【旧車】TE27│トヨタ 第2世代のカローラに追加された過激ともいえるスポーツマシン

【旧車】TE27│トヨタ 第2世代のカローラに追加された過激ともいえるスポーツマシン


■高速時代に生まれた、雷の名前を冠したトヨタの双子車
・モデル名 :カローラ・レビン/スプリンター・トレノ
・世代/型式:TE27-MQ型
・メーカー名:トヨタ自動車
・搭載エンジン:2T-G型 1588cc・直列4気筒DOHC
 ボア×ストローク85.0×70.0mm 
・最高出力 :115ps/6400rpm
・最大トルク:14.5kg.m/5200rpm
・トランスミッション:5速マニュアル(フロアシフト式)
・サスペンション:前マクファーソン・ストラット・独立+後リーフ・リジッド
・ボディサイズ:全長3955×全幅1565×全高1355mm
・ホイールベース:2335mm
・ホイール/タイヤ:5J×13スチール+175/70HR13
・最高速度:190km/h
・0-400m加速:16.3秒
・車両重量:855kg
・販売時期 :1972年
・生産台数 :***

大阪で日本初の万国博である国際博覧会が開催され、解散直前のザ・ビートルズ「レット・イット・ビー」が街に流れていた1970年。日本のモータリーゼーションは一気に高速時代に突入する。この年、日本の自動車メーカーは競ってスポーツモデルをリリースする。

高速化する日本に求められた「スポーツモデル」

1970年5月に国産ベストセラーだったトヨタ・カローラが2世代目にスイッチした。それまで、セダンをカローラと呼び、クーペをカローラ・スプリンターしていたラインアップをカローラとスプリンターの双子車としたのは、カローラ店とトヨタオート店に分割・併売する販売チャネル増強施策だった。両車はラジエターグリルとテールランプ形状など僅かな違いしかない。

シリーズ・ラインアップはスタンダードな1200ccと高性能版1400ccの2基のエンジンを搭載。初代よりも大きく豪華になった2代目は、小型ファミリーカーとして十分以上の資質をもったモデルだった。デザインもサイドウインドウから三角窓を取り去り、すっきりしたサイドビューとなり、ライバルの日産サニーよりもゆとりがあるモデルとして訴求していた。

若者たちにアピールするはずだったクーペには、1400ccのキャブツインキャブ仕様で豪華な「SL」(Sport Luxury)と、走りをアピールし足回りを固めた「SR」(Sport & Rally)が用意されたものの、その後に登場する日産の新型エンジンL14型を搭載したサニー・エクセレント1400GXに比べて、今ひとつ物足りない印象だった。

1970年に2代目カローラが登場する前年の1969年に東名高速道路が全面開通した。

同年、日産自動車はスカイライン4ドアGT-Rを発表し、翌1970年9月にGT-Rを4ドアセダンから2ドアハードトップのGT-Rにスイッチした。同年秋のモーターショーで、トヨタは初代セリカGTをリリースし、三菱はギャランGTOを発売した。ホンダは軽自動車初のスペシャリティモデルであるホンダZを発売して話題となった。当時、東洋工業と名乗っていたマツダは、流麗なカペラ・ロータリー・クーペで高速時代に対応した。

そんな1970年に、2代目トヨタ・カローラがデビューしたのだ。が、市場はカローラ&スプリンターにも決定的で魅力溢れる「スポーツモデル」を求めていた。

世間の熱い期待に対する回答「TE27型レビン&トレノ」

その声に対する回答が1972年3月に登場する。2世代目のカローラ&スプリンターに追加された。「TE27型レビン&トレノ」とマニアが呼称する初代カローラ・レビン&スプリンター・トレノだ。なお、書く尽くされたことだが、レビンは稲妻を表し、トレノは雷鳴の意味である。

「TE27型レビン&トレノ」に搭載されたエンジンは、国産初のスペシャリティモデル、セリカのためにヤマハ発動機と協働開発した1.6リッター4気筒DOHCエンジンで、後に名機と呼ばれる2T-G型ユニットだ。2連装したミクニ・ソレックスキャブレターがプレミアムガソリンを供給したそのエンジンは、9.8の圧縮比から最高出力115ps/6400rpm、最大トルク14.5kg.m/5400rpmを発揮した。

組み合わせるトランスミッションもセリカ1600GTから移植。装着タイヤもマイナーチェンジしたセリカに倣って認可されたばかりのスポーツシューズともいえる70%扁平、175/70HR13サイズのラジアルタイヤが標準装備された。

後付け感たっぷりにボルトオンされた迫力あるオーバーフェンダーを備えたボディは、全長×全幅×全高3945×1595×1335mmとセリカよりもコンパクトで、車重855kgと現在の軽自動車並みに軽いボディ&シャシーに、DOHCエンジン「2T-G」は当時、圧倒的で野蛮ともいえる衝撃的な運動性能を与えた。

室内は専用のバケット型スポーツシートと3本スポークのステアリング、ダッシュボードの6連メーターには油圧/油温計は備えていたが、ラジオや時計はオプションで走りに徹していた。

パワーウエイトレシオ7.43kg/ps、0-400m加速16.3秒、最高速度190km/h

セリカよりも約100kg軽い小さなカローラ・クーペに1.6リッターDOHCエンジンを積むという、一見常識外れで乱暴にも思える行為だったが、すでに国内では初代プリンス・スカイラインが1500cc・4気筒のファミリーセダンに、乱暴にも2リッター6気筒を強引に積んで2000GTと呼称する“乱暴な”クルマを発表していた。このカローラに与えられた、やんちゃな性能がレビン&トレノの魅力となった。

当時の公式記録では、パワーウエイトレシオ7.43kg/psから0-400m加速16.3秒、最高速度190km/hと記載されていた。そして、1975年にトヨタ車として初めてWRC(世界ラリー選手権)で優勝を飾り、国内の全日本ラリー選手権などのコンペティションシーンにおいては、参加車両の半数以上がTE27型で占められるなど、大活躍することになる。

実はDOHC化を前提に設計された新型OHV「2T型」エンジン

ところで、セリカから搭載された2T-GのベースエンジンであるOHVの「T型」および「2T型」は、どうやらDOHC化を前提に設計されていたらしいのだ。例えば、長さの異なる2種のプッシュロッドがインテークとエキゾーストのそれぞれ独立したロッカーアームを駆動するクロスフロータイプで、V型のバルブ配置を持っており、燃焼室も半球型を採用、点火プラグも燃焼室の中央に配置していた。また、ピストンとシリンダーヘッドがアルミ製で、クランクシャフトのメインベアリングが5個だったことなど、2T型エンジンの随所にDOHC化を前提とした細かな設計が見て取れるのだ。

2T-Gユニットは、その後もセリカやカリーナ、レビン&トレノの各シリーズ歴代スポーツグレードに搭載され、その生産台数を伸ばしていく。しかし、その後に訪れた排気ガス規制の波に飲み込まれて一時姿を消すが、1978年にトヨタ製の電子制御燃料噴射装置「EFI」を得て2T-GEUとして復活。4世代目のカローラシリーズでは、レビン&トレノの名はハッチゲートを持ったHBモデルに与えられ、同じ2T-GEU搭載のセダンやクーペも発売されるなど、トヨタの多くの小型車に搭載された。トヨタ製テンロクDOHCは、トヨタのスポーツエンジンとして歴史を刻む。1983年5月、登場したAE86型レビン&トレノに載った4A-G型4バルブ・ツインカムエンジンの登場で、2T-Gはステージを去る。

「暴れ馬を御するような醍醐味が味わえる」クルマ、それがTE27

高性能ツインカムユニット「2T-G」を得たTE27型・初代レビン&トレノだったが、サスペンションの基本構造は、フロント・マクファーソンストラットコイルの独立&リア・リーフリジッドとカローラ・セダンそのものだった。スポーティグレードの1400SRよりバネ定数を上げダンパーの減衰力を高め、さらにはスタビライザーも19mmから21mmに変更してコーナリング時の横剛性を大きく引き上げた。それでもなお、エンジンのパワー&トルクを持て余したと伝わる。

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