【旧車】ミウラ│ランボルギーニ 打倒フェラーリを目的にしたスーパーカー

【旧車】ミウラ│ランボルギーニ 打倒フェラーリを目的にしたスーパーカー


■フェラーリのサポート対応への怒りから生まれたスポーツカーメーカー
・モデル名 :ランボルギーニ・ミウラ
・世代/型式:1968年/P400S
・メーカー名:ランボルギーニ(伊)
・搭載エンジン: 3929cc・V型12気筒DOHC
        ボア×ストローク82.0×82.0mm
・最高出力 :370ps/7700rpm
・最大トルク:39.0kg.m/5500rpm
・トランスミッション:5速マニュアル(フロアシフト式)
・サスペンション:前後ダブルウイッシュボーン独立
・ボディサイズ:全長×全幅×全高4360×1780×1080mm
・ホイールベース:2500mm
・タイヤ :205/70VR15
・車両重量:1040kg
・生産台数:187台(ミウラ総数は約750台)

ランボルギーニ・ミウラは350GT、400GTに次いで発表された同ブランド3番目のプロダクションモデルだ。同時にランボルギーニ車として初のミッドシップスポーツである。1965年のトリノ・ショーにおいてミウラP400の剥き出しのリアミッドシップ・シャシーを公開したのが始まりで、翌1966年3月のジュネーブショーで、そのシャシーに低くて流麗なボディが架装されたミウラが登場する。

現在、世界を代表するスポーツカーを輩出する自動車メーカーとして誰もが認めるランボルギーニ社だが、会社設立の理由、そして目的がこれほど明確な会社もないだろう。それは、フェラーリのユーザーだった実業家のフェルッチオ・ランボルギーニが、「フェラーリに対する自らのクレームがまったく相手にされなかったため怒り心頭に発し、フェラーリを超えるスポーツカーをつくるため自動車会社を設立」したことが発端だったのだ。

フェルッチオ・ランボルギーニは工科大学を経て第2次大戦に従軍し、戦後になって軍が放出したトラックなどを民生用に改造する商売で経営手腕を発揮して富を築く。その後、農業機械、なかでもトラクターを開発・販売するが、トラクターのエンジンに世界で初めて直噴ディーゼルエンジンを導入し、これも成功する。次いで、事業者向けのエアコンやボイラー、つまり空調機器全般の設計・製造・販売をスタート、ここでも大成功を収め豊かな経済力を得る。

実業家として成功を収めたフェルッチオ

従軍する以前から自動車に興味を抱いていたフェルッチオは、比類無き富を得た経営者として成功後、世界のスポーツカーを何台も手に入れる。1960年代の初頭、彼のガレージにはメルセデスやジャガー、アルファロメオなどに加えて数台のフェラーリが並んでいたという。しかし彼は、名車を手に入れても、価格に対するその品質に対して満足していなかったという。

語り継がれる逸話で有名なのは、所有するフェラーリのクラッチにトラブルが発生し、自分で交換するためフェラーリに部品を発注。届いたパーツは、フェルッチオが製造するトラクターと同じ独ボーグ&ベッグ製だったのである。しかもフェラーリは、そのパーツに10倍の値段を付けていたというのだ。フェルッチオの怒りは頂点に達し、彼はフェラーリに不満をぶつけるも、冒頭のとおり、まったく相手にされない。そして、その対抗手段として自動車会社、アウトモビリ・フェルッチオ・ランボルギーニS.P.Aを設立、ボローニャ近郊に工場を建設した。

いきなりV型12気筒DOHCエンジンをつくる

フェルッチオは、内部抗争でフェラーリを退職していたフェラーリ250GTOの設計エンジニアのひとり、ジオット・ピッザリーニにパワーユニットの設計を依頼。ピッザリーニは1963年7月に試作エンジンを完成させた。それが3463cc・60度V型12気筒オールアルミエンジンだ。9.5の圧縮比、6基のウェーバーキャブによって360ps/8000rpm、33.0kg.m/6000rpmを発揮していた。このスペックはライバルであるフェラーリ250GTOの280ps、330GTの300psを軽くオーバーし、フェルッチオはいたく満足したと伝わる。

このエンジンをフロントに搭載し後輪を駆動するランボルギーニ第1号車「350GTV」が、1963年のトリノショーで公開。その後、フェルッチオの命で細部がモデファイされ1964年のジュネーブショーで市販車「350GT」が登場する。ここからライバル、フェラーリとのパワー競争が始まる。一旦、フェラーリにパワーで凌駕されるも、翌年には排気量を3929ccに拡大した320psを搭載し、エクステリアが変更・リファインされた「400GT」をブランド第2号として発売する。

遂に「ミウラ」がアンベール

ランボルギーニ350GTVの開発のために有能なエンジニアがランボルギーニ社に集まってきた。350GTの開発と同時に進行していたのが、次世代スーパースポーツ計画だ。フェラーリ250GTOに代表される、それまでのFRスポーツからモータースポーツ界で台頭しつつあったミッドシップスポーツの開発である。プロジェクトは「P400」と呼ばれた。“P”はポストリオーレ、つまりリア。そして400はエンジンの排気量だ。

シャシーはそれまでのランボルギーニが採用してきた鋼管スペースフレーム構造ではなく、0.8mm厚の鋼板で構成したモノコックタイプで、幅広い角断面のセンタートンネルを主構造とし、両サイドのサイドシルを受け持つ部分にもやや細めの角断面フレームが通る。これにフロアパネルやスカットル、バルクヘッドを溶着し、エンジンや前後サスペンションはサブフレームを介してマウントした。

サスペンションは400GTを基本とする前後ダブルウイッシュボーン式で前19φ、後16φのスタビライザーが付く。ブレーキは全輪ディスク、ボラーニ製72本ワイヤースポークホイールを組み合わせた。ステアリングギアボックスはZF製ラックアンドピニオンとされた。ラジエターはフロントオーバーハングに水平配置となった。

こうして出来上がったシャシーとエンジンをフェルッチオは、PRと宣伝効果を狙って1965年のトリノショーに出展する。と同時に、ボディデザインを依頼するカロッツェリアと交渉に入った。白羽の矢が立ったのがベルトーネ。即決だった。

ベルトーネのガンディーニとジウジアーロの合作?

ベルトーネで実際にスケッチを描いたのは25歳の若きデザイナー、マルチェロ・ガンディーニだが、直前までベルトーネに在籍していたジョルジェット・ジウジアーロが基本フォルムの画を残していたとも言われている。
1966年3月、ジュネーブショーで公開された市販型のランボルギーニ・ミウラP400の完成である。スペインでもっとも獰猛な闘牛の名“ミウラ”を冠して正式発表されたP400は、ジュネーブショーの主役だった。

全長4360mm、全幅1780mm、全高1080mmのボディは、当時のスポーツカーのレベルを超えた低さで、キャビン背後に12気筒を横置きにレイアウトしたモノコックシャシーは、レーシングマシーンそのものだった。点灯時だけ迫り出してくるホップアップ式ヘッドライトと、その周囲を睫毛のように囲んだ装飾が、ミウラに独特な表情を与え、見る者に強烈な印象を残した。ホイールはワイヤーホイールからカンパニョーロ製のアルミホイールに換装した。外観からはウインドシールドのモールがブラックである点が、後のミウラと見分けるポイントとなる。

インテリアも斬新なレイアウトで、ダッシュボードのドライバー正面には回転計と速度計だけが並ぶ。そのほか水温計などの6連メーターはセンターコンソールに配置した。スライド機構の付いた運転席にはリクライニング機構は無く、ドライビングポジションが決まらないと不評だった。つまり、3つのペダルに合わせてシートを調整すると、恐ろしくステアリングが遠くなる、いわゆる“イタリアンポジション”を強要されるのだ。なお、ヘッドレストが備わるものの、シートに付随せず、バルクヘッドに固定されているため、シートを前にスライドさせると、その役目を果たせないことになった。

フェラーリV12気筒を凌ぐパワーユニット

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