ2

そして中を見開くと「コピルマン」で創れるアートの数々が細かく紹介されている。キャッチフレーズは「私の楽しい表現生活」だ。

「コピルマン」はコピー機だが現代主流のインクジェット方式ではなく、昔のFAXにあったカートリッジ方式のため単色を重ねて多色にしていくので、カタログの中でも紹介されているが江戸時代の浮世絵の多色刷りの現代版といったところだろうか。

そんなわけで凝った作品を作るときは、ある程度のテクニックが必要だったと思っている。

左のページとは繋がっているが鷲尾いさ子さんと「コピルマン」を中心に「コピルマン」の使いこなし術が紹介されている。

パソコンがまだ一般的に普及していない時代に「コピルマン」の登場は、クリエイターにとってはワクワクしたに違いない。ただ「コピルマン」は、カートリッジ方式のため写真のような中間調の印刷はできなかった。

でも、それを逆手にとっての表現も楽しかったと思う。そして、下には機能の特徴がより詳細に紹介されており、意外と多機能なのが分かる。

ラストのページは「コピルマン」の仕様が表記されている。「コピルマン」は取手付きで持ち運べるのも特徴のひとつだ。
ただ、重量をみると6kgは現代のポータブルの概念からするとかなり重い。

いさ子さんが片手でラクラクと言っているが、長時間の移動はきついと思う。またコピー機なので著作権についても注意事項が記載されている。当時「コピルマン」はどのくらい話題になったのだろうか。残念ながら筆者の記憶に残っていない。


出典: 松下電器産業株式会社 Panacopy コピルマン カタログ (1988年)

ゴールデン横丁の仲間たち | 松崎 順一(まつざき じゅんいち)

https://goldenyokocho.jp/articles/676

家電蒐集家・デザインアンダーグラウンド工場長。1960年生まれ。インハウスデザイナーを経て2003年よりデザインアンダーグラウンドを設立し活動を開始。近代家電製品の蒐集・整備・カスタマイズ等を手掛ける。近年は特にデジタル世代へのメイド・イン・ジャパン家電の持つ魅力をカルチャーとして伝える活動をイベント、執筆等、広範囲に展開中。

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